ア・・・正しい(最判昭42.1.20)
Bの債権者Dは、Bが相続放棄した後に
相続財産である未登記建物のBの持分について差押えをしても
Bは未登記建物について無権利であり
未登記建物はCの単独所有に属していたことになるから
CはDに対し
登記をしなくても相続による当該建物の取得を対抗することができる。
イ・・・正しい
最判昭46.11.16、によると
贈与も遺贈もそれぞれ対抗要件(177,178)を具備しない
と第三者に対抗することができない物権変動である。
判例は
被相続人が,生前,その所有にかかる不動産を
推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に
他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし
その後相続の開始があった場合
右贈与および遺贈による物権変動の優劣は
対抗要件たる登記の具備の有無をもって決する
と判示している。
よって
BとCは対抗関係に立つことになる結果
Bは、Cに対し
登記をしなければ贈与による所有権の取得を対抗することができない。
ウ・・・正しい
最判平3.4.19 は
特定の遺産を特定の相続人に対して相続させる旨の遺言は
遺言の記載からその趣旨が遺贈であるか
遺贈と解すべき特段の事情がない限り
908条にいう遺産の分割の方法を定めたものであると
判示している。
また 最判平14.6.10 は
特定の遺産を特定の相続人に対して相続させる旨の
遺言による権利の移転は
法定相続分又は指定相続分の相続の場合と本質的に異なるところ
はなく特段の事情のない限り
何らの行為を要せず,被相続人の死亡の時に直ちに当該遺産が
当該相続人に相続により承継される旨判示し
相続させる趣旨の遺言によって権利の移転を受けた者は
その取得した不動産又は共有持分権を登記なくして対抗することが
できる旨判示している。
よって
判例の趣旨に照らすと、Bは
Dに対し、登記をしなくても所有権の取得を対抗することができる。
エ・・・誤り
最判昭38.2.22 は
相続財産に属する不動産について
単独名義の所有権移転登記をした共同相続人及び
当該共同相続人から単独所有権移転登記を受けた第三取得者に対し
他の共同相続人は
自己の持分を登記なくして対抗することができる旨判示している。
この判例の趣旨に照らすと
Cが単独で相続した旨の不実の登記は
Bの持分に関しては無権利の登記であり
登記に公信力も認められない以上、Dは、Bの持分に関し
その権利を取得することができず
Bは、Dに対し
登記をしなくても自己の持分の取得を対抗することができる。
したがって
Bは、Dに対し
登記をしなければ自己の持分の取得を対抗することができない
とする点で、本肢は誤っている。
オ・・・誤り
最判昭46.1.26 は
不動産の共同相続人間でなされた遺産分割による権利の得喪変更
については、遺産分割によって生じた新たな物権変動
に当たるものとして177 条の適用があり
遺産分割により法定相続分と異なる権利を取得した相続人は
その旨の登記を経なければ、遺産分割後の第三者に対し
自己の持分を対抗することができない旨判示している。
したがって
Bは
遺産分割後にCの法定相続分に応じた上記不動産の持分を
Cから買い受けたDに対し
登記をしなくても法定相続分を超える所有権の取得
を対抗することができる
とする点で、本肢は誤っている。
判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせは
エ と オ で 正解は 5 。
お礼
ありがとうございますm(_ _)m いつもすみません。 重ねてお礼申し上げますm(_ _)m