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町火消しと十手持ち
お江戸だけの事かもしれませんが、 町火消しと十手持ちとはあまり反りが合わなかったという話を聞いたことがあります。 【質問】 1. 事実でしょうか? 2. 理由は何でしょうか? 3. どんな事例があるでしょうか?
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十手持ち、というとおかしいです。岡っ引きでしょう。 十手は同心も持っています。 同心は警察署の刑事ですから、町火消しとの接点はもともとありません。 この話はプライドの問題です。 岡っ引きというのは、まともな職業ではありません。 半七だとか銭形平次というような時代劇キャラクタで見るから、人格者の探偵みたいに思う人がおおいと思います。そんなことはない。 あれは、同心が自分のお金を払って子分として使った下働きです。 文化文政時代前期に一応禁止されたことがあったのですが、某有名人物が復旧させたのです。 長谷川平蔵こと鬼平です。あのドラマを一度ご覧になったらわかりますが、手下は全員犯罪者です。 ドロボーだったり、相模の彦十だとか粂八だとかいうのは、一度捕まって拷問を受けたような極悪人です。 それを、死罪にしないで助けてやる代りに自分の手下になれというのが鬼平のパタンです。 鬼平というのは、話にするためにいろいろと余分なお肉をつけたところがありますが、要するに、暗黒街の捜査をするならそこに詳しいものがいたほうがいいわけです。 もと盗賊だったり人殺しだったりしたら、これからつかまえようとする大物のこともよく知っているわけで、そのために手下にしておくわけです。 だから岡っ引きというのは、職人とか商人というような正業につけないでニート状態であるような、明日は犯罪者みたいなものを小遣いをやって飼っておくものです。 当然のことですが、こういう品性の連中ですから、町を見回るときには「どうでいとっつぁん元気か」なんか言って店に入ると、商品は無料でくれ、袂に少々放り込んでくれるという話になります。 これは、やくざがみかじめ料なんかという名目で商店をむしるのと変わりません。 こういうお金をあてにすれば生活は成り立ちます。 店にとっては岡っ引きがくるのが見えたら、あああいつが来た、とうんざりしたものだったようです。 鬼平以前に一度禁止されたのももっともです。 江戸時代の刑務所として有名な小伝馬町では、もし岡っ引きだった人間が入ってきたら生きては出られなかったそうです。 中に収納されている犯罪者たちからいったら、岡っ引きというのは仲間の面汚しで裏切者ですから。 そのため、もしその職業だったものがここに入ることになったとすれば、牢役人におみやげとしてお金を持ってきて、なんとか極秘にしてくれと頼んだそうです。身分が知られたら命はありません。 さて町火消しですけど、こちらはいろは48組といいますが、「へ」「ん」「ひ」は抜いて別の文字にしていました。 これらは公式の消防部隊です。 とはいえ、気が荒い連中がそろっており、め組の喧嘩でおなじみのように、いざとなると相撲取りと乱闘をするような気質の連中です。 まあほとんど暴力団ですけど、素人衆にたかったりすることはない。 なにしろおかみの御用を努める消防士ですので。気持ちとしては堅気です。 この火消しと岡っ引きが仲がいいわけがないと思いませんか。 もしぶつかったら、体制の問題になります。 消防と警察の衝突なんてあってはならないからです。どちらもやくざものだとしても。 困ったことに双方とも無駄なプライドを持っています。 だから相互に接触を避けます。 それこそ、め組の喧嘩で、岡っ引きがとんでくる光景なんかないでしょう。同心はちらちらしていましたが。
お礼
なるほど出自や経歴の違いですね。 町でのあり方とか。 有難うございました。