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核保有国が核兵器を何千発も持つ意味は?
トランプ氏が核兵器増強の発言をしましたが、そもそも核兵器を何千発も持つ目的はなんでしょうか。 何千発も同時に使えば人類を滅ぼしても数倍のおつりがくる威力があります。 ミサイルは目標の座標を入力したらそこに飛んでいくものではないのでしょうか。 それとも1000の目標があれば1000発必要なのでしょうか。
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追加ご質問頂きました必要核弾頭数の算出方法について以下述べさせて頂きます。 1)最初は単純な数式でした 添付画像は冷戦期の主な米ソ基地です。 当初はソ連は米国の基地+都市を破壊する際に各数発程度の核兵器で足ると考えていました。しかし、それでも相当な発数を用意しなければなりません。 この時点では、相互確証破壊に必要な弾頭数は被弾した際にそれでも発射できる割合を被弾時発射可能確率とすると (基地数+都市数) x 数発 x 被弾時発射可能確率 でした。それでも数百発もあれば十分だったのです。 2)核基地の分散化 他の回答者の方も述べられていますように発射基地として154発の発射能力を持つ戦略原子力潜水艦やミサイル発射艦含む米国艦隊は多方面に分散し、核ミサイル発射基地は直撃でも破壊できないような硬い山の奥深くに隠すようになります。 ドイツ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、ノルウェーなどのソ連に相対する友好国に核弾頭を輸出することでも分散化が図られました。そのため核弾頭発射基地数は増加し、同時に友好国都市も狙う必要が出てきたために目標数が大きく増加しました。 (基地数+都市数+友好国基地数+友好国都市数) x 数発 x 被弾時発射可能確率 これでも数千発もあれば十分だったと思われます。 3)SDI構想と飽和攻撃 1983年3月23日。レーガン大統領は「核兵器を時代遅れにする!」という演説でソ連の国防に大きなプレッシャーを掛けます。SDI構想。一般的にはスターウォーズ構想と呼ばれるものです。現在では一般化されていますがパトリオット迎撃ミサイルなどの防衛ミサイル構想の端緒はこのSDI構想です。 1980年代当時の電子・レーザー技術では飛んでくるICBMの破壊などできなかったにも関わらず、「衛星レーザーやレールガンでミサイルを破壊できる!」と国家的な嘘をついて100兆円とも言われる予算を消費し、この計画を推進しました。 実際はレーザーは出力が足らずミサイル表面を焼くだけにとどまり、レールガンは電力が足らず、ミサイルは何発も追試験してやっと当たるような代物でしたが、内情を知らないソ連には多大な恐怖を与えることに成功します。 迎撃システムが完成したなら自分たちが一方的に攻撃されるのではないか、反撃として自分たちの撃った核ミサイルは全て迎撃されてしまうのではないかという恐怖です。 また、ソ連はアメリカの迎撃能力がどれくらいかはわかりません。ただ、徐々に迎撃能力が改善していっているのは情報員からの情報でわかりますし100兆円も掛けて何の効果もないなんて事はありえないと考えます。 この恐怖によって、ソ連は核弾頭の量を増やしアメリカが迎撃できない量を一気に撃てばいいじゃん(飽和攻撃戦略)という戦略に方向転換します。 (基地数+都市数+友好国基地数+友好国都市数) x 数発 x 被弾時発射可能確率 x (1-被迎撃率) この結果、90年代初頭までに4.5万発といった(質問者様の述べられたように頭のおかしいという感想が正しい)多大な弾頭数をソ連は持つことになります。 また、対するアメリカは工場を作りすぎ、核弾頭を量産しすぎた1950年代末が核弾頭数のピークで徐々に減らしていくことに成功しています。 この理由としては戦術核(小規模核)が「結局これ使ったら核反撃されるんじゃね?意味ないんじゃね?」との理解が広まり見直しが行われたことが最も大きい変化原因です。 戦術核というのはそもそもの存在理由としてはドイツ第三帝国を圧殺した雲霞の如く押し寄せるソ連戦車部隊や、米軍が朝鮮半島で経験した億人単位で押し寄せる人民軍を小規模核を連発することによって消し飛ばす目的で作られたもので、ヨーロッパに配置された だけ で8000発もありました。 中国・ソ連共に核兵器を持つようになり使いにくい兵器となったため、現在アメリカではほとんど削減されてしまっています。 4)余談 核兵器関連事業について http://ritsumeikeizai.koj.jp/koj_pdfs/47316.pdf によると、日本向けに生産された最初1発1兆円していた核弾頭は1950年代に量産された後は結局使わないのでリサイクルされることで大きく単価を落とします。現在の核弾頭減少のあおりを受け、現在生産工場での主な作業は核弾頭解体だとの事です。 以上長々と書きましたが、質問者様のご理解の一助になれば幸いです。
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- 16530
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アメリカもロシアもそんなにたくさん必要ないと思います。いまそれぞれ5000発以上保有して言われています(数え方によって2000-7000発くらいの差があるので規模感だけ見てください)、必要だからそんなにあると言うよりは、整理整頓していないところと、政治的な駆け引きのところ、それに最悪の事態を想定して重複して持っていると言う理由だと思います。 核弾頭の形態としてはアメリカの場合大きくわけて、 ICBM搭載 潜水艦発射SLBM 爆撃機からの投下及び巡航ミサイル用 それぞれの保有で、可能性のある事態とターゲットに備えているので重複が大きいと思います。例えば、弾道ミサイル潜水艦1隻にはは24基のSLBMを搭載でき、敵国の24拠点を1つの潜水艦で攻撃できますが、同じくICBMも爆撃機も潜水艦や他の方法が使えない場合に備えているのであらゆるケースを想定すれば、同じ都市を何回も壊滅できるだけ必要と言う事になります。 それと、時代とともに核兵器や戦略も進化するので、古い核兵器を残したまま新しい兵器を開発・製造するので、黙っていればどんどん増えます。 米ロではそれぞれ2200発まで削減することに合意していますが、何を削減して何を残すのかまでクリアにしないと、意味がないですね。中国は200-500発くらいだそうですが、どこを狙っていて、どれくらい最新の兵器、戦略に使えるのかがクリアでないと、米ロに比べて少ないとか脅威でないとかは言えないです。
- SPROCKETER
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核兵器を装備した兵器が核攻撃を受けた時に、一度に大量の核兵器が失われる問題があるので、それを防ぐには核兵器を分散させて保管しなければなりませんが、それによって核兵器を大量に持つ必要が出て来るのです。 たとえば、戦略原潜1隻で20発のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載しているとします。SLBM1基は多弾頭で10発の核弾頭が搭載されているとします。合計で200発の核弾頭が積まれている計算になります。 ところが、敵国から1発の核攻撃を受けただけで、戦略原潜は破壊されてしまいます。戦略原潜が岸壁に係留されているとすれば、一度に十数隻が1回の核攻撃で壊滅する可能性もあります。 このように、どの場所に核兵器を搭載した艦船や核配備された基地があっても、核攻撃を受けた段階で壊滅する危険があるわけで、それでも報復核攻撃を達成しなければならないが為に、膨大な数の核兵器を保有する必要が出て来るわけです。戦略原潜が大量の核弾頭を搭載しているのも同じ理由で、潜水艦が1隻しか残存しなくなっても、報復核攻撃で敵国を壊滅させなければならないからなのです。 もっとも、昔と比べて今では、精密誘導技術の進歩で正確に標的に命中出来るようになった事から、精度が高い核攻撃が可能になれば核弾頭の数は大幅に減らせるはずなのですが、先制核攻撃を受ける不安がどの国にもあり、大量の核兵器を保有していれば安心だという考え方が根強くあるようです。
- ithi
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cwdecoder さん、こんにちは。 核弾頭をつくのもお仕事ですから、儲からないと生活できないでしょ。業者さんにも一定の利益というものを配分しないと…弾道ミサイル、巡航ミサイルなんていうのも何万、何千の小さな企業体が集まってできたものなんでしょうからね。
お礼
よくわかりません。軍事費は税金から支出されますが、良ければそのビジネスモデルについて解説してもらえないでしょうか。 核兵器を輸出するというのなら分かりますが、アメリカ等大国には当てはまりませんよね?
- taoyuany
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ミサイルは目標の座標を入力したらそこに飛んでいくものですし、何千発も同時に使えば人類を滅ぼしても数倍のおつりがくる威力があるのも確かです。 では、なぜトランプ氏が核兵器増強を検討するのでしょうか? 順を追って説明させてください。 1)核兵器弾頭数の推移 ・現在の核保有国核弾頭数 ロシア 7,300(アクティブなのは1790発) アメリカ 6,970(アクティブなのは1750発) イギリス 215発 フランス 300発 中国 260発 インド 100–120発 パキスタン 110–130発 北朝鮮 10発以下 イスラエル 60–400発 さて、なぜこんなに核兵器弾頭数が必要かというご質問ですが まず、最盛期には核弾頭がどれだけ世界にあったのかを記します。 ・最盛期の核保有国核弾頭数 ロシア 4.5万発 アメリカ 3.2万発 イギリス 350発 フランス 540発 中国 453発 この時代(冷戦期)に比べると米露が激減しているのがわかりますね。 では、なぜ冷戦期に何万発も核弾頭が必要だったのでしょうか? 2)相互確証破壊能力(やられてもやりかえせる能力) 核兵器攻撃には二つ種類があります。 ・先制攻撃 ・反撃 見たままの意味です。 核兵器使用戦略の一つに相互確証破壊能力(やられてもやりかえせる能力)というものがあります。 例えばソ連がアメリカの隙に乗じて先制攻撃で数万発の核兵器でアメリカを攻撃した場合、当然アメリカ全土は破壊されます。 アメリカはその後の反撃でソ連全土を破壊しなければ釣り合いません。 全土が破壊されたあとでも、相手の全土を破壊しかえす事の出来る能力を「相互確証破壊」と言います。 理論的に言えば、相互確証破壊能力のある二カ国同士では核戦争は発生しないとされています。 3)冷戦時代 冷戦時代はこのようにお互いに核兵器を突きつけあわなければならないくらい互いを信頼できなかった時期だったのです。 その相互確証破壊能力を得るため、核兵器保有国は核兵器を核サイロと呼ばれる地下深くの秘密基地に隠したり、友好国に発射台を作ったり、地上ではなく海中から発射できるように核兵器を搭載した戦略潜水艦を世界中の海に放っていました。 だから多大な核弾頭数が必要だったのです。当時はアメリカ全土が破壊されてしまっても潜水艦や艦艇からの核兵器でソ連全土を破壊できた時代でした。 「なんじ平和を欲さば、戦への備えをせよ。したがって、平和を願う者は、戦争の準備をせねばならない。」これはローマ帝国の軍事学者フラウィウス・ウェゲティウス・レナトゥスの格言です。 ソ連からすれば日独を物量で圧殺できたアメリカという国は強大で怖かったでしょうし、アメリカからしてもアカの恐怖というのは非常に大きいものがありました。お互いに信頼できない状況下で平和を保つには核兵器を突きつけあうしかなかったのです。 理解し信頼しあえるようになってきたのは本当にここ最近の事です。 4)トランプ大統領の戦略 現在核兵器弾頭数は激減してはいますが、「ちょっと少なすぎ、20分の一ってのは減らしすぎなんじゃねぇの?」と疑義を出したのが今のトランプ大統領です。 #アメリカ核弾頭数 最盛期 32000発 → 現在 1750発 トランプ大統領はニュースでは何か狂人のような扱いをされていますが、彼はアメリカが負債によって国家破綻しかかっている現状を変えたいと考え まず、国家予算の二割近い米国軍事費をどうにかして減らそうと考えています。そのために日本に基地負担の増加を求めたり、F35納入価格の値引きを要求したりしているのです。 軍事費を減らすと、軍事能力は当然下がりますが、もし核兵器数を増やすことで軍事能力や相互確証破壊能力を強化できれば軍事費を削ることができる可能性があります。 具体的には核兵器で相手国を使って脅すんだと思いますが、脅して言うことをきかせる事で兵士の展開をしなくてもすみますし、弾薬の節約にもなります。うまくいけば人が死ななくなるかもしれません。 この策がうまくいくかうまくいかないかはまだ誰もわかりません。 ですが、なぜアメリカが今核兵器数を増やそうと検討しているかの説明は以上の通りになります。 以上質問者様の参考になれば幸いです。
お礼
私が高校生のころまで冷戦が続きましたが、核戦争の恐怖は、いつもありましたね。ソ連は今の北朝鮮以上に不気味な国でした。 やられたらやり返せる能力(自国が滅んだとしても)という発想は、やはり冷静さを欠いていたのでしょうね。普通に考えれば頭が悪いとしか思えません。 ただ現実的には有事に実際に機能する最低限の核弾頭数を確保するということで計算されているのでしょうか。 どの計算結果がただしいかわかりませんが・・・・。
補足
つまり・・・・「俺を殺せばお前も死ぬぞ」 フグが毒をもつのと同じ発想ってことですか。
核兵器には戦略核と戦術核がありまして、戦略核は都市とかを吹っ飛ばす用のミサイルや爆弾。戦術核は敵戦車や軍艦、敵基地や敵部隊に対する攻撃手段です。 つまり一口に核兵器と言っても大小様々なものがあると言うことです。 また、核ミサイル一つ取っても、発射すれば当然迎撃を受けます。 ミサイルによる攻撃を成功させるためには、相手の迎撃力を上回る飽和攻撃、つまり数が必要になります。 1都市に対し100発程度の飽和攻撃を行うと過程すれば、 1000発だと10都市まで、となります。 核兵器何千発の中には多くの戦術核兵器が含まれますので、何千発と言っても全てが都市攻撃用ではない点にも留意して下さい。 古くて使用不能な物、戦時には工作員等によって破壊される物など不測の事態も含め、また、 ロシアや中国、アメリカ等の国土の広い大国相手にはそれくらいの数が必要になると言うことです。
お礼
回答ありがとうございます。 確かに、昔のようにメガトン級の核爆弾は主流ではなくなってますね。 たしかに、戦時にすべてが機能できるわけではありませんよね。
- ithi
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cwdecoder さん、こんばんは。 要はそれだけの破壊力を持つ核兵器を持っていることにあります。相手にとっては脅威ですからね。そんなものが自国が狙われ、時刻が相手の軍事大国を狙っている。それだけでも緊張感を持ちますよ。だから安易に使えない。それが抑止力というものです。
お礼
回答ありがとうございます。 それは分かるのですが、問題はその数です。全人類を何回も滅ぼせるほどの弾数を持たなくては核抑止力は得られないのでしょうか。
お礼
なるほど、納得できるご回答です。 よく考えると、標的までの距離に合わせたミサイルがそれぞれ必要になりますね。1000kmくらいしか離れていない目標にICBMは(原則的には)使えませんし、巡航ミサイルに核弾頭が搭載される場合もありますね。