無償だということなら,賃貸借じゃなくて使用貸借です。
使用貸借については民法第593条~第600条に規定があります。
使用貸借は,通常,貸主と借主の特別の人的関係から,
貸主の好意に基づいて無償でなされるものです。
そのような背景から,契約書を作成するのはまれだと思われます。
当事者が返還の時期及び使用目的を定めずに使用貸借をしたときは,
貸主は,いつでも返還を請求することができます(民法第597条3項)。
仮に離婚した元妻の生計維持を目的とした場合でも,
それは元妻以外の人の居住を予定していないでしょうから目的外使用となり,
民法第597条2項の解釈に基づき直ちに返還請求できるものと考えます。
また民法第594条2項で「借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に
借用物の使用又は収益をさせることができない。」
そして同条3項で「借主が前二項の規定に違反して使用又は収益をしたときは、
貸主は、契約の解除をすることができる。」とあります。
契約を解除し,返還を請求するのは正当な権利行使です。
契約の解除により当事者は原状回復義務を負います(民法第545条)。
1項但書きに「第三者の権利を害することはできない」とありますが,
貸主に無断で居住している元妻の夫は,居住に関して正当な権限を
有していないので,この第三者には該当しません。
不当利得の返還請求(民法第703条)として追い出すことが可能です。
所有権に基づく妨害排除請求としてもいいと思います。
無権限者である元妻の夫は抗弁できません。
まあ,それはそれとして。
元妻の夫は無権限居住者なので本来当事者にするのはおかしいのですが,
後であれこれ言われるのも面倒なので,
居住者全員から署名をもらっておいたほうが無難でしょう。
記名(印刷やゴム印)捺印はダメです。あくまでも署名(+捺印)で。
それこそ「そんなことしていない」とつけ込まれる原因になりますから。
内容も,
・返還はいつ(確定日)までに行う。
・原状に回復して明け渡す。居住者の所有物は全て収去する。
・貸主に属さない残置物は居住者の負担において処分する。
その処分方法に関して居住者は異議をとなえない。。
・居住者の退去後,当事者立ち会いのもとに現状を確認する。
ぐらいは入れておいた方がよいのではないでしょうか。
お礼
すごく参考になりました。ありがとう御座います。