大型旅客機に限定したことで言えば、「>筒型の胴体」には理由があります。
小型機では断面が四角に近いものがありますが、「与圧」を行う、高高度を
飛ぶ飛行機は断面が丸かそれに近い形をとります。これは空気・ガスボンベ
が円筒形をしている理由と同じで、内圧で変形して断面が真円になろうとする
応力に対応した形です。与圧航空機の最大の構造負荷はこの与圧によるもの
であり、もともと断面が真円でないものは、「床」が引っ張りに耐えることで
楕円や瓢箪型(double-bubble)の形を保ちます。いずれにしても表面外皮
(skin)への引っ張り応力で与圧荷重に耐える前提なので、必然的に円筒に
近いものになります。
次に上からの平面形ですが、「>ほとんどの飛行機は」と言っても例外もあり、
多くが今現在そうなっている経緯と理由は簡潔には説明が難しいのですが、
目的が限られた旅客機が「こうはなっていない」理由は一部説明がつきます。
「先尾翼」式をとると、重心は主翼の前にあります。飛行機の自重と最大重量
には倍ほどの差がありますが、民間輸送目的の場合、この重量(ペイロード)は
燃料と貨物と乗客です。これが多くても少なくても重心が飛行可能範囲内になくて
はなりません。
重量物は、揚力発生している主翼に極力持たせることで胴体を持ち上げることで
かかる荷重を減らしたいので燃料も主翼に積みますが、重心後方の主翼に多くの燃料、
少ない乗客と貨物、では前に余計なバラストを積まないと重心が合わないかもしれ
ません。(実例はありますが。リアエンジンの旅客機では、乗員訓練などで乗客
も貨物も積まない場合、後ろが重すぎて前方にバラストを積みます。本来は通常
運航では利益にならない不要な重量物は積みたくありません。)
燃料を重心に近い主翼に積む、今日の一般的な形状だとこの問題は起きにくいこと
になります。
「無尾翼」はある意味では飛行機にとってメリットが大きい形で、余計な抗力
発生する胴体・尾翼、「下方に」揚力発生する水平尾翼もなくなります。
重量物はすべて主翼に納まってしまうので先の問題もありません。
ステルス優先のB-2爆撃機が実現しているので、この大きさも技術的に出来る
訳ですし、安定も電気/電子的に補正出来ています。以前、科学雑誌かなにかで
1000人乗りクラスの大型旅客機の未来の形として載っていたのも見ました。
しかし、現在「突然」この無尾翼大型機を完成させても色々問題が生じます。
「幅」が巨大だと現行の滑走路は使えないかもしれません。現状の空港の
ボーディングブリッジも使えません。それに、乗客にとって「横」の面が少ない
のでほぼ「窓無し」の客室になります。航空会社がこんな機体を購入して路線
投入するか、は現段階では無理があると思います。
結局、大きく重くなった高バイパス比のエンジンは主翼に吊り下げ、重心に
近い主翼配置、ペイロード変化に対応できる水平尾翼を持ち、現状の空港
設備・運航支援設備を支障なく使える、現在の形に収束してきたのだと考え
ます。これも再び超音速旅客機が台頭したり、エンジンや構造材等、技術的に
変化があれば将来は変わっていく可能性はあるでしょう。