1. テーブルの上に、1個のリンゴがありました。
2. そのリンゴを、Aさん、Bさん、Cさんの3人で切り分けて食べました。
…ここまでは事実です。実際に起きた出来事です。
3. Aさんはそのリンゴが美味しいと言いました。
4. Bさんはそのリンゴがまずいと言いました。
5. Cさんはそのリンゴに毒が入っていて死んでしまいました。
これらは、3の場合、Aさんは「事実」美味しいと言ったのですし、またその言葉が嘘であっても、Aさんにとってはリンゴがおいしかったことが「真実」となります。
で、 Bさんもこれに同じく、「事実」まずいと言い、Aさんの意見とは異なりますが、Bさんにとってはリンゴがまずかったことが「真実」となります。
そしてCさんは死んでしまいました。Cさんが死んだことは「事実」で、またリンゴは毒が入っていて死んでしまったのも「事実」です。しかしAさんとBさんはそれぞれ意見は違いますが死んではいません。
そこで、このリンゴに毒が入っていたのは「事実」か?と考えてみます。
AさんとBさんは死んでいません。
ですので、リンゴが毒入りであったことは「事実」ではなく、あくまでもCさんのみにとっての「真実」なのです。
「事実」はあるひとつの物事ですが、「真実」はその「事実」の捉え方として、無数に存在します。しかしひとつの捉え方のみから考えれば、「真実」は嘘偽りのない本当のことでもあり、しかし捉え方を変えると、それはまったく別のこととなってしまうわけです。
「事実」はひとつ。しかし「真実」は視点の数だけ複数存在し、そのどれもがその視点においては正しいのです。
お礼
具体的な例をあげて、ご説明をいただき、ありがとうございました。すべてを読み切っているわけではありませんが、とりあえず「事実」と「真実」を考える上で、ヒントをあるように思います。