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表現行列を分かりやすく教えてほしいです
f(x)=AxとなるA、ということしか理解していません ~~の基底による表現行列、という書き方がされていますが、 基底による、というのがしっくりきません ググってあらゆるサイトを見たのですが結局あまり分かりませんでした ご回答お願いします
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まずはじめに線型写像ありき,というところから出発するといいと思います. たとえば3次未満の1変数複素多項式からなる線型空間 V を考えます. V = { a*t^2 + b*t + c | a, b, c は複素数 } これは3次元線型空間になります.(たとえば基底として( t^2, t, 1 )を取れば,すべての多項式は a*t^2 + b*t + c*1 と表せるし,a*t^2 + b*t + c*1 = 0 ならば,もちろん a = b = c = 0.)線型空間 V 上の写像として並行移動 f: V → V をとってみます. f(a*t^2 + b*t + c*1) = a*(t + 1)^2 + b*(t + 1) + c = a*t^2 + (2*a + b)*t + (a^2 + b + c)*1 これは線型写像になっています.基底の元を計算してみると f(t^2) = 1*t^2 + 2*t + 1*1, f(t) = 0*t^2 + 1*t + 1*1, f(1) = 0*t^2 + 0*t + 1*1. 表現行列を使えば f[t^2, t, 1]^T = [[1, 2, 1], [0, 1, 1], [0, 0, 1]] [t^2, t, 1]^T と表せます.ここで ^T は転置を表すことにします. 上のように表現行列は定義されていたと思います.が,ここで大事なのは線型写像 f は基底を取らなくても定義できる概念であることです.(直観的にはグラフを左にひとつズラすだけですからね.)けれども表現行列は基底の選び方に依ります.ひねくれた人は基底として (t^2, t, 1)ではなくて (t^2, 2*t + 1, 2) なんてものを取るかもしれません.すると f(t^2) = 1*t^2 + 1*(2t + 1) + 0*2, f(2t + 1) = 0*t^2 + 1*(2t + 1) + 1*2, f(2) = 0*t^2 + 0*(2t + 1) + 1*2 となるので同じ写像を考えているのにもかかわらず「別の表現行列」が現れます. f[t^2, 2t + 1, 2]^T = [[1, 1, 0], [0, 1, 1], [0, 0, 1]] [t^2, 2t + 1, 2]^T これが表現行列が基底の取り方に依るということです.したがって表現行列に言及するときには,どの基底を考えているのか明記しなければなりません.(細かいことを言うと順序まで込めて.) 以下余談.同じ線型写像を計算するにしても,基底の取り方によって行列が違うなら,なるべく計算のラクそうな基底を最初に選んでおこう,という考えになります.(実際,ふたつめの行列のほうがゼロがたくさんあるでしょ?)じゃあ,どんな基底を選べばよいか,というのがこれから習うであろう対角化やJordan標準形で扱う主題です.うまい変数変換をすると問題がかんたんになるのと似てますね.
お礼
よくわかりました、非常に詳しい解説ありがとうございました。