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「おおまかに」の意味の「ざっくりと」の発信元は?
最近テレビなどでよく聞くようになった「ざっくりと」という言い方、「おおまかに」という意味で使われていますが、この言い方は以前には使われていなかったと思います。しかしこの言い方は国内のある大きな企業内だけで以前から使われていた言い方が一般に広がったのではないかと思っています。 たとえば「しんどい」などの表現はもともと関西で使われていて関東では使われていなかったのが広がってきてマスコミでも普通に使われるようになりましたが、これと同様な現象ではないかと考えています。 本当のところはどうなのでしょうか、みなさんのご意見を伺いたいと思います。
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No.9&10です。回答者の個人的な考えをさらに補足します。 まず「ざっくり(と)」に限りませんが、擬態語の使い方には個人差や地域差があります。もちろんご質問でご指摘のように「企業独自の使い方」もあるかもしれません。そうした意味では、全国から様々な経歴を持つ人間が集まる国会の会議録という資料は、「政治」という分野の偏りはあるにせよ、検索システムが整っていることもあり、広く調べるには適していると思います。 検索の対象となった国会の委員会や本会議での発言は速記者が発言通り記録して、会議録に残された公的なものです。発言者自身もそのことは理解していますし、書き言葉に近い改まった物言いになりがちで、もちろんその時点の口語の実態をそのまま表わしたものでないことは言うまでもありません。ただし逆に言えば、国会の発言に出てきた一件の口語的な表現の背後には、多くの人がその表現を使用している社会の実態があると見るべきでしょう。 「ざっくり」の場合、No,9で引用した昭和32年と34年の衆議院大蔵委員会での発言者は同じ議員です。「ざっくりとおっしゃる」・「ざっくりとご答弁いただく」ですから、これは明らかに「大まか」の意味です。これだけであれば、この議員だけの個人的な使いかたである可能性もありますが、その後も他の議員によっても昭和60年代まで細々ながら「大まか」という意味での「ざっくり」が使われていますので、社会全体から見ればこれは氷山の一角であり、世の中の一部には「大まか」の意味で使う人がいたということです。 なお国会における昭和時代の「ざっくり」はもともとの意味(広辞苑の(1)(2)(3))で使われている場合の方がやや多くなっています。ただし「意味が変化する過程」を示唆するものもあります。No,10で引用した用例がまさにそれで、「ざっくり切り込む」のですからもちろんこれ自体は旧来の用法です。ただし最初に「大ざっぱに」と言いかけて言い換えていることも考慮する必要があるだろうと思います。 回答者は「大まか」という意味での「ざっくり」の用法が、特定の企業や団体に起源を持つとは考えませんが、「大まか」という意味の「ざっくり」の使用が広まった背景には、「大ざっぱ」という言葉が忌避されるようになった企業や役所の世界の現実があるのではないかと考えます。 下のグラフは国会会議録検索システムを使って、昭和30年度から5年ごと(一部例外あり)に「大ざっぱ」について検索したものです。これはNo.9とは違って5年度分の合計ではなく単年度の件数です。No.9のグラフで「ざっくり」が急増したまさにその時期に、「大ざっぱ」が激減しています。
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- staratras
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No.9です。少し補足します。 国語辞書の「ざっくり」の項目に、「大ざっぱなさま」という説明が加わったのはつい最近のことです。「広辞苑」では2008年1月に発行された第6版までにはなく、ことし2018年1月に発行された第7版でようやく加わりました。 (1) 一気に切ったり割ったりするさま。その切れ目割れ目が深いさま。ざくり。 (2) 小石を踏んだり金銭をつかんだりする音。 (3) 編み方や織り方が粗いさま。 (4) 大ざっぱなさま。「予算を―削る」「材料を―と混ぜる」 このうち(4)が第7版で初めて加わった説明です。 「ざっくり(と)」という表現が好まれるようになった理由を想像する上で参考となる貴重な用例(?)が国会の会議録にありました。少し長くなりますが引用します。 首都圏における地価対策の評価というか試算といいましょうか、これは平均的な勤労者が、先ほど委員御指摘のとおり、年収の大体五倍という程度で住宅を取得できるような方向の地価水準を念頭に置いて考えておるわけでございまして、その点から考えまするとちょっと現実とは少々乖離している点がございますので、その点は私どもも大ざっぱに、まあ大ざっぱにというよりもざっくりと切り込んでこの問題は考えていかなきゃならぬ問題ではあるなと、このように考えておる次第でございます。(昭和62年12月9日 参議院土地問題等に関する特別委員会) 当初、「大ざっぱに」と言いかけた大臣が、「ざっくりと」と言い直しています。議会答弁の中に粗雑な印象を与えかねない「大ざっぱに」という言葉を用いるのは適切ではないと考えたからでしょう。またこの用例は「ざっくり」を使う状況次第では、広辞苑の項目で言えば(4)の意味と(1)の意味がお互いに融通できるというか、うまく言い換えられる場合もあることを示していると言えそうです。
補足
staratras さま、繰り返しのご教示ありがとうございます。 No.9へのお礼で書いたことに補足しますと、以前から使われていた企業での使い方はその新しい意味、すなわち、「ざっくりと説明すると」というようなものだったので初めて聞く身には奇異に感じたものでした。それが広辞苑2018年版に初めて追加されたということは、昭和の終わりころに使われていたのはやはりこの企業の方言だったということですね。 昭和62年に時の大臣の発言では「ざっくりと切り込んで」と「ざっくり」が「切り込んで」にかかっていますからこれは当時からあった使い方ではないでしょうか?
- staratras
- ベストアンサー率41% (1499/3651)
「ざっくり(と)」のような擬態語が特定の意味でいつから使われるようになったかを調べるには、年月が判明しているデータが必要で、これを欠いた議論は個人の印象論(それはそれで意味がありますが…)になってしまうでしょう。 そこで国会の会議録を5年度ごとに区切って、「ざっくり」で検索してみたところ、興味深い結果が得られました。結論から先に言えば以下の通りです。 1、「ざっくり」を「大まか」「大づかみ」の意味で使う用例は昭和30年代にまで遡ることができるが、昭和の終わりまでの用例は5年度で合計1件から3件にとどまる。 2、平成に入ると「ざっくり」の用例が急増し、最近では1年度で50件を超える年もあるまでに至っている。(この用例すべてに目を通したわけではないのですべてが「大まか」「大づかみ」の意味とは限りませんが、例外はさほど多くないようです) なお、検索で得られた最古の用例は、今から60年以上昔の昭和32年のものです。(以下引用) どうも議論が上すべりをして、こっちのお尋ねしたいことがつぼにはまらぬように思いますが、これはもっとざっくりおっしゃっていただいた方が、日本の税の進歩のためにも私は大事だと思う。… 私は、せめて大蔵大臣はもっとざっくりと御答弁いただいた方が、国民は税に親しみを持つと思うのです。(昭和32年3月28日 衆議院大蔵委員会) 私ものっぴきならぬ質問ですから、どうですか、もっとざっくりと、これは今言うたことは誤まりだから取り消して、もう一ぺんすなおに答弁するとおっしゃったらどうですか。(昭和34年3月26日 衆議院大蔵委員会) また「雑誌記事タイトル」や「書籍名」で調べると、1970年代から90年代までは「ざっくり編んだセーター」や「ざっくりした布地」などの服飾関係の記事・書名や「(人名)が足をざっくり」などけがの記事ばかりでしたが、21世紀になると「ざっくり〇〇」という書籍名が流行しています。〇〇には様々な国の語学でも各国の歴史でも法律名でも何でも入っていますので、「ざっくり」は便利な言葉のようです。 これらを勘案すれば、「ざっくり」を「大まか」「大づかみ」の意味で使う人は昭和30年代にはすでに存在していたが、平成になって使う人が増え、21世紀になってさらに加速しているということではないかと考えます。特定の企業や団体が発信元ではなかろうと思います。
お礼
staratras さま、貴重な資料をありがとうございました。 言い回しはここまで調べられているのですね。 「ざっくり」がある企業内では遅くとも昭和の終わりには広く使われていましたが、ご紹介のデータによれば当時は一般には非常に稀な言葉だったわけですね。それが平成10年代になり急激に使用頻度が増えたというのは何か特別なきっかけがあったのでしょうか。 昭和10年~平成元年に3件というのはもしかするとその「ある企業」内の方言を社員が外部で使用したものとか?(笑)。(その企業はかなりの大企業です。)そして何かのきっかけで一般に広まったとか?(笑)。 学校を卒業して企業に就職するとその企業以外のことは知らないで過ごす人が多いと思われますから、その企業で使われている方言を方言と知らないままでいる人は多いと思います。
- sansyokudangox
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私が25年前入社したときには会社の先輩が使っていましたよ。 発信元仮説 → 1:企業が広げたというより、「お笑い芸人」がネタで使っているのを 子供がまねして広がったのではないか? 2:隠し言葉は、お客様に現実を意識させないためお店や演劇の方が 気づかいで行っていた。バブル期xxを知っていると「通」という ことが流行り現在に至っている?
お礼
sansyokudangox さま、コメントありがとうございます。 もしかしてsansyokudangox さまも私の言う「ある企業」関連の社員だったとか?(笑)
>一般的な使い方としては昔は「ざっくりと説明する」などという言い方はなかったと思います。そのことを問題にしているのですが。 「この用法は近年のものじゃないかと思います」と明記したつもりですが。 しかし,もとから存在した用法の「対象の拡張」と考えられる。この現象は,「快感」を基本イメージとする「おいしい料理」の対象が,「おいしい話」にも拡張されたのと,たぶんおなじだろう。
お礼
passersby2 さま、ふたたびコメントありがとうございます。 この言い方の元はもしかすると「おいしい話」と共通したものかもしれませんね。
補足。 もとは,「ざっくり」は擬声語から発したのではないかと,ぼくは思います。時代劇で人を斬るときの「ずばっ」という音(じっさいに豚肉の塊を真剣で切ってこの効果音を入れるそうです)。まな板の上で野菜を切るときの「ざくざく」という音。砂利どうしが擦れ合って発する「ざらざら」という音。だから,音をともなう引用項目1や4が,原初の用法ではないか。2は,過去のそういう出来事を推定したもの。 これから二次的に,「無造作に」の意味をもつ5や6ができた。 さらに三次的に,「概略・おおまか」の意味をもつ3ができた。 「ざっくり」という音は,原初の「ぶった斬り」を連想させ,小気味よさがある。だから用法の拡張を続けながら,日本人に愛用されてきたのではないか。 とまあこんなことを,日曜大工の接着剤が乾く時間つぶしに,ぼんやりと考えてみた次第。
補足
passersby2 さま、コメントありがとうございます。 「ざっくり」はたしかに擬声語から発生したものかもしれませんね。 ただ、一般的な使い方としては昔は「ざっくりと説明する」などという言い方はなかったと思います。そのことを問題にしているのですが。
国語辞書で「ざっくり」 https://dictionary.goo.ne.jp/jn/88339/meaning/m0u/%E3%81%96%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A/ を調べると, ーーーーーーーーーーーーーーーーーー引用 [副](スル) 1 力を込めて一気に切ったり割ったりするさま。大きく切れ目を入れるさま。「キャベツをざっくり(と)切る」「布地にざっくり(と)はさみを入れる」 2 深くえぐれたり、大きく割れたりするさま。「ざっくり(と)割れたスイカ」 3 大ざっぱなさま。全体を大きくとらえるさま。おおまかに。「取りあえずざっくりとしたところだけでも決めておこう」「ざっくりとした話し合い」「要旨をざっくりととらえる」 4 金・米・砂などを、大量に、また、無造作につかんだりすくったりするさま。「砂利をざっくり(と)すくう」 「紙入の中を―と掴んだ」〈鏡花・婦系図〉 5 上着などを無造作に着るさま。「ざっくり(と)着こなす」 6 編み物などの、編み目や手ざわりなどが粗く厚みを感じるさま。「ざっくり(と)したセーター」 ーーーーーーーーーーーーーー 質問は,3の用法についてだろうと思います。対象は「話,計算,計画」などに限られ,本来は正確にすべきなのに,とりあえず「概略」ですませようという意図があります。ぼく自身も,この用法は近年のものじゃないかと思います。 しかし,同様の「粗い」というニュアンスの4(無造作な動作),5(無造作な動作),6(間隔が広い編み目)の用法は,むかしからありました。これらが「話,計算,計画」などにも対象が拡張されてきて,この辞書では独立項目を得た。そんな気がします。もしかすると,1の「細部をざっくりと切り落とす」の用法から,「要点だけを残す」の用法がでてきたのかもしれません。 だれが3の用法を使いはじめて広めたかは,わかりません。
補足
passersby2 さま、コメントありがとうございます。 ここに挙げておられる3.の使い方はご回答No.2とNo.3で述べておられるように、昔はなかったということではないでしょうか?
- g27anato
- ベストアンサー率29% (1166/3945)
「おおまか」と「大雑把」の混同があるのではないでしょうか。 「ザックリ」という表現は以前から時々耳にしてましたが、 質問にあるような現在の使われ方とは少し違ったような気がします。 テレビの語彙力は時代が平成になってから相当いい加減になってきてます。 その端的な例として、一時期「お騒がせ」を「おさがわせ」と当たり前のように発言するアナウンサーが多数いました。 (「おさがわせ」は入力間違いではなく、 漢字にさえ変換できないのです。) 今後も首を傾げるような確かな認識に基づかない、似たような言い換えは起こるのではないでしょうか。 …それにしても意味の通じにくい、いい加減な言葉が氾濫する時代になったなぁと感じている次第です。
お礼
g27anato さま、コメントありがとうございます。 最初の質問で「おおまかに」の意味でと書きましたが、確かにこれは大雑把にいうとという意味だと思います。この意味での表現に「ざっくりと」という言い方は以前は一般には使われていなかったと思います。それが昔からある企業内では使われていたのが最近テレビなどを含めて一般的に使われるようになったということです。 変な言い方といえば、最近よく耳にする、「ぜんぜんよい」などと「ぜんぜん」を間違って使う人が増えているのも気になっています。
- maiko0333
- ベストアンサー率19% (839/4401)
補足
maiko0333 さま、コメントありがとうございます。 私が知りたいのは意味が変わってきたのは昔にはある特定の企業以外では聞いたことがなかったので、何かのきっかけでその使い方がその企業以外に広がったのではないかと考えているということです。
- marukajiri
- ベストアンサー率45% (504/1101)
今はインターネットが発達し、テレビで誰かが言ったことや、誰かがどこかで何かしたとか、多くの人が興味を持つような有名人が使った言葉などが一気に拡散して使われ、一般人の中に浸透していくこともあります。「そだねー」も、ひょっとしたら何年か後には国語辞典に載っているかもしれませんね。 さて、ネット検索してみると『現代国語例解辞典 第4版』(2006年刊)には「ざっくりと」の意味の中に「おおまかに」という意味は載っていなかったことがわかりました。その後、発行された『三省堂国語辞典』第6版(2008年)には、そういう意味も載せられているということがわかりました。 辞書に新しい意味が載るのは、ある程度一般的に使われることが浸透してからなので、タイムラグがあるわけで、そういう意味では「ざっくりと」の意味として「おおまかに」が一般的に使われだしたのは割と新しいとは言えるかもしれませんが、10年も前に辞書に載っているのですから、現在ではもはや「新しい」という感覚は当てはまらないと思います。 私見ですが、以前は使われていなったのではなく、ごく一部の人が使っていた表現を、テレビ番組の中で有名人が使ったり、週刊誌の記事や人気漫画のセリフの中で使われるなどされ、それを目にした多くの人たちが、同じような使い方をして一般的な言葉として浸透していったのだと思います。
お礼
marukajiri さま、コメントありがとうございます。 「ざっくりと」が聞かれるようになったのは確かにそれほど新しくはないようですね。 はっきり書きますと、わたしはその企業に転職したン十年前からその企業では使われていましたが、それを初めて知って奇異な感じを持ちました。ただ、「ざっくりと」の意味は何となく分かりました。この言い方は当初その事業所内での方言かと考えましたが、他の事業所でも使われていることがわかり、社内共通の方言だと知りました。社内方言は他にもいくつかありました。 「ざっくりと」は方言ではなく一般にも使われるのかとも思いましたが、あるとき社外でこの言葉を聞き、おやと思ったのに、話し手はこの企業関係者と後でわかりました。 たしかに、いまはほんのちょっとしたきっかけでローカルな言葉が広く一般に使われるようになることは多いのでしょうね。
昔っから使っていますが。
補足
noname#231415 さま、コメントありがとうございます。 「ざっくりと」の言葉自体は以前からありましたが、私が言っているのは「おおまかに」の意味で使うようになったのは新しいのではないかということです。 私は昔に「おおまかに」の意味で使われるのを聞いたのはある特定の企業内だけで、他では聞いたことがありませんでした。
お礼
staratras さま、重ねてのコメントありがとうございます。 国会会議録で「大ざっぱ」が急減し、同時に「ざっくり」が急増したというのはたしかに「大ざっぱ」が「ざっくり」に入れ替わったというように見えますね。もしそうなら「大ざっぱ」の表現が忌み嫌われる何らかのきっかけがあったのでしょうか。 しかし、「ざっくり」を「大ざっぱ」、「大まか」の意味で以前から一部の企業または団体だけで使っていたのが、広く取り入れ始めたというのは興味深いことですね。 国会会議録にご紹介のあったような分析が行われていることは知りませんでした。ご教示ありがとうございました。