「所要量」というのは「必要量」と同じ意味です。
MRP資材所要量計画というのは、生産のための資材が、いつどれだけ必要になるかを明確にする活動でしたよね。
「能力所要量」というのは生産能力の必要量です。
生産をするためには、ヒト、モノ、カネという経営資源が必要です。
作業員がどれだけの作業時間が必要か
生産設備をどれだけの時間稼働する必要があるか、
原材料をどれだけ消費する必要があるか
そのためにコストがどれだけ嵩むか
これが「経営資源への負荷」です。
さて、居酒屋という製造業(?)を考えてみましょう。
生産に携わる作業者は、店長とアルバイト2名の合計3名とします。
生産設備は3口のガスコンロ、まな板が2枚、包丁が4本とします。
この居酒屋の名物はおでんです。
おでんの製造工程は、
1)具材を切る。:能力所要量、作業員1名、まな板1枚、包丁1本
2)具材を1時間煮込む:能力所要量、ガスコンロ1口
3)弱火で温度を一定に保つ:能力所要量、ガスコンロ1口
4)注文があったらさらに盛り付けて出荷する。:能力所要量、作業員1名
以上です。
生産設備は3口の能力があるのですが、おでんを常に過熱しているので、1口は常に使用中です。ですから生産設備の利用可能能力はガスレンジ2口です。
焼うどんの注文が入りました。そこで、店長が焼うどんを作り始めました。
ガスレンジをもう1口使いますから、この時点で生産設備の利用可能能力はガスレンジ1口に減りました。
そこへ厚焼き玉子の注文が入りました。
アルバイトの一人が調理を始めました。ガスコンロを1口使います。
これでガスコンロの利用可能能力はゼロになりました。
そこへ熱燗の注文が入りました。
作業員はもう一人アルバイトがいますが、ガスコンロはもう空いていません。
つまり、注文による能力所要量がガスコンロの利用可能量を上回ったわけです。
これがあい路です。
製造業などの現場でよくあるのは、A、B、Cの3つの工程からなるラインで製品を作るような場合で、工程AとCでは1時間に3,000個の生産能力の機械を2台ずつ使っている。
工程Bは生産機械が老朽化したので、最新型の1時間で5,000個の生産能力のある生産機械を導入した。
というような場合です。工程AとCとは2台の機械で1時間当たり6,000個の生産能力がありますが、工程Bは最新型の1時間5,000個の生産能力のある機械を1台で生産しているので、生産能力は1時間当たり5,000個です。
すると、このラインの生産能力は1時間当たり5,000個になります。
生産ライン全体の生産能力を決めているのが工程Bになります。
この時、最新型の機械を入れた工程Bがあい路(ボトルネック)ということになります。
お礼
詳細且つわかりやすい御説明ありがとうございます。具体例をあげていただいたおかげで、よく理解出来ました。