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核兵器の威力について。
広島での核爆弾は、地上600メートルで爆発したとありますが、現在の核兵器は、ミサイル着弾と同時に地上で爆発するのでしょうか? 被害の大小は、爆発の高度で違うのでしょうか?
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核弾頭は起爆すると半径 2km (10kt 標準原爆) 〜10km (10Mt 水爆) 程の火の玉が発生して、その内部は数千度にもなりますので、何もかもが蒸発します。 広島では高度 600m 程で起爆しましたから真下の地上は半径 1km 程が蒸発しましたが、Concrete の建物等は一瞬の超高熱に耐えて崩壊を免れたものの建物の内部は千度を超える熱波が入り込み、これに巻き込まれた人は蒸発しています……確か原爆 Dome の階段下には人が蒸発した場所という案内板があったと記憶します。 一方、熱波が入り込まなかった地下室等の密室では生き残った方もいらっしゃったものの、起爆中心から半径 1km ほどは数分から数時間で細胞が崩れて死に至る強力な放射線を浴びますので、起爆中心直下の地面から半径 1〜2km の範囲にいた人は数日も経たぬうちに亡くなります。 一瞬で数千度に熱せられた起爆中心部の空気は急激に膨張しますので、千度以上の爆風が周囲に吹き広がり、鉄道の線路や鉄塔等が熱で柔らかくなって反り曲がってしまいます……勿論、人は爆風で吹き飛ばされると共に焼かれますし、建物も火が点いて吹き飛びます。 起爆位置からそれ以上遠いところは kt や Mt で表される原爆の威力や熱核反応型か中性子型かといった種類、更には周囲の地形によって必ずしも同心円状に威力が反比例するわけではなくなるのですが、広島/長崎の標準原爆で半径 10〜15km ぐらいまでは死傷者を生み出す爆風が吹き荒れたようですね。 一方、地表で起爆させると球状に広がる爆発 Energy の大半は地面を抉る事に費やされますので地面には爆発による Crater が生じ、爆風による被害は半減してしまいます。 その代わり、抉られて蒸散した灼熱の土埃は放射能を帯びていますので、風下側 100km 以上に渡って放射能の土埃が降り注ぐ事になります。 原爆攻撃の目的は幅数十km 長さ百 Km 以上に渡って人が立ち入る事の出来ない放射能汚染地帯を作る事ではなく、放射能汚染被害は最小に止めながらも熱爆風或いは放射線による人々の瞬時殺傷ですので、高度 1km 弱ぐらいで起爆させるが最も効率が良いのです。 因みに中性子爆弾と呼ばれる核弾頭は火の玉を可能な限り小さな、半径数百m のものにする事により高度 1km で起爆させても火の玉が地表には触れず、爆風による被害も起爆直下から半径数百m 程度、戦車に乗っていれば耐えられるくらいの熱爆風しか起きない代わりに、数分から数時間で人体細胞が破壊される程の放射線は半径 1km 以上届くようにした核弾頭となっており、戦車軍団の上空で起爆させると戦車は全く傷付かず、木々もちょっと焼け焦げるくらいで凪ぎ倒されるほどではないのに、戦車の乗員達は数時間以内に全員が放射線障害で死に至るというものになっている一方、地表が殆ど放射能で汚染されないので、直ぐにも爆心地に自軍を進める事ができる核弾頭になっています。 世界最大の核兵器は嘗て 50Mt の水爆、最小の核兵器は 10t (kt ではなく TNT 火薬 10t 相当) が作られましたが、いずれも現在は退役して、殆どの核弾頭は 1Mt 以下、数百 kt の核威力となっています。 但し、1 基の ICBM の弾頭部に 10 基の核爆弾突入体を仕込んでいたりします。 10 基のうち数基は迎撃 Missile を誘き寄せる囮だったりもするのですが、複数の核爆弾を 10〜20km 間隔で起爆してやれば数Mt 級核爆弾 1 発を起爆させるよりも広範囲に渡って被害を及ぼす事ができます。 この多弾頭型 ICBM は 1996 年の第二次戦略兵器削減条約によって破棄される筈だったのですが、米露共に批准後に再び批准を破棄していますので未だに残っている筈です。 300kt の核弾頭は 10kt の広島/長崎型の 30 倍という威力になりますが、縦横高さの被害体積が 30 倍ですので縦横の地表被害面積は 3 乗根の 2 乗倍となる 10 倍、被害半径は 3 乗根倍となる 3 倍程度になります。 一方、北朝鮮が現在使用可能な IRBM は大気圏再突入時の衝撃及び大気との摩擦熱に耐えられない事から大気圏内起爆ができませんので高度 30km 以上の大気圏外で起爆させる事となり、この場合は熱爆風も放射線も地表には届きません。……現在の核爆弾は不慮の事故を防ぐために地表に激突させても起爆できないような構造になっていますので地表起爆という使い方はありません。 大気圏外で起爆させた場合、発生する放射線は人体に害を及ぼすほど強力なものは地表に届かないものの、電気回路には強力な電波障害 Noise を浴びせますので、今や Computer 制御の燃料噴射装置を使っている車は殆どが瞬時に止まってしまいますし、Radio や TV も壊れ、町は送電制御器が壊れて停電します。……止まらないのは電波攻撃防御が施された一部の軍用機や Computer (Mi'Com') 制御の電気回路を持たない機器ぐらいです。 直ちに人死には出ないものの Life Line が全滅しますので被害地域の経済活動は停止してしまい、復旧には多大な労力を要する事になります。 従って現在の核兵器は着弾すると起爆する着発信管のものはなく、全て空中 (または水中) で起爆させるようになっており、目的とする被害形態を最も効率よく実現させる最適の高度 (或いは深度) を洗濯できるようになっています……尤も空から降ってくる Missile は毎秒 1km〜5km もの速度がありますので地表付近で起爆させる Timing を合わせる事が難しく、やはり高度数百m で起爆させる事になります。
お礼
詳細なご回答ありがとうございます。