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民俗学について調べています。
憑きもの筋について、よくインターネット上で、 『狐憑病のような患者が出て、遺伝を怖れ婚姻で疎まれる被差別家系』 と説明をしているのを見かけますが、 私の読んだ本では、 『憑きもの筋の家系は狐や犬神や蛇が金品を運んできて富を築くが、憑きもの持ちの家筋の人が他人を恨むと、恨まれた人に狐や蛇が勝手に憑依して狐憑病を発症させると言われる。 また、憑きもの持ちの家筋の嫁を取ると、例えば狐を持つ家筋では狐が75匹ついてきて、嫁を受け入れた家も狐持ちの家筋になってまうので、婚姻で疎まれる被差別家系』 といった内容しか書いてありません。 後者だと、『憑きもの筋の家に狐憑病が発症することはありえない』という理屈になりますが、前者の説も正しいのでしょうか? 諸説あるということでしょうか? 前者の説を詳しく記述している書籍や該当箇所の引用なども、もしあれば教えていただければ助かります。 ※この差別自体、急成長した商家などを妬んだ近隣の貧しい人が、言いがかりを付け差別した因習だということは、調べて解りました。
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>『狐憑病のような患者が出て、遺伝を怖れ婚姻で疎まれる被差別家系』と説明をしているのを見かけますが、 著しい誤解です。 後半の説明文も、当たらずとも遠からずといったところです。 宗教的には、荼枳尼天(だきにてん)というのがあります。 元々はインドのヒンドゥー教の女鬼(半女神)でした。これが仏教に取り入れられました。 仏教、特に密教では、仏様を表す場合よく動物の背中に乗せた絵や像を作ります。 荼枳尼天は狐に乗っていました。 上記の動物の中で狐は身近な動物でしたが、象などの動物は実物を知りませんでした。 この考え方が日本の古来の神様にも神様のお使いとして流用されました。お稲荷さん⇒きつね 春日大社⇒しか 大黒様=ねずみetc、みざる、いわざる、きかざるの三猿は御存知ですよね、帝釈天の彫り物には必ず彫ってあります。 狐は身近で身の軽い、賢い動物です。これと上記のような仏様や神様の身近な生き物というイメージが重なり狐には霊力があると考えられるようになりました。 有名な安部晴明の母親は狐とされました。(しのだの狐) 「憑き物」は、現在では精神疾患の症状の類の総称だろうとされています。 悲しいことに、精神疾患には遺伝性のものもあります。 医学的知見のない昔は、訳の分からない現象と捉えられて何か外の力が働いた結果と考えました。この力を発揮しているのが狐ということになりました。 医療技術が未発達な時代には、精神疾患を罹病した人は社会生活が難しく結局疎外されてしまいました。 ざっとこんなことが混ざりあって「狐憑き」ができあがりました。 あとは尾ひれがついて拡散浸透していきました。 民俗学にご興味がお有りのようですが、民間での「狐」の取り扱いを調べて見て下さい。(なかなか面白いです) なぜ「狸つき」と言わないのかも朧げに解ります。 今でも、あやしげな新興宗教や祈祷師が盛んに屁理屈を付けて信じ込ませて金品を巻き上げています。
- kotaro-h
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民間伝承でしょう。高度に発達した都市生活の中で、その文脈が思い出される ことがあるとしたら、日本人の土地と生活観に新しい解釈が加えられるかもしれません。 でも、私も迷信のひと言で片付けるのは面白くないと言うタイプです。 蛇やキツネに、金や財産の縁を結びつけるのは、あきらかに宗教やオカルトに近い 畏れの系譜があるとみています。 稲荷信仰のキツネ神などが、尤もなものでしょう。 これはやはり富みやお金は人の心を狂わせやすい。ときに殺人などに繋がる 動機に今でもなっています。お金は穢らわしいもの、汚れたものと言いながら 皆の憧れるものです。 そのアンビバレントな感覚を、獰猛よりも狡猾や知略に長けた生き物に例え、 神秘性を与えたのが、こういった信仰のルーツだと考えます。 そこに渡来人や帰化民族のエッセンスがあるのかもしれません。 ユダヤだって嫌われていますが、神秘性のある集団と思うから、異民族から怖がられて いたのではありませんか。 貨幣や金銭経済が発達してからの伝承でしょう。 凡庸な人びとから見れば、貨幣が貨幣を呼ぶ(あたかも子供を産むような)利子の 発想が出来ずに、彼処の家はキツネを買っている、蛇が守護神だなんて、噂が広まり このような言い伝えが複雑化して、ときに不測の不幸や災害が起こると、「祟り」が あったと、近所の古老が口走る。(笑) 私はお金にとんと、縁が無いので、このように考えますが、逆から見れば、信心が浅いの だろうなと、つい苦笑してしまいます。 つまらぬ回答でした。
- kamobedanjoh
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「憑きもの」としてみる場合には,家柄~血筋との見方があります。 「犬神の家」とか「狐持ち」なども代表的なものでしたが,俗信仰的な要素も見逃せないと思います。 低開発民族では「トーテム」と呼ばれる祖先神話を伝承する場合が多く,三輪山の祖神が蛇体であったとか,下鴨神社の祖神が雷神であったとか,古代の神社には「犬神人(いぬじにん)」という最下級の神職が置かれていたことなど,口伝や歴史的残滓に係わるものもあるかと思います。 極俗世的なものに「狐狗狸(こっくりさん)」と呼ばれる占い法もあります。 失せ物の所在を占う「狐持ち」と呼ばれる人達,極めて妬み心の強い人が他人に病をもたらすなどの俗信から「犬神憑き」と呼ばれ恐れられる場合もあったようです。 これらは昭和の前半頃まで広く信じられ,「失せ物」探しにも堪能な人が居て,世人からよく依頼されていたことも事実でした。当たり外れは下駄占い程度ではありましたが。 神懸かり的な新興宗教もあれば,狐憑き程度の俗人も居たわけで,全体が迷信深さの表れであったと思われます。 古事記などはこうした俗信の宝庫ですし,「宇治拾遺」等にも色々出てきます。 小生の手元には『古代日本 異族伝説の謎 田中勝也 大和書房 初版1988』が有ります。
お礼
元は占術を生業とする家筋のことを憑きもの筋と呼んだんですね。 異族伝説の謎という本は読んだことがなかったので、探してみます。 回答ありがとうございました。