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ゴムとプラスチックについて
ゴムとプラスチックはともに高分子材料ですがなぜ室温で、ゴムはものすごい伸びをみせ、プラスチックは伸びずに硬い性質を示すのかがいまいち理解できません。わかる方がいましたらよろしくお願いします。
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プラスチックの弾性とゴムの弾性の違いについて質問されていますが、レオロジー的な観点からエントロピー弾性とエネルギー(エンタルピー)弾性との違いを質問されているのだと思います。 金属や弾性率の高いプラスチックは主にエネルギー弾性を示します。 これはshota_TKさんが説明されている固定された分子鎖の結合角度の変化や金属原子の位置変化に起因する弾性現象です。 これらは温度依存性が小さいので、金属で出来ているバネばかりは、少し温度が変化しても弾性率の変化が小さいので実用に耐えうるのです。 それに引き替え、エントロピー弾性、つまりゴム弾性は、温度依存性が大きく温度上昇により、弾性率か高くなります。(縮もうとする力は温度と上昇と共に強くなります。) エントロピー弾性はゴムの分子鎖そのものの形が外力によって大きく変形し、高分子の糸巻きが形を変えながら伸びて、徐荷によって元の形に戻るという事に起因するからです。 分子鎖が元の形に戻ろうとする力が弾性率の源で、これは熱運動によって引き起こされますので、高温ほど戻ろうとする力、つまり弾性率は高くなるのです。 このようなゴム弾性を示すためにはいくつかの条件が必要です。 1,ガラス転移温度が使用温度よりも充分低いこと。 分子が自由に形を変えられなければ、ゴム弾性は発揮されません。 輪ゴムでも液体窒素で冷却し、ガラス転移温度よりも低くすればエネルギー弾性になってします。 2,結晶性が低いこと。 ポリエチレンやポリプロピレンのガラス転移温度は室温よりも低いが結晶性が高いため、分子が拘束されている。結晶性をなくせば(例えば、両者を共重合し分子鎖を不規則にして結晶性を落とせば、エチレンプロピレンゴムとなる。) 3,外力によって分子鎖間が「ずるずる」ずれないように分子間を拘束しておくことが必要。 一般的には加硫や架橋によって実現されるが、加熱によってはずれるものを使えば、低温ではゴム、拘束点がはずれるよな温度に加熱すると流動し成形できるようになる。これが所謂、熱可塑性エラストマー。 温度を上げると、弾性率が高くなり、硬くなると言うイメージは持ちにくいかもしれません。 これは、分子の拘束が不十分な場合、温度上昇によって分子がずれて、流動する因子が入ることがあるからです。 この分子間のズレが、粘弾性といわれるところの粘性項に相当します。 ところで、エラストマーとはゴム弾性体の総称だと理解しています。 hihikohaさんが >ゴムは、硫黄分子の架橋によって、伸び縮みしますが、 >プラスチック(エラストマー)は、二重結合等の自由度の範囲で、伸び縮みします。 という説明は、私には理解できません。 最も代表的なゴムである天然ゴム(輪ゴムもそうです。)は、高分子の主鎖中に二重結合を含みます。 そして、高分子鎖が大きく変形するエントロピー弾性(ゴム弾性)の代表格だからです。
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- shota_TK
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プラスチックでも、可塑剤を添加すれば弾性率を大きく下げることができますが、ゴムの弾性挙動は「ゴム弾性」あるいは「エントロピー弾性」と言って、メカニズムが全く異なります。 非常に簡単に言うなら、プラスチックの弾性は、固定された分子鎖の中の結合の微妙な移動によるものですが、ゴム弾性は分子鎖そのものが大幅に移動する現象です。 よって、プラスチックとゴムの弾性変形量が極端に違ってくるわけです。
- hihikoha
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「ゴム」と、「プラスチック」に、分けられてしまうと、回答に困ります。 「熱可塑性プラスチック」の中には、伸びる物も有ります。 確かに、「ものすごい伸び」ではありませんが、「エラストマー」と、呼ばれるプラスチックは、ゴムの性質を持っていますので、伸びます。 ゴムは、硫黄分子の架橋によって、伸び縮みしますが、 プラスチック(エラストマー)は、二重結合等の自由度の範囲で、伸び縮みします。 タッパの蓋等、ポリエチレン製品は、伸びこそしませんが、柔らかいですよ。 電動ドリルのグリップ等に、エラストマーは使われたりしています。
- amine
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高分子(ポリマ-)は粘弾性体であり、弾性(ばね)と粘性(液体)の両方の性質を持ちます。したがってゴムの定義そのものが難しい。同じくり返し単位をもつポリマ-でも加工、配合により大きく伸び縮みしたり、伸びの極めて小さな材料ができます。一般には、 1.ガラス転移点の違い ゴム材料は、ガラス転移点が一般に室温より低い温度であり、一方通常のプラスティックは室温より高いガラス転移点を持ち、室温で分子運動のしやすさ(ゴムはミクロに見れば室温で液体)が異なる。ところで、ポリ塩化ビニルなどのプラスティックに可塑剤などが大量に配合されてゴム状塩ビと呼ばれる見かけのガラス転移点が下げられた材料があるが、この場合厳密にゴムとはいえないかも。 2.エントロピ-弾性 橋かけされたポリマ-は、外部より力が加えられた場合、もとの安定な状態(エントロピ-大)に復元しようとする(伸ばしてはなすと元に戻る)。しかし橋かけ密度が高くなると最後には弾性のないがちがちのゲルとなる。ガラス転移点の低いポリマ-でも架橋密度を高めて行くと、伸びない材料となる。しかし、この場合でも架橋間の分子構造(1.ガラス転移点など)の影響は大きく、同じ架橋密度でもゴムとしての性質が異なる。 と、以上取りとめのない話ですみませんでした・・・。
お礼
早速のご回答ありがとうございました。なんとなく1ではないかと思っていたので少し胸のつかえが取れました。
お礼
ご回答をいただいた皆さん、非常に丁寧に説明してくださり、ありがとうございました。とてもよい勉強になりました。