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ヨーロッパの教会のステンドグラスについて

ヨーロッパを旅行したときに不思議に思ったんですが、プラハやブダペストの教会にはステンドグラスがあったのに、ウィーンやザルツブルクの教会にはありませんでした。 なぜですか? 時代? 宗派の違いですか?

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回答No.1

具体的にどの教会を御覧になったかがわからないので、代表的なものを比較してのお話です。 基本的には時代と建築様式からくる違いですが、教会ごとに創建時から現在までの成立史上の事情が違うので、ステンドグラスの状態もいろいろだと思います。 ウィーンのシュテファン大聖堂はゴシック建築です。中世の建築様式には、ゴシック様式の前にロマネスク様式(1000~1200年頃)があります。ロマネスク様式の時代は、大きな窓は技術的にまだ作ることができなかったため、教会の上方に小さな窓があるだけで、ステンドグラスはありません。ゴシック建築になると大きな窓を作ることが可能になり、壮麗なステンドグラスはゴシック様式の特徴になります。したがって、ゴシック様式で作られたウィーンのシュテファン大聖堂には、当然ステンドグラスがありました。 ゴシック様式のあとのルネサンス建築では、古代の寺院の様式の復興が行われ、風通しのよい明るい空間が作られるようになったため、ステンドグラスはなくなります。それに次ぐバロックの時代も、教会内は、中世のような神秘的な暗さではなく明るさが好まれ、光を多く取り込むことが重要になります。 オーストリアの多くの教会は、17世紀にバロック様式に改修されます。シュテファン大聖堂でも、17世紀中ごろに内部がバロック様式で改修され、中世のステンドグラスは時代に合わないという理由で無色のガラスと交換されました。19世紀になると、歴史主義建築といって、古い時代の建築様式の復古がありますが、ここにネオゴシックという様式が出てきます。この時代に、シュテファン大聖堂のステンドグラスは再び極彩色の壮麗なものに変えられました。しかし、第二次大戦の爆撃によってこれも失われることになります。中世のステンドグラスはごく一部残っていますが、現在のシンプルなステンドグラスは、1950年代にチロル州から贈られたものです(下の写真の左の3枚が中世のもの、右端のものがチロルから贈られた現代のステンドグラス)。 https://de.wikipedia.org/wiki/Stephansdom_(Wien)#Fenster http://www.wien-kanko.com/2014/01/19/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E5%A4%A7%E8%81%96%E5%A0%82%E3%81%AE%E5%BD%93%E6%99%82%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9/ ウィーンの環状通りにフォティーフ教会がありますが、こちらは19世紀にネオゴシック様式で建てられたものなので、最初からステンドグラスが使われています。これも第二次大戦でかなり破壊され、一時的に普通のガラスをはめ込んでありましたが、その後の修復でステンドグラスが復活しました。原画が失われて再現不能な個所は、新たに制作されています。 https://de.wikipedia.org/wiki/Votivkirche_(Wien)#Fenster 同じくウィーンのグラーベンにある聖ペテロ教会は、起源は古いのですが、現在残っている建物は18世紀初頭のバロック時代に新しく建て直されたものなので、ステンドグラスは使われていません。 ザルツブルクなら、たとえば三位一体教会はやはりバロック時代に建てられたものなので、時代の様式上ステンドグラスは使わず光を取り込む形になっています。 ブダペストのマーチャーシュ教会は、起源は11世紀ですが、13世紀にロマネスク様式で建てなおされた後、14世紀に後期ゴシック様式で改修、完成されたので、当然ステンドグラスが使われていたと思いますが、オスマン・トルコの占領後モスクとして使用され、オスマン駆逐後カトリックの教会に戻ってからはバロック様式に改修され、19世紀に再びネオゴシック様式で復元されるという複雑な経過があります。現在のステンドグラスも19世紀にネオゴシック様式で制作されたもので、中世のものではないようです。 プラハの聖ヴィート大聖堂も似た様な経過があり、当初はロマネスク様式、14世紀にゴシック様式で建築が始まるものの、未完成のままルネサンスやバロックなどの様式が混合されて不統一になってしまいます。19世紀になってネオゴシック様式による修復、完成工事が始まりましたが、ステンドグラスは、20世紀に入ってから、ネオゴシック様式の祭壇に合わせてアルフォンス・ミュシャとマックス・シュヴァビンスキーが新たに制作したものです。 ここに上げた以外の教会を御覧になっている場合は、それぞれの歴史を調べていただければわかると思います。12世紀中ごろから15世紀までのゴシック様式時代に建てられた教会にはステンドグラスが使われていますが、途中で失われ、19世紀以降ネオゴシック様式により復興したものもかなりあるということです。最初からゴシック様式以前の時代のロマネスク様式、およびそれ以後のルネサンス様式やバロック様式で建てられた教会ではステンドグラスは使われていません。 宗派についてひとこと付け加えると、プロテスタントは、原則としてステンドグラスが使われている教会は所有していません。これを、プロテスタントの偶像崇拝の否定が理由と考える人が多いですが、必ずしもそうではないということです。ステンドグラスが使われている中世の教会をプロテスタントがそのまま使用している場合、ステンドグラスは撤去せずにそのまま残しており、偶像崇拝の対象とされる危険はあまりないと考えられたようです。プロテスタントが新たに教会を建てるときにステンドグラスを使わなかったのは、単に「光」をより多く必要としたからだということです(アルフレート・ラウハウスという人の書いたドイツの書物を参照しています)。 (バッハの質問にお答えできずにすみません。現在、音楽関係のカテゴリの回答を中止しております。事情はあとでプロフィール・ページに書いておきます。)

vivian1206
質問者

お礼

早速のそして詳しいご回答をありがとうございました。 まず、ウィーンのヴォティーフ教会とシュテファンは大改装中(11月のシーズンオフだったため)でした。Salzburg の大聖堂(Dorm)とサンクト・ペーター教会に入りましたが、天井に明り取りの天窓はありましたが、ステンドグラスはありませんでした。  プラハでは、プラハ城の中にある聖ヴィート大聖堂(ご回答にある、ミュシャの有名なステンドグラス)やSt.イジー教会。ブダペストでは、聖イシュトヴァーン大聖堂などを見ました。 なるほど・・・長い間の疑問がとけてスッキリしました。  バッハの「フランス組曲」 に関しては先生と相談してみます。 現在、夏のSemester で課題曲が3曲あり、その中のドゥビッシー「子供の領分」に苦労しております。いままで、私が弾いていた 作曲家の曲とは、ぜんぜん違っていて戸惑います。やはり、私には古典があっているような気がします。

vivian1206
質問者

補足

たった今、コラムを拝見しました。 同感です。 私も質問を投稿したとき、ストレスのはけ口にされたような回答に気分を害したことがあります。 音楽のカテに いつか戻ってきてくださいね。お待ちしております。 Bach の「フランス組曲」のご回答、ありがとうございました。調べてみますね!!

その他の回答 (1)

回答No.2

フォティーフとシュテファンは改修中でしたか。それは残念でした。 >Salzburg の大聖堂(Dorm)とサンクト・ペーター教会に入りましたが、天井に明り取りの天窓はありましたが、ステンドグラスはありませんでした。 ザルツブルクの大聖堂は、ロマネスク様式の時代に創建されましたが、12世紀の政治的騒乱時に街が焼かれたときに大きく損壊しました。再建は17世紀で、ルネサンスと初期バロックの二人のイタリア人建築家が主導したので、バロック様式です。ステンドグラスがないのはそのためです。サンクト・ペーター教会も同様で、最初はロマネスク様式ですが、17世紀にバロック様式で改修されており、内部の回廊はバロックと古典主義の中間にあたるロココ様式の明るいものです。 >St.イジー教会。ブダペストでは、聖イシュトヴァーン大聖堂などを見ました。 プラハとブダペストへ行ったのは20年以上前で、当時は建築様式の知識もなかったので何も覚えていないのですが、ネットで写真を見ると、聖イジー教会にはステンドグラスは無いように見えます。教会自体はゴシック様式ではありませんね。ロマネスクとバロックです。ただ、14世紀に聖リュドミラ礼拝堂がゴシック様式で改修されているので、そのあたりに少しステンドグラスがあったのでしょうか。ちょっと確認できません。聖イシュトヴァーン大聖堂は新しいものですね。こちらも、ステンドグラスはそれほど多くはなかったのではないでしょうか。19世紀に古典主義様式で建てられ始めていたものが崩壊し、その後ネオルネサンス様式で完成されています。ステンドグラスはどうやら20世紀に入ってから製作されたもののようで、教会自体の建築様式とはあまり関係がないかも知れません。 教会を見て歩くとき、建築様式についての知識があるのとないのではずいぶん違うと思います。絵画の様式については知る機会が結構ありますが、建築様式はなかなか勉強する機会がないものです。私も十分な理解がないまま見ていたことを、今さらながらに惜しかったと思っています。今でも詳しいわけではありませんが、興味は尽きません。書物もあると思いますが、ネット上でもある程度のことはわかりますので、お調べになるとよいでしょう。Wikipediaの英語版などは結構詳しく書いてあります。 Naverまとめ http://matome.naver.jp/odai/2135123886596610601 http://matome.naver.jp/odai/2137404532218347601 Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Architecture_of_cathedrals_and_great_churches 今後、音楽関係の御質問をお出しになっていることに気付いた場合は、今回と同じ方法で回答するかもしれません。直接御連絡することができないのでちょっと不便ですが・・・

vivian1206
質問者

お礼

再び、ありがとうございました。シーズンオフに行くと、改装中だったりしますが、逆にすいているのでいいこともあります。 シェーンブルンは待ち時間なしで入れましたし、王宮もすいていました。ベートーヴェンの散歩道では、空きすぎて誰もいなくて道に迷いましたが。ハハハ。 そうですね。これからは、質問を見つけていただいて、 今回のような形でお願いします。 来年は Chopin の故郷、ワルシャワ に行く予定です。 また、よろしくお願いいたします。現在、Chopin のノクターン とMozart と 前述のドゥビッシー、計3曲で青息吐息です!! 暑い夏、お体に気をつけてお過ごしください。

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