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デンドライト状結晶
よく文献にデンドライト状結晶と書いてありますが これはどのような形でどのように発生するんでしょうか? 基本的な質問でスミマセンが、宜しくお願い致します。
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「デンドライト」は主に金属工学の分野、特に金属組織、結晶成長などと関連した文献で出てくる用語ですね。どの分野の文献か尋ねている人がいますが、分野すら分からないとなると回答はそもそもおぼつかないことでしょう。 デンドライト状結晶は金属融液を凝固させた際に典型的に観察される組織で、「樹枝状結晶」などとも呼ばれます。漢字で書けばなんとなくイメージはつかめると思いますが、何はともあれ図で示したいと思います。参考ページ[1]から「凝固現象5 成長界面の安定性・不安定性」のpdfファイルをダウンロードして開いてみて下さい。 1ページ目にサクシノニトリル*1の結晶成長の写真が4枚載っています。(写真内では下側が結晶、上側が液相) 左上の写真は結晶-液相の界面が平坦な場合、右上の写真は界面が乱れて突起が並んだ形状になった場合、左下・右下の写真はさらに界面が乱れ側枝を持つ形状になった場合の例です。このような樹枝状の結晶のことを「デンドライト状結晶」あるいは単に「デンドライト」と呼びます。 結晶成長において界面が平坦な面を保ったまま成長するか、あるいは波打ったり上述のデンドライトのように荒れたりするかについては重要な問題であり、古くから研究がなされています。数式を用いた詳細な説明は前出の「凝固現象5 成長界面の安定性・不安定性」のpdfファイルをお読み頂くとして、かいつまんで定性的に説明するなら以下のようになります。 溶液からの結晶成長の場合、下図のように溶液内の遠方から溶質原子が次々と結晶表面(固液界面)にやってきて、それが順次析出することで成長が進みます。 ● ● ● ●溶質 ● ● ● ↓● ● 溶液 ● ● ↓ ↓ ● ● ● ↓ ↓ ↓ ●  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 結晶表面 このような状況下では、溶質の濃度には結晶表面からの距離に応じて勾配が生じます*2。すなわち、表面から遠いほど濃度が高くなる分布になります。 さてこの状況で、何らかの原因により界面に凹凸が生じたとしましょう。凸部先端近傍の溶質の濃度は平坦部のそれより高くなりますからより成長しやすくなります。また凹部近傍では溶質濃度が平坦部のそれより低くなりますから成長しにくくなります。すると界面の凹凸は一層強調されることになり、さらに溶質の濃度差が開きます。この繰り返しにより最終的には冒頭で説明したデンドライトに至ります。 詳しい定量的な説明については「凝固現象5 成長界面の安定性・不安定性」のpdfファイル、5-1, 5-2を読んでみてください。 *1 サクシノニトリルは金属ではありませんが、金属の凝固挙動をよく模擬できるのでモデル物質としてしばしば選ばれます。 *2 拡散方程式を解くにあたって、成長している結晶の表面は溶質の吸込み口として扱われます。これが濃度勾配の源です。成長が速くなると吸込み量が多くなりますが、その場合濃度勾配が大きくなってデンドライトが生じやすくなります。 [1] http://www.mpd.ams.eng.osaka-u.ac.jp/lecture/FunctionalMaterialsProcess/
その他の回答 (1)
>よく文献に どの分野の文献でしょうか? 以下の参考URLは参考になりますでしょうか? 「湿式法による酸化亜鉛および塩基性炭酸亜鉛粉体の合成」 ここで「Fig.1」が参考になりますでしょうか? 「リチウム二次電池」ではこの析出が問題になるようですが・・・? ご参考まで。