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【英語】大母音推移について
- 英語史における大母音推移の過程について調べています。
- 大母音推移は引き上げ連鎖と押し上げ連鎖の2つの説があります。
- 押し上げ連鎖では、中高舌母音が高舌母音を押し上げることで起こりますが、引き上げ連鎖では別の過程が行われる可能性があります。
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>押し上げ連鎖というのは、中高舌母音である[e:][o:]が高舌母音の[i:][u:]を押し上げ、空白となった中高母音のスペースに、それより下に位置する母音が上がってきたという理解でいいのでしょうか? 母音配置図に母音の変化を落とし込んで、"その部分だけ"見ればその理解でいいと思います つまり、そのまた低い位置の母音の舌の位置が高くなったから、"押し上げられて"その空白の部分に位置したということですよね ただ、実際わからないのは、高いものが低い方に移行したから、その空白に低いものが"drag"されたのか、押しやられてしまったから高いものが低いものに移行したのか(主にdiphthongに) 色々な研究者がまだ辿りつけていない結論なので、簡単に説明できるはずがないのですが "理屈としては"、「drag」「push」「both」の3つです ただ、どれをとったにしても、"どの音から始まったか"もわかっていない また、順番に変化したのかもわからない 全体が少しずつ変化したかも知れませんよね 400-500年かかってるわけですから、変化の当事者(その当時の英語の話者)もその変化に気が付いていないでしょう Great Vowel Shiftの変化でまず知らなければいけないことは、「長母音」の変化だということです それが音韻的に変化して二重母音に変化したりしています 空きスペースへの移行も、音がかち合えば、どちらかがどこかに行かなければいけない Great Vowel Shiftの場合は、全体的に低いものが高いものに移行したようですよね(語弊のないように 高めのものから低いものに移行したものも当然ある。そうでないと、きれいに循環しない(空きスペースが埋まらない)) あとほとんど語られていないのが、「方言」の存在です Great Vowel Shiftは、今のstandardと呼ばれているものに照らして"このように変化した"と説明していますが、GVSの始まった時代ってstandardは存在したかしないかの時代ですよね つまり、GVSの流れにのった方言と、影響度の少ない方言は存在するわけで、GVSの本当の姿なんて誰も描けないわけですし、GVSと異なる母音変化があったかもしれないわけです まして、全く同じ発音の母音を持つ単語が全て一斉に違う発音に変化したわけでもない(この点だけで、dragだとかpushだとかを語るのは少し違和感を感じます) Scottish Englishなんかは、どちらかというと二重母音ではなく長母音を多用するわけで、これはGVSの影響度と関係しないとは言えないと思います 回答に戻りますが、結果的にはsystematicに変化したように見えるGVSですが、話者が"意図せず"、"ある方言内での変化"と"方言同士の影響"などさまざまな要因が絡み合って発生した現象ですから、「この原因によってこうなった」という説明はかなり難しいのではないかと思います 社会的要因も加味する必要があるからです (変化の発端となった発音を使用していた人々の身分・階級も考えなければいけない。また、このような変化を誘因するような社会状況も考えなければいけない) だから、ここはpush、ここはdragというように認識するのはあまり意味がないように思います ま、/i:/が/aI/になったなんてのは音韻的に説明はすぐできるのですが、じゃ/i/という発音はいつもそういう運命にあるのかというと、アメリカで今まさに起こっている変化、Northern City Vowel Shiftとか、Sothern Vowel Shiftなどは全く違う動きを見せるわけです これは音韻だけでは説明できないと思います 社会的要因なども全て加味する必要があるでしょうね http://www.ling.upenn.edu/phono_atlas/ICSLP4.html
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- SPS700
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僕の見た所、変わったのは事実、それが「引き」上がったのか、「押し」上がったのかは、後世のお偉いさんが、勝手に作ったこじつけの「説」明だと思っています。 ですから「押す」方を信じれば、おっしゃる通り、「押し上げ連鎖というのは、中高舌母音である[e:][o:]が高舌母音の[i:][u:]を押し上げ、空白となった中高母音のスペースに、それより下に位置する母音が上がってきたという理解でいい」と思います。 僕がどう思っていようが、余り関係ないと思うのですが、言葉は、流行で、同音異義語が、増えると忌避反応が働く(日本語ですと、例えば、大体と代替がダイタイだと、後者をダイガエと言い換える)とおもいます。 それと同じように 「干し葡萄]の raisin も[e:]、 「分別」の reason も [e:] となると、後者が上に上がって「i:」になる、(たしかシェイクスピアのころは同韻で、韻を踏んでる詩がありましたね)訳です。 押されると満員電車と同じで空いてる方(二重母音など)へ、押されて行った。もともと、低母音の領域が増え(前寄りの fǽt、後寄りの fɑ́ːðər に分かれるなど)「おいお前ら目障りだ上行け」と中母音に言ったのでしょう。
お礼
ありがとうございます、返信が遅れて申し訳ありません。 確かに、どちらの説明もこじつけと言われればそう感じます。そんなに機械的に変化していくとも考え難いですしね…。 社会言語学的な要素も内在してるのかもしれませんね。
お礼
非常に詳しく回答していただきありがとうございました。 そうですよね、様々な要因が複雑に影響しあって変化してきたならば、ただ一つの原因の説明をするのは困難になりますよね。「音声学」といった一つの領域からのアプローチではなく、多方面から解明していくことが重要ですね。