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続、2変数関数の極限
q=91590に絡んだ質問です。 『f(x,y)が(x,y)→(x0,y0)の時aに収束するとは 任意のε>0に対し、あるδがあって |(x,y) - (x0, y0)|<δについて|f(x,y) - a|<ε となる事である。』 が2変数関数の極限の定義である事は分かるのですが、 これって(x,y)→(x0,y0)の近付き方によらず一定値aに収束するって事ですよね? でも例えば lim (xy + x)/(x+y) (x,y)→(0,0) って先にx→0ってすると0、先にy→0ってすると1で、値が異なりますよね。 こう言うのは上の定義に当てはまらないから収束しないと考えていいんですか?これが一つ目の質問。 上の例が収束しないとすると、収束するかどうかはどう見極めればいいのでしょう? q=91590でsiegmundさんがおっしゃっていた (a) |y/x| → 0 としながら,x,y → 0 (b) |x/y| → 0 としながら,x,y → 0 (c) |y/x| → a (ゼロでない正定数) としながら x,y → 0 で同じ値になったら収束すると判断していいのはどう言う関数なのでしょうか? そしてそれは何故なのでしょうか? 他にどういう例があるのでしょうか? 前回のURL:http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=91590
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oodaikoです。私が >なんとなく反例があるような気がするのですが… なんて書いてしまったので皆さんをミスリードしてしまったようです。 ********************************************************************** <rabbieさんのNo.5の回答について。 いや恐れ入りました。完璧です。 ……と最初は思ったのですが、なんかすっきりしないので良く考えてみたら やはり根本的な問題があり、このままではちょっと具合が悪いです。 しかし幸いにもrabbieさんの回答をヒントにして対偶を示せることがわかりました。 すなわちsiegmund先生の条件(a)(b)(c)を満たすならばfは収束する。 と言う結論は正しいです。 以下rabbieさんの証明の問題点を論じつつ、それを下敷にして証明をしていきます。 なお収束点は(0,0)で考えますが、収束値は一般の実数Kとしておきます。 またlim_{(x,y)→(0,0)}f(x,y)=∞となる場合はとりあえず考えないことにします。 ********************************************************************** まず対偶を示すためには結論部の否定命題はどんなものかを考えてみる必要がありますが これは良く考えると結構複雑です。こういうものを考える時は論理記号で書いてみた方が 誤りが少なくなります。まず証明すべき命題の結論部は lim_{(x,y)→(0,0)}f(x,y)=K ですが、これを論理記号で書くと ∀ε>0,∃ δ>0, ∀ x (|x| < δ),∀ y (|y| < δ),(|f(x,y)-K | <ε)…(A) ですね。……などと言われて同意したりしてはいけません。 lim_{(x,y)→(0,0)}f(x,y)=K という記法はあくまで論理式(A)を満たすような Kが存在することを仮定した上でのものですから、正確には収束点Kも存在すること を言っておかなくてはいけません。 (私もつい最近 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=92121 で同じような 勘違いによる大ポカをやったばかりです。) 従って正確には ∃K∈R,∀ε>0,∃ δ>0, ∀ x (|x| < δ),∀ y (|y| < δ),(|f(x,y)-K | <ε) と書かなくてはいけません。 fを極座標に変換した時は ∃K∈R,∀ε>0, ∃ δ>0, ∀ r(0<r < δ), (|f(r,θ)-K |=|f(r cosθ,r sin θ)-K | <ε) となります。ところがこの命題の(|f(r,θ)-K |=|f(r cosθ,r sin θ)-K | <ε) の部分はθによらないのですから、そのことも記述しておかなくてはいけません。すなわち fの極座標表示による最初の命題の結論部を論理記号で書くと ∃K∈R,∀ε>0,∃ δ>0, ∀ r(0<r < δ),∀ θ(0≦θ<2π),(|f(r,θ)-K | <ε) …(B) となります。 さてそうすると結論部の否定命題は ∀K∈R,∃ε>0,∀δ>0, ∃ r(0<r < δ),∃ θ(0≦θ<2π),(|f(r,θ)-K | >ε)…(P) となります。 このスレッドを見ている方々には釈迦に説法でしょうが、念のためこの命題を 普通の言葉で書いておくと 〈命題P'〉任意の実数Kに対して 、ある正の実数εで 「任意のδ>0 に対して、ある θ(0≦θ<2π) と r <δとなるようなrで |f(r,θ)-K|> εを満たすような θ,rが選べる。」 となるようなものを選べる。 というややこしいものになります。 すなわちrabbieさんの証明の最初の部分 >このとき、(x, y) -> (0, 0) の時、r -> 0 であり、さらに f -> 0 でない というのは、 >(σに依存しない)ε > 0 が存在して、任意のσ>0 に対して、 >r < σ かつ |f(r,θ)| > εを満たす点(r,θ) が選べる。 >となります。 は、論理的に正確ではありません。 **************************************************************** さてもう一度元に戻りますが、このスレッドで散々話題になっている 解決したい命題とはどんなものだったでしょう。 問題になっていたのはsiegmund先生の条件(a)(b)(c)で同じ値Kに収束するような 関数は極限を持つか?またその値はKか?ということです。 つまり 〈命題C〉"siegmundの条件(a)(b)(c)"で同じ値Kに収束するような関数は(0,0)でKに収束する。 と言う命題を証明すれば良いわけです。しかし"siegmundの条件(a)(b)(c)"はきちんと記述 しようとするとけっこうやっかいです。そこで"siegmundの条件(a)(b)(c)"から導けるもう 少し簡単な形の〈条件S〉を定め、その条件で同じ値Kに収束するような関数は極限値Kを 持つことを示しましょう。 ---------------------------------------------------------------- 極座標を使って (x,y)=(r cos θ,r sin θ)とします 〈条件S〉「任意のα(0≦α< 2π)に対して θ→α,r → 0 と言う条件を満たしつつ(x,y)→(0,0)とすると f(r,θ)= f(r cos θ,r sin θ) → K となる」 という条件を考えます。 この〈条件S〉はもう少し簡単に 〈条件S'〉「任意のα(0≦α< 2π)に対して lim_{r→0,θ→α} f(r,θ) = K」 と書きかえられます。 【命題】 関数fが"siegmundの条件(a)(b)(c)"を満たしていれば〈条件S〉も満している。 【証明】 αは 0,π/2,π,3π/2 以外とする。 (x,y)=(r cos θ,r sin θ) とすると y/x = tan θ だから θ→α は y/x → tan α を意味する。 また r→0 は(x,y)→(0,0)を意味する すなわち 「θ→α,r → 0 と言う条件を満たしつつ(x,y)→(0,0)とする」 という操作は 「y/x → tan α を を満たしつつ(x,y)→(0,0)とする」 という操作を意味する。 よってそのとき siegmundの条件(c)より f(x,y)→ K となる。 α=π/2 または α=3π/2 の時は (b)を、またα=0 または α= π の時は (a)を 使って同様に示せる。 ■ 従ってsiegmund条件(a)(b)(c)の代わりに〈条件S〉を使い、 〈条件S〉が満たされていれば関数は極限を持つ と言うことを証明することにします。 すなわちもう一度証明すべき命題を書くと 〈命題X〉2変数関数f(r,θ)=f(r cos θ,r sin θ)は あるK∈Rが存在して 任意のα(0≦α< 2π)に対して lim_{r→0,θ→α} f(r,θ) = K となるならば lim_{r→0} f(r,θ) = K である。 この命題が正しいことを証明できれば、"siegmund条件(a)(b)(c)"を満たす関数は 〈条件S〉も満たしているのでやはり極限値を持つことが言えます。すなわち〈命題C〉が証明された ことになります。 -------------------------------------------------------------------------- さて対偶を示すために、〈条件S〉もしくは〈条件S'〉の否定はどんな論理式になるかを確認して おきましょう。〈条件S'〉は 任意のα(0≦α< 2π) に対して lim_{r→0,θ→α} f(r,θ) = K でしたから、これを論理式で書くと ∃K∈R,∀ε>0,∀α(0≦α<2π),∃δ>0, ∀r (0<r < δ),∀θ(|θ-α|<δ),( |f(r,θ)-K |<ε)………(S'') となります。これが〈条件S〉を表す論理式です。 従って、その否定命題は ∀K∈R,∃ε>0,∃α(0≦α<2π),∀δ>0, ∃ r (0<r < δ),∃θ(|θ-α|<δ),( |f(r,θ)-K |>ε)…(Q) となります。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ やっと証明の準備が整いました。以下では論理式(P)または〈命題P'〉を仮定して、そこから 〈条件S〉の否定である論理式(Q)を導きます。 まず論理式(P)を満たすようなKとKに対応して決まるε>0を1つ固定します。 するとrabbieさんの証明の前半部分と全く同様にして 点列{A_n}={(r_n,θ_n)}で、あるα(0≦α<2π)に対して lim_{n→∞}θ_n = α となりかつ lim_{n→∞}r_n = 0 で、すべてのnについて|f(r_n,θ_n)-K |>ε と なるようなものを選べます (*)rabbieさんの回答ではこの段階で「この{A_n}はsiegmund条件(a)(b)(c) を満たさないから証明できた」としていますが、先に書いたように siegmund条件(a)(b)(c) の否定はそう単純なものではないので、まだこの段階では証明は終了しません。(*) さてここまでの段階で示せたことをε-δ方式で書いてみると 〈命題T〉「任意の実数Kと、あるε>0に対し、あるα(0≦α<2π)が存在して 『任意のδ>0に対しあるm∈Nがあってn≧mならば |θ_n - α|<δ かつ 0< r_n <δ』 となりかつすべてのn∈Nに対し|f(r_n,θ_n)-K |>ε となる。」 となります。 (『』の中はlim_{n→∞}θ_n = αと lim_{n→∞}r_n = 0 を論理式で書いたものです) 【命題】 〈命題T〉が成り立つならば次の〈命題Q'〉も成り立つ。 〈命題Q'〉任意の実数Kに対して 、あるε>0とα(0≦α<2π) であって 「任意のδ>0 に対して、|θ-α|<δ かつ0<r <δ かつ |f(r,θ)-K|> ε を満たすようなrとθ(0≦θ<2π)が選べる。」 となるようなものを選べる。 【証明】 任意のKに対し〈命題T〉で存在が保証されているε,αを選んで固定する。 すると〈命題T〉の2重鍵括弧部より、任意のδ>0に対して |θ_m - α|<δ かつ 0< r_m <δとなるようなθ_m , r_m が選べる また〈命題T〉の 「すべてのn∈Nに対し|f(r_n,θ_n)-K |>ε」 と言う条件より、|f(r_m,θ_m)-K |>ε でもある。 そこで θ=θ_m , r=r_m と書き直せば 「任意のδ>0に対して|θ-α|<δ かつ0<r <δ かつ |f(r,θ)-K |>εとなるようなθ , r が選べる。」 と言うことが言える。すなわちまとめると 任意の実数Kに対して 、あるε>0とα(0≦α<2π) であって 「任意のδ>0 に対して、|θ-α|<δ かつ0<r <δ かつ |f(r,θ)-K|> ε を満たすようなrとθ(0≦θ<2π)が選べる。」 となるようなものを選べる。 すなわち〈命題Q'〉が導けた ■ (Q')を再び論理式として書き表すと ∀K∈R,∃ε>0,∃α(0≦α<2π),∀δ>0, ∃ r (0<r < δ),∃θ(|θ-α|<δ),( |f(r,θ)-K |>ε) となります。 ですからこれはまさに(Q)そのものです。 よって 収束の否定から〈条件S〉の否定が導かれたので、めでたく〈命題X〉が証明されました。 すなわちsiegmund条件が一般に関数の収束性を保証するものであることがわかりました。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ 私も面倒なことをせず最初からこうすれば良かったですね。 位相空間やら何やら大げさな道具を持ち出してしまって 「蝿を落すのにミサイルを持ち出す」典型的な例です。 (とはいえ螺旋軌道で逃げようとしたりするようなかなりしぶとい蝿でしたが) おかげで皆様を混乱させてしまいましたね。お恥ずかしいかぎりです。 なお今証明したのは一番最初の 関数f(x,y)が (a) y/x → 0 としながら,x,y → 0 (b) x/y → 0 としながら,x,y → 0 (c) y/x → a (ゼロでない定数) としながら x,y → 0 としたとき、いずれの場合にも同じ定数Kに収束するならば (x,y)→(0,0)とした時のf(x,y)の極限値は存在しそれはKである。 という命題であって、y/x,x/yに絶対値をつけたものではありません。 絶対値を付けても付けなくても本質的には同値な条件だと思うのですが、 その辺りの吟味はまた今度。 P.S. 論理式で考えてみたら、収束の論理式(B)は私の回答No2で収束のための十分条件として 考えた『すべての方向から「一様」に収束する』の論理式表現でもあることに気がつきました。 つまり完全なトートロジーだったわけでほとんど無意味な条件でしたでした。ガックリ。 やはり複雑な条件は論理式できちんと表現してみることが大事ですね。
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- stomachman
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stomachmanです。No.3をUpしてから反例になってないことに気が付きまして、おー。やっちまったぜぃ。oodaiko先生の厳しくも優しいお言葉に奮起いたしまして、毒食らわば皿まで(恥の上塗り)。もういっちょ考えました。 やはりr≧0, θ∈[0,2π)の極座標において f(r,θ)= r /sin θ (ただしsinθ=0の時はf(r,θ)=0) これならどうでしょう。 θが一定という状態で原点に近づけば、f(r,θ)→0に収束する。ところがθ≡r (mod 2π)という螺旋に沿って行くと f(r,θ) = r /sin r →1 「(a)(b)(c)のどの場合にも同じ値に収束するにも関わらず、(0,0)への他の近づき方が存在して、その場合にはf(x,y)が収束しないか別の値に収束する。」 という例になっていないかなあ。
- rabbie
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rabbie です。 背理法で証明できそうです。 証明するのは、 (x, y) が (a), (b), (c) のどれかを満たしながら -> (0, 0) となる時、その全ての場合で f(x, y) -> 0 ならば、(x, y) -> (0, 0) で f(x, y) -> (0, 0) である。 (fの収束値はゼロでなくてもいいのですが簡単のため。) の対偶で, (x, y) -> (0, 0) の時、f(x, y) -> 0 でないならば、(a),(b),(c)のどれかを満たしながら(x,y)->(0,0)としてもf(x,y)->0 とならないことがある。 です。(これであってますよね) <証明はじめ> 関数 f(x, y) は、(x, y) -> (0, 0) の時、f(x, y) -> 0 ではないとします。 まず、局座標表示で、x = r sinθ, y = r cosθとする。 (r > 0, 0 <= θ < 2π) 以下、面倒なので f(r, θ) のように書きますが、 これは f(r cosθ, r sinθ) のことです。 このとき、(x, y) -> (0, 0) の時、r -> 0 であり、さらに f -> 0 でない というのは、 (σに依存しない)ε > 0 が存在して、任意のσ>0 に対して、 r < σ かつ |f(r,θ)| > εを満たす点(r,θ) が選べる。 となります。 さらに次のような点列 A_n を考えます。 まず、上のようなε>0 を固定します。σ=1 として上のことを当てはめると r_0 < 1 かつ |f(r_0,θ_0)| > ε となる (r_0, θ_0) が存在し、 この点を A_0 とします。 次に σ=r_0/2 としてまた同じことをすると r_1 < r_0/2 (< 1/2)かつ |f(r_1,θ_1)| > ε となる (r_1, θ_1) が存在し、この点を A_1 とします。 順次A_n(r_n,θ_n)を r_n < r_(n-1)/2 (<1/2^n)かつ |f(r_n,θ_n)| > ε となるようにとる。 この点列 A_n は (0,0) に収束し、かつ |f(A_n)| > ε なので f(A_n) -> 0 でない。 次に、数列 {θ_n}を考えると、これは有限区間 [0, 2π) 内の無限数列なので、 無限回同じ値をとるか、区間 [0, 2π]に集積点をもつ(*1)。 どちらの場合も、{θ_n} の部分列で[0, 2π]内の一点に収束するものが選べ(*2)、 この収束値をαとします。点列{A_n}からこの部分列を作る点だけを取り出して改めて 点列を作り直し{A_m}とおきます。 点の順番を入れ替えなければいいので相変わらず{A_m}->0 で、かつ f(A_m) -> 0 でない。 ここでx,y座標表示に戻って、点列{A_m(x_m, y_m)}を見てみますと、 もちろん A_m -> 0 (m->∞)で、α = π/2 または 3π/2 ならば、 |x_n/y_n| = |cosθ_n/sinθ_n| = 1/tanθ_n -> 0 (b)(*3) それ以外で、 |y_n/x_n| = |sinθ_n/cosθ_n| = tanθ -> tanα (a)または(c) つまり、{A_m}は、m->∞の時 (a)(b)(c)のどれかを満たしながら ->O(0,0) だが、この時 f(A_m) -> 0 ではない。 (*3){θ_n}の部分列を選ぶ時、無限回π/2 または 3π/2 だけをとる数列を選んだ場合は,{A_m}は y軸上を(0, 0)に向かって動くのでやはり(b)の場合になります。 (*1)(*2)の証明はほかの人に譲ります <証明終わり> 大きな過ちがあったら恥ずかしいのですがどうでしょうか。 チェックお願いします。
- oodaiko
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<stomachmanさん 残念ながら反例ではありません。私が「反例」と言っているのは siegmund先生の条件(a)(b)(c)(に絶対値を付けたもの すなわち taropooさんの質問文にある(a)(b)(c))の条件で同じ値に収束するが 関数自体は2次元ユークリッド空間の位相で値が収束しない。 と言う性質を持つものです。つまりsiegmund先生の条件(a)(b)(c) は満たしていなければなりません。 で、stomachmanさんの例ですがこれは、 原点を通る任意の直線に沿って0に近付けると収束しないが 螺旋状のコースで収束するような近付き方があると言う例ですネ。 (これはこれで面白い例だと思います。私も似たような 例を考えて最初はこれが反例だ!と思ったくらいですから。) すなわちこの関数は最初からsiegmund先生の条件(a)(b)(c) を満たしていないので反例になりません。
- stomachman
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以下が、oodaiko先生の仰る「反例」になっているのかどうか.... 極座標(r,θ) (r≧0)θ∈[0,2π)において、 f(r,θ)=cos(θ-log(r)) f(0,θ)では定義しない。 という関数を考えます。log()は自然対数。これをx,y座標系 x=r cos θ y = r sin θ で見ると、任意の定数a,bについて ay+bx=0 に沿ってr→0とした場合には-1~1の間を振動してしまって収束しない。ところが θ≡(ln(r)-α) (≡は 2πを法とする合同、αは定数)という螺旋を考える。この式は「(ln(r)-α)を2πで割った余りをθとする。」(0≦θ<2π)という意味です。この曲線に沿ってr→0とするときには f(r,θ)→cos(α) に収束する。
- oodaiko
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さて2つ目の質問ですが、 どんな関数でも siegmund先生の条件(a)(b)(c)で同じ値に収束すれば必ず収束する、 と言い切れるのか、 それとも(a)(b)(c)で同じ値に収束してもなお関数自体は収束しないような反例があるのか これについては恥ずかしながら私もまだ完全にわかっていません。 (なんとなく反例があるような気がするのですが……) とりあえず今まで考えたことだけをまとめておきます。 *************************************************************** まず 「すべての方向から同じ極限値Kに「一様に」近付くならば 関数の極限値は存在し、それはKである。」 ということがいえます。 ここで「一様に」というのは重要な条件です。この条件が満たされないと、関数の極限値 が存在することは保証されません。「一様に」の意味は下の命題のところで解説します。 また「一様」でない場合に関数の極限が存在しない例も後述します。(*1) 例によって一般のn次元に関する命題として証明しましょう。 [命題] f(x_1,x_2,…,x_n)はn次元ユークリッド空間 R^n 上の実数値関数とし、 Aは R^nの点p = (p_1,p_2,…,p_n) を中心とする単位ベクトルの集合とする。 すなわち A={(x_1,x_2,…,x_n)∈R^n | |(p_1,p_2,…,p_n) - (x_1,x_2,…,x_n)| =1} このとき、ある定数Kがあって、任意のa ∈A に対して 一様に lim_{s→0} f(p + sa) = K (sは正の実数) ……(N) が成り立つならば lim_{r→p} f(r)=K ………………(C) である。 ただし 「一様に lim_{s→0} f(p + sa) =K となる」とは 任意のa∈Aと任意のε>0に対しある(aによらない)δ>0 が存在し、0< s<δなら |f(p + sa )-K|<ε となる。と言う意味です。 (各aに対する極限値の存在を言うだけなら、δの値は一般にaに依存しても構わないので これは極限値の存在だけを言うよりは強い条件です。) この条件(N)がsiegmund先生の条件(c)の特例であることはおわかりですね。 しかしsiegmundの条件(c)では「一様性」が仮定されていません。そこでこの条件は siegmundの条件より限定されたものになります。 (更にいうならば条件(c)にはx軸およびy軸方向から近付く場合が含まれていませんが、 これは条件(a)(b)の中に含まれています。) [証明](N)の条件から(C)を示します。 (N)より任意のε>0と任意の a∈A に対し、あるδ>0が存在して 0<s<δならば、| f(p + sa)- K |<ε である。 そこで任意のε>0に対し、上の条件を満たすようなδをとる。 また |r - p|<δならあるa∈Aと0< s <δによってr = p + sa と書ける。 ところがδの取り方より、すべてのa∈Aに対し、0< s <δならば、| f(p + sa)- K |<ε であるから、これは 「|r - p |<δ ならば | f(r)- K |<ε」 を意味する。すなわち lim_{r→p} f(r)=K ■ *************************************************************** siegmundの条件(a)(b)(c)にそれぞれ「一様に収束する」という条件をつければ 上の命題に帰着しますが、そうでない場合にどうなのかということはまだわかりません。 (*1)さて収束が方向によって一様でない場合は、すべての方向から同じ極限値に収束 したとしても、関数自体の極限値が存在するとは限らない。という例を見ましょう。 2変数で考えます。 f(x,y) = (y^2/x)× sin ( 1/(x^2 + y^2) ) (x≠0 かつ x ≠0 の時) = 0 (x=0またはy=0の時) と定義します。 この関数は任意の実数aについてy = axに沿ってx→0とすれば同じ極限値0に収束します。 y軸の場合は最初から0ですからやはり0に収束します。 しかし収束の仕方は「一様」ではありません。 そして関数の(0,0)における極限も存在しません。 なぜならば、直線にそって近付く場合はいつでも0に収束しますが 例えばy=√x に沿って近付くとすると f(x,y) = sin (1/(x^2 + x) )でこれはx→0での極限値を持たないので 結局 lim_{(x,y)→(0,0)} f(x,y) は存在しません。 もちろんこの関数はsiegmund先生の条件(b)を満たしていないので siegmund先生の条件に対する反例とはなりません 今はここまで。
補足
> siegmundの条件(a)(b)(c)にそれぞれ「一様に収束する」という条件をつければ 一様に収束するとはどの方向から近付いても同じと言う事で、(a)(b)(c)はそれぞれの方向から近付く事を意味していて、そもそも相反する事を言っている様に思えるのですが。
- oodaiko
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oodaikoです。taropooさんの先の質問91590の >(a)(b)(c)の極限値が一致すればいかなる方法で近付いても極限が存在するとかでしたら、 >その証明を載せていただける… に回答しようと考えていたのですがちょっと難しい部分があって、考えている内に締め切ら れてしまいました。 再質問が出たので質問91590に関することで、今まで考えたことを今回の質問内容に絡めて 書いておきます。 まず今回御質問の1つ目ですが、おっしゃる通り 2変数関数 (xy + x)/(x+y) で (x,y)→(0,0) とした場合の極限値は存在しません。 それは質問に書かれている通り、極限の定義に当てはまらないからです。 ************************************************************ ・まず多変数関数の極限の定義についてまとめておきます。 少し一般化してn変数関数について考えてみましょう。 (x_1,x_2,…,x_n)= rと書き、 f(x_1,x_2,…,x_n) = f(r)と書くことにします。 また極限値を求めたい点はp = (p_1,p_2,…,p_n) としておきます。 また、数としての0とゼロベクトルを区別するために、ゼロベクトルはOと書くことにします。 さて (A)「任意のε> 0に対し、あるδがあって |r - p | < δ ならば |f(r) - K| < ε となる」 ときf(r)はpで極限値Kに収束する、と定義し、 lim_{r→p} f(r)=K ………………(C) と書きます。これは2変数の場合においてtaropooさんが 書いた定義と全く同じです。 さて一方 rがpへ近付く近付き方によらず収束するというのは (B)「任意のε> 0に対し、あるδ_1,δ_2,…,δ_n があって |x_1 - p_1 | <δ_1 かつ |x_2 - p_2 | <δ_2 かつ … |x_n - p_n | <δ_n ならば |f(r) - K| < ε となる」 ということですね。 注:この定義は δ=max(δ_1,δ_2,…,δ_n ) として (B')「任意のε> 0に対し、あるδ があって |x_1 - p_1 | <δ かつ |x_2 - p_2 | <δ かつ … |x_n - p_n | <δ ならば |f(r) - K| < ε となる」 と書き直せます。どちらでも同値ですから(B')の定義の方を使います。 この(A)と(B)の条件が同値であることは簡単に示せます (A)⇒(B):fが(A)を満たす。すなわち; 任意のε> 0に対し、|r - p | < δ ならば |f(r) - K| < ε となる とする |r - p | < δ というのは sqrt((x_1 - p_1)^2 + (x_2 - p_2)^2 + … + ( x_n- p_n)^2 ) < δ のことであり、各項は正ですから、各(x_i - p_1)^2の取り得る最大値はδ^2 すなわち |x_1 - p_1 | <δ かつ |x_2 - p_2 | <δ かつ … |x_n - p_n | <δ となります。 すなわちまとめると 任意のε> 0に対し、 |x_1 - p_1 | <δ かつ |x_2 - p_2 | <δ かつ … |x_n - p_n | <δ ならば |f(r) - K| < ε となる と言えるので、(B')が言えます。 (B)⇒(A):fが(B')を満たすとします。 このとき |r - p | = sqrt((x_1 - p_1)^2 + (x_2 - p_2)^2 + … + ( x_n- p_n)^2 ) < δ√n ですからδ'=δ√n とすれば 任意のε> 0に対し、|r - p | < δ' ならば |f(r) - K| < ε となる と言えます。すなわち(A)を満たします。 ■ *********************************************************** 少々余計な話ですが ・点列の収束についての一般的な話をしておきます。 そもそも >rがpへ近付く近付き方によらず といっても「近付く」とはどういうことかと言う定義をしておく必要があります。 そうしないと関数の「極限値」も定義できません。 こうなると位相空間論の問題ですが、普通のユークリッド空間では「距離」を定義し 点列a_nと定点bの「距離」が0に収束する時、a_n →b と書き、a_n はbに収束する。 と言います。 一般の集合Xの距離と言うのは、a,b∈Xを引数とする実数値2変数関数で (1) d(a,b)≧0 、a=b ⇔ d(a,b)=0 (2) d(a,b)= d(b,a) (3) d(a,b)+ d(b,c)≧d(a,c) (三角不等式と言います) の3つの条件を満たすものです。 ユークリッド空間の2点x=(x_1,x_2,…,x_n)と y=( y_1,y_2,…,y_n) の距離は通常 |x-y|= sqrt((x_1 - y_1)^2 + (x_2 - y_2)^2 + … + ( x_n- y_n)^2 ) で定義されます(これをユークリッド距離と言います)が、これだけがユークリッド空間 の距離の唯一の定義というわけではありません。 max{|x_1 - y_1|,|x_2 - y_2|,…,| x_n- y_n|} も距離になります。(これは通称マンハッタン距離と呼ばます。) これでおわかりのように(A)の定義は点の収束をユークリッド距離で定義した場合のもの であり、(B)の定義は点の収束をマンハッタン距離で定義した場合のものになっています。 実はもっと一般の位相空間論では、「同値な距離による位相は同値である」ということが いえます。つまり距離dとd'が同値なら、距離dで収束する点列はd'でも収束し、逆も言える ということです。 なお、距離dとd'が同値であると言うのは、ある定数Mがあって、常に d≦Md' となると言う意味です。 ユークリッド距離とマンハッタン距離が同値な距離であることは明らかですね。 つまり(A)と(B')の定義が同値であると言うことは、ユークリッド距離と マンハッタン距離が同値であると言うことから当然の帰結です。 この辺りのもっと詳しい話は位相数学の適当な入門書を参考にして下さい。そこでわから ないことがありましたらまた質問して下さい。 ********************************************************************** さて元に戻ります。 上で述べたようなことで1つ目の質問に関してはOKだと思います。 とにかく普通の距離(ユークリッド距離)に関して収束することが言えれば 「近付き方によらず」収束すると言い切って大丈夫。ということです。 つまりtaropooさんが質問91590で例にだしておられたように螺旋を描きながら 収束点に近付いてもちゃんと収束することが保証されます。 逆に言えば「近付き方によって」極限値が変わるような場合は(少なくとも(A)の定義では) 収束するとは言いません。 さて2つ目の質問に対する回答の前に、収束先を調べるための一般的な判定方法を 1つ書いておきましょう。 もしpからの距離|r-p|だけで決まる関数2つの関数gとhがあって、pの近傍で (つまりあるt>0があって|r-p|<tとなるようなrで) g(|r-p|)≦ f(r)≦h(|r-p|) となっており、 |r-p|→0としたときgもhも共にKに収束するならば lim_{r→p} f(r)=K と言えます。(証明は簡単なのでやってみて下さい。) 質問91590の(1)に関して回答No.5でrabbieさんが書かれている回答は まさにこの方法を使っています。
お礼
何か上の方ではもう結論が出たみたいな感じですがtaropoo全然追いついてないです。まず、回答No.1で感じた事から行かせて下さい。 (No.2以降に答えが書いてあったらゴメンナサイ) まず、 > rがpへ近付く近付き方によらず収束するというのは > (B)「任意のε> 0に対し、あるδ_1,δ_2,…,δ_n があって (以下略) とありますが何故こう言えるのですか?私の感覚だと、rがpへ近付く近付き方によらず収束するとは 「r = φ(t)として、lim{t→t0} φ(t) = pを満たす任意のφ(t)についてlim{t→t0} f(φ(t)) = K」 という事だと思うのですが。tはパラメータですが時間のイメージと考えると「近付く」という感覚とマッチします。 t0は有限な定数でもいいし+∞でもいいし。 それから > 注:この定義は δ=max(δ_1,δ_2,…,δ_n ) として とすると(B)⇒(B')は言えますけど、(B')⇒(B)を言うためには δ=min(δ_1,δ_2,…,δ_n ) である必要があるのではないでしょうか?でも(B)と(B')が同値である事には疑問はありませんので小さな事ですが。 > 実はもっと一般の位相空間論では、「同値な距離による位相は同値である」ということが > いえます。 については別質問にした方がいいかなと思ったのでそうしました。 http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=94815 ですので、こちらで教えてください。 あと、 > pの近傍で > (つまりあるt>0があって|r-p|<tとなるようなrで) ってtを大きく取っちゃえば近くないですよね。これは後で|r-p|→0とするよと言う予告なのでしょうか? 最後の証明はいわゆる「はさみうちの定理」ですよね。 済みません、まだやってないですけど出来ると思うのでやってみます。
補足
とりあえず「位相空間論ってなに?」って言う程度のtaropooの知識の範囲をはるかに超えた議論が執り行われているので ちゃんとしたお返事にはかなり時間がかかりそうです。 ただ、oodaiko先生の「これで教科書書けるんじゃないの?」というほどの熱心な論旨展開と、それに呼応される皆さんの真剣さに、 質問者冥利に尽きると感謝しております。 内容的なお返事はまたいづれ。
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補足
そもそもsiegmundの条件(a)(b)(c)って > (a) y/x → 0 としながら,x,y → 0 > (b) x/y → 0 としながら,x,y → 0 > (c) y/x → a (ゼロでない定数) としながら x,y → 0 この(c)って特定の1つで良いのでしょうか、任意の数についてなのでしょうか?つまり y/x → 0 としながら,x,y → 0 でf(x,y) → 0 x/y → 0 としながら,x,y → 0 でf(x,y) → 0 y/x → 3 としながら,x,y → 0 でf(x,y) → 0 であればf(x,y)は収束するとしていいのか?良いとしないと > 関数fが"siegmundの条件(a)(b)(c)"を満たしていれば〈条件S〉も満している。 は言えないんじゃないかと思うのですが。ってことは証明全体も成り立たない事になりますが。 それより、こんな話、教えて!gooとかで初めて発見されるような話なんですかね? 多変数関数が極限値を持つかどうかの判定法なんて2~3世紀前に発見されてても良さそうな気がするのですが。