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自社株式の遺贈による譲渡について
小さい会社の事業主です。 病のため相続について考えていますが、その中でも事業を継承するための自社株式の扱いについて迷っています。 相続人は配偶者、実子二人の3人ですが、事業は配偶者の実子Aに渡す事になっています。 しかし、再婚のためAは実子ではなく養子縁組をしていませんし、する予定もありませんので、Aは相続人ではありません。 数年前に公正証書遺言を作成してあり、内容も相続人とAには概ね説明してあり問題ないと思っていたのですが、Aから『自分は相続人ではないので遺贈してもらっても税金が払えるかどうか心配だから、株式は配偶者(Aの母親)に相続させるように、遺言書を書き換えてほしい』と申し入れがありました。 遺産となるものは概ね以下の通りです。 ●持ち家 約1800万円 ●預貯金 約3000万円 ●自社株 約1500万円 その他少々含めて合計 約6500万円 です いまさら遺言書を書き換えるのは、相続人である実子二人の手前もあるので気が進みません。 Aは既に会社の役員にしてあり報酬も年間1000万円程度を支払っています。 遺言書の内容により遺贈する場合は、普通の贈与税ではなく、第三者であっても相続税の2割増しで済むと聞きましたので、数十万円以下の納税で済むのであれば、Aには支払い能力は充分あると考えます。 税金が数十万円以下で済むなら遺贈は問題ないと思いますので、書き換えずにいこうかと思うのですが、間違いはないでしょうか? 教えて下さい。よろしくお願いいたします。
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- kitiroemon
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お考えのとおりです。 https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4152.htm ◆遺産総額6,500万円、Aに自社株1,500万円分のみ(他の遺産はなし)を遺贈するとした場合のAの相続税額は以下のようになります。 まず、基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円 課税遺産額は、6,500万円-4,800万円=1,700万円 法定相続どおりに相続したとして、相続税額を求めると、 ・配偶者:850万円×相続税率10%=85万円 ・実子B:425万円×10%=42.5万円 ・実子C:425万円×10%=42.5万円 合計で、170万円 Aの相続税額は、170万円×1,500万円/6,500万円×1.2≒47.07万円 ◆もし、Aを養子にした場合の相続税額は、以下のようになります。 基礎控除額は、3,000万円+600万円×4人=5,400万円 課税遺産額は、6,500万円-5,400万円=1,100万円 法定相続どおりに相続したとして、相続税額を求めると、 ・配偶者:550万円×相続税率10%=55万円 ・養子A:183.3万円×10%≒18.33万円 ・実子B:183.3万円×10%≒18.33万円 ・実子C:183.3万円×10%≒18.33万円 合計で、110万円 Aの相続税額は、110万円×1,500万円/6,500万円≒25.38万円 養子にしていなくても、数十万円の相続税額で済みます。 Aを養子にしないで自社株も配偶者に相続させると、配偶者控除が適用になりますから、配偶者の相続税額は0円です。ただ、いずれ配偶者のほうが、Aより先に亡くなるのが普通ですから、その時のこともお考えになって、どちらがいいかご判断されるのがいいと思います。
- fpadviseok
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事業承継で一番厄介なのが自社株の扱いですね。 通常自社株を相続させる場合は、相続税の納税対策としてその費用もいくらか相続させる必要がありますね。いろいろなパターンが考えられますが、いくつかのパターンを助言してみたいと思います。 1 一番節税になるケース 「再婚のためAは実子ではなく養子縁組をしていませんし、する予定もありません」と言うことですが、Aさんと養子縁組をすれば法定相続人になるので、相続税の基礎控除枠が増えます。3,000万円×600万円×4人=5,400万円までは相続税がかかりません。この方法が一番すっきりしたやり方ですが、いろいろな個人的な事情もあると思うので敢えてしないということなのでしょう。 2 自社株を配偶者とAさんで半分ずつ相続させる 配偶者には相続税額の配偶者控除があるので、配偶者に持ち家と自社株の半分を相続させても相続税はかからないと思いますので、残りの半分をAさんに遺贈させて相続税額の軽減は図る方法も考えられます。ただし、奥さんも高齢であれば二次相続の準備も必要な場合もあると思いますので、そのための対策もしておいたほうがいいでしょう。 3 自社株をAさんにすべて遺贈する Aさんは相続税がいくらかかるのか心配しているようなので、自社株を遺贈した場合にどのくらいの相続税がかかるのか税理士さんに試算をしてもらうのがいいでしょう。あなたが言うとおりそんなにかからないのではないかと思います。 4 事業の譲渡を他の実子二人が納得しているか 質問内容を見る限りでは、実子の2人もAさんが会社の後継者となることを納得されているのであれば、遺言書で配偶者・実子2人に預貯金等の現金を公平に分配すれば問題ないのかと思います。相続人を含めて事前の根回しもしているようなのでその点で揉めることはないと思います。 5 書き換えの必要性 まずは自社株の相続税評価額を出してどのくらいの相続税が発生するのか試算してから書き換えても遅くはないでしょう。Aさんが相続税を十分に支払う余力があれば書き換える必要はないと思いますし、少しでも相続税を抑えたいというのであれば、上記(1)や(2)の検討も含めて結論を出せばいいと思います。 相談者さんは病気を抱えているということなので、万が一を考えて早め早めに準備をしていたほうが無難ですね。 6 最後に 通常であれば事業承継は実子である者に継がせるのが一般的だと思いますが、そこを敢えて配偶者の連れ子に継がせるという微妙な部分をいろいろな根回しでトラブルを回避しようとしているのは大変良いことだと思います。 家族とよく話し合いをしていい方向で解決できるといいですね。