「春眠暁を覚えず」は孟浩然の「春曉」ですが、「春宵一刻値千金」は北宋の蘇軾(蘇東坡)の「春夜詩」ですね。
春宵一刻値千金 (しゅんしょういっこくあたいせんきん)
花有清香月有陰 (はなにせいこうあり、つきにかげあり)
歌管楼台声細細 (かかんろうだいこえさいさい)
鞦韆院落夜沈沈 (しゅうせんいんらくよるちんちん)
歌管=歌と楽器の音。
楼台=高殿。
鞦韆=(女性が遊ぶための)ブランコ。
院落=中庭。
沈沈=日本語で言えば深々でしょう。
ということで素直に訳すとまあこんな感じでしょうか。
春の夜は、何とすばらしく値打ちがあることか。
花のいい匂いが漂い、月はいい具合に霞んでいる。
高殿から聞こえていた音曲ももうおさまったようだ。
中庭のブランコに今夜は静かに更けていく。
で、わたし流の解釈はといえば、・・・・。
きっと作者は、高殿の宴会から意中の女性を連れて中庭に抜け出したのではないでしょうか?
暑からず寒からず、とてもいい気持ちの春の宵だ。
霞んだ月のおかげで回りからは見られる心配もないし、女の髪の甘い匂いにうっとり。
先ほどまでの宴会も、いつのまにか終ったようだ。
ふたりブランコで寄り添い、愛を語らいながら、ずっとこうしていたいなあ。
・・・・といった気持ちを詠んだのではないかと想像しますが
蘇東坡といえば中華料理でブタのバラ肉を蒸したあの東坡肉(トンポーロー)も彼が考案してその名を今に残していますね。
きっと人生を楽しむ達人だったのでしょう。
お礼
ご回答ありがとうございます。 なんとも良い詩ですね。 shishishishiさん流の解釈を読むとその情景を鮮明に想像することができました。昨日、会社の帰りに涼しくてあまりの心地よさにふと「春宵一刻値千金」という言葉が思い浮かびました。詳しいご解説ありがとうございました。