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グララアガア

 宮沢賢治の小説「オツベルと象」の作中には「グララアガア」なる表記が複数登場しますが、あれは象の鳴き声だと考えれば宜しいのでしょうか?  それとも象の群れが突き進む際の音や揺れを表している擬音なのでしょうか?  はたまた、記されている箇所によって異なり、鳴き声の場合もあれば擬音の場合もあるのでしょうか?

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  • Postizos
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回答No.2

質問に答えたのみですが、判断することができないとお考えであればそれで良いと思います。*(最初から自分なりの結論があってそれを裏付ける答えをお望みならそれはそれでけっこうだと思います。これは皮肉などではありません。) ただこれは吠え声と思って読むのが面白い。 最初に 〈議長の象が高く叫ぶと、「おう、でかけよう。グララアガア、グララアガア。」みんながいちどに呼応する。〉 と書いてあるのは「これは象の鳴き声ですよ」と最初に展示・提示しているわけでここで最低限の説明をしたわけでしょう。このあともいちいち「グララアガアと吠えた」なんて書きたくないから最初に説明しているんです。 象の門を壊す音も、ピストルの弾が当たった音も同じ音だとするのはちょっと無理があります。それではオノマトペを創った意味がない。グララアガアは吠え声でもってその全てを「代用」しているからおもしろい。いちいち説明していない。 「ドシーンと壊した」とか「バリバリと破った」というようなお決まりの描写やオノマトペを使わないでグララアガアという怒りの声で全てを表しているから痛快なのです。(ですからおっしゃるように壊す音全てを代用しているという言い方はできなくはないですが) 「『象がどしどしなだれ込む』様子を表現するためのオノマトペ」はすでに〈どしどし〉が使われています。 グワアグワアについてはおっしゃっているとおりかもしれないですね。 この文のオノマトペはひらがなとカタカナのものがあって、私は原稿そのままの使い分けと解釈していますが、ひらがなが一般的なオノマトペでカタカナが擬音と解釈できるように思います。 グワアグワアについては、なんの音だとしても象の立てている音の全てがグララアガアではないことは言えますね。 なお賢治の原稿の多くはばらばらなので、文のつながりや順序も現行の出版物が著者の意図のままとは限りません。 このお話の最後もつながらないままの状態になってます。 *誤読・誤解や一般的ではない解釈も一種の創造であると思うので、色々な解釈はできるほうがよいのではないかと私は思いますし、作者も自由な解釈ができる含みをわざと設けているとも言えます。 文学において「正しいひとつの解釈」なんて無いと考えるべきです。おっしゃっていることもひとつの読み方と思います。

kagakusuki
質問者

お礼

 再度の御回答誠に有難う御座います。 >ただこれは吠え声と思って読むのが面白い。 >最初に >〈議長の象が高く叫ぶと、「おう、でかけよう。グララアガア、グララアガア。」みんながいちどに呼応する。〉 >と書いてあるのは「これは象の鳴き声ですよ」と最初に展示・提示しているわけでここで最低限の説明をしたわけでしょう。このあともいちいち「グララアガアと吠えた」なんて書きたくないから最初に説明しているんです。  仰る通りだと思います。その点に関しては前回の御回答を頂いた段階で既に概ね納得しておりました。  前回の御回答に対するお礼欄で私が >只、2~4の御説明内容に関しては良く解りませんでした。 と書いておりますのは、書かれている文章そのままの意味で、あくまで2~4の御説明に書かれている根拠や論理が解らなかったので、何故その様な論理展開になるのかを御教え頂けたら幸いに思うというだけの事であって、別に「1を根拠にして『グララアガア』の全てを象の鳴き声であるとする事」に対して異論があるという意味では御座いません。

その他の回答 (1)

  • Postizos
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回答No.1

見てみました。 1.〈象は一せいに立ちあがり、まっ黒になって吠えだした。 「オツベルをやっつけよう」議長の象が高く叫ぶと、 「おう、でかけよう。グララアガア、グララアガア。」みんながいちどに呼応する。〉 〈吠えだした〉〈みんなが一度に呼応する〉とあり、あきらかに吠え声と考えられます。 2.〈さあ、もうみんな、嵐のように林の中をなきぬけて、グララアガア、グララアガア、野原の方へとんで行く。どいつもみんなきちがいだ。小さな木などは根こぎになり、藪や何かもめちゃめちゃだ。グワア グワア グワア グワア、花火みたいに野原の中へ飛び出した。それから、何の、走って、走って、とうとう向うの青くかすんだ野原のはてに、オツベルの邸の黄いろな屋根を見附けると、象はいちどに噴火した。  グララアガア、グララアガア。〉 ・〈林の中をなきぬけて、グララアガア、グララアガア、〉とあるので鳴き声。 ・〈グワア グワア〉→〈藪や何もかもめちゃめちゃだ〉とあるのでこれが壊す音でしょう。 ・〈象は一度に噴火した。グララアガア、グララアガア。〉→噴火は怒りの比喩で鳴き声と解釈できます 3.〈間もなく地面はぐらぐらとゆられ、そこらはばしゃばしゃくらくなり、象はやしきをとりまいた。グララアガア、グララアガア、その恐ろしいさわぎの中から、 「今助けるから安心しろよ。」やさしい声もきこえてくる。〉 やさしい声に対置されているので言葉ではなくて怒りの叫びだと考えることができます。 地面が揺れるようすは〈ぐらぐら〉という普通のオノマトペで表現されている。 〈ばしゃばしゃくらくなり〉は変わった表現。 4.〈さあ、オツベルは射ちだした。六連発のピストルさ。ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、〉 ドーンとグララアガアが交互になっていて象とピストルの呼応だとわかる。 5.〈五匹の象が一ぺんに、塀からどっと落ちて来た。オツベルはケースを握ったまま、もうくしゃくしゃに潰れていた。早くも門があいていて、グララアガア、グララアガア、象がどしどしなだれ込む。〉 落ちてくる音は〈どっと〉という普通の擬音、オツベルがつぶれるのも〈くしゃくしゃ〉という普通の擬態語、それにたいしてグララアガアは象専用の擬音になっています。(門は開いているのだから門の壊れる音ではない) 1.の グワア グワア も木や藪を「根こぎ」にする擬音として区別して使われています。これも普通の擬音。   象の怒りの鳴き声という通常聞いたこともないようなものを表現するためにこういう耳慣れない専用のオノマトペを作る必要があったのだと考えるべきでしょう。 なお底本によって文章が違うのでそのあたりはご容赦下さい。 https://www.youtube.com/watch?v=zc1Ct8A0Lxs

kagakusuki
質問者

お礼

 御回答頂き有難う御座います。  全て象の鳴き声を表すために創作された専用のオノマトペという事ですね。  只、2~4の御説明内容に関しては良く解りませんでした。  作中の文章では、 >小さな木などは根こぎになり、藪や何かもめちゃめちゃだ。グワア グワア グワア グワア、花火みたいに野原の中へ飛び出した。 となっており、<グワア グワア グワア グワア>は<花火みたいに野原の中へ飛び出した>の方に付いているのにもかかわらず、何故、 >〈グワア グワア〉→〈藪や何もかもめちゃめちゃだ〉とあるのでこれが壊す音でしょう。 として、別の文となっている〈藪や何もかもめちゃめちゃだ〉の方に結び付けておられるのでしょうか?  <グワア グワア グワア グワア>は像たちが<花火みたいに野原の中へ飛び出した>時の様子を表すオノマトペではないのですか? >〈象は一度に噴火した。グララアガア、グララアガア。〉→噴火は怒りの比喩で鳴き声と解釈できます との事ですが、「噴火は怒りの比喩」ではあっても、何故それがその後に続く「グララアガア、グララアガア」という擬音を鳴き声だと見做す理由になるのでしょうか?  例えば「A君はブチ切れた。プッツン」や「Bさんは頭から湯気を立ち昇らせて爆発した。ドッカーン」という表現において、「ブチ切れた」や「頭から湯気を立ち昇らせて爆発した」も怒りの比喩である事に変わりはありませんが、「プッツン」は堪忍袋の緒が切れた事を表現するオノマトペか、血管が切れた時の音であって、A君が口にした言葉などではありませんし、「ドッカーン」は怒りの感情を爆発的に露わにした事を表現するオノマトペであって、Bさんが口にした言葉などではありません。 >間もなく地面はぐらぐらとゆられ、そこらはばしゃばしゃくらくなり、象はやしきをとりまいた。グララアガア、グララアガア、その恐ろしいさわぎの中から、 >「今助けるから安心しろよ。」やさしい声もきこえてくる。〉 >やさしい声に対置されているので言葉ではなくて怒りの叫びだと考えることができます。 に関しましても同様で、対置されているのは「やしきをとりまいた象たちが騒ぐ事によって生じる騒音の"恐ろしさ"(騒音の大きさ)」と「その中から聞こえて来る声の"やさしさ"」である様に思えますので、両方とも「声」であるとは特に言う事は出来ない様に思えます。 >ドーンとグララアガアが交互になっていて象とピストルの呼応だとわかる。  こちらも「グララアガア」が象の鳴き声であるとする理由にはなっていない様に思えます。  例えば、「兵士は銃を構えると敵戦車に向かって発砲した。ダーン、カキン、ダーン、カキン」という表現において、「カキン」は単に戦車の装甲が銃弾を弾き返した音に過ぎず、戦車が「カキン」という鳴き声を上げた訳ではありません。  それと同様にドーンとグララアガアが交互になっているからと言って、ピストルの音とそれに応じて象が起こす行動を表現しているオノマトペか、その行動に伴って生じる音を表しているに過ぎない様に思えます。  もちろんその象達の行動が鳴き声を上げる事である可能性だけはあるものの、それ以外の行動である可能性を否定する理由は特に無い様に思えます。 >〈五匹の象が一ぺんに、塀からどっと落ちて来た。オツベルはケースを握ったまま、もうくしゃくしゃに潰れていた。早くも門があいていて、グララアガア、グララアガア、象がどしどしなだれ込む。〉 >落ちてくる音は〈どっと〉という普通の擬音、オツベルがつぶれるのも〈くしゃくしゃ〉という普通の擬態語、それにたいしてグララアガアは象専用の擬音になっています。(門は開いているのだから門の壊れる音ではない)  その考え方では「グララアガアは象専用の"擬音"」に過ぎず、「鳴き声」であるのかそれとも「象が立てている声以外の音」なのか判断する事が出来ません。  「グララアガア、グララアガア、」の直後に「象がどしどしなだれ込む」と続いているのですから、「象がどしどしなだれ込む」際の音や、「象がどしどしなだれ込む」様子を表現するためのオノマトペという可能性の方が高いのではないでしょうか?

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