- ベストアンサー
Serine conformationって?
ある医学系の論文で出てきたのですが、ある種の蛋白の特定のアミノ酸配列に対して反応するmonoclonal抗体についての内容で、抗体作製時の抗原がウシ由来の蛋白で、それを用いてヒトの組織を免疫組織染色すると、その蛋白が正常のものではほとんど染色されることはなく、リン酸化等の修飾により変性が進み、構造が変化したものが陽性に染色されるとのことです。 その原因として、ある特定の位置のアミノ酸がウシではserineであるのに対し、ヒトではprolineであるため、正常の蛋白はいまいち反応しないものの、その変性した蛋白で陽性反応を示すのは、prolineが "serine conformation"を起こしているためと結論づけています。 このserine conformationとは、一体どのような状態なのでしょうか?
- みんなの回答 (41)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
MiJunです。 ryumuさん、お礼が遅くなりましたがありがとうございました。 実は、ご紹介頂いた本をryumuさんが投稿される前に図書館から借り出して来て読んである程度理解してからと思ってましたので(これ以外にも3冊程借り出してますが)。 ryumuさん、基本的な質問から 1.tau 2が認識するシークエンス(sonorinさんの補足より) (Bovine) AGIGDTSNLEDQAAGHVTQARMVSK …tau-2免疫抗原 (Human) AGIGDTPSLEDEAAGHVTQARMVSK この部分の二次構造を予測することは可能でしょうか? ⇒1-2サイトで「二次構造予測」するのを見つけて、入れてみましたが駄目でした。 (データが蓄積されていないと・・・?) 2.先に紹介したBBRCのPaperのように、同じシークエンスのペプチドを合成して NMR・CD等で検討すれば分かるのでしょうか? 3.「reverse-turn structure」とは、ご紹介頂いた本の「ターン」のどのタイプ に相当するのでしょうか? -------------------------------------------------- sonorinさん、 確かに、C末に関してはconformationも含めて情報が多いようですが、N末に関しては情報が少ないようですね? 「tau抗体」に関しても、検索した論文にいくつか紹介されてますが、N末に関するものは補足で説明された以外には見つかりませんでした? 初歩的な質問ですが、 4.tau proteinは核内にあるのですよね?それで、tau proteinが存在する場(環境)はどのような場なのでしょうか? (種々のイオンの存在はあるのでしょうか?) ⇒最終的にはtau proteinは親水的な場にあるのか、疎水的な場にあるのか? おそらく親水的な場にあるのでは想像しますが・・・? (関連ありそうな?論文) Biochemistry 2000 Aug 1;39(30):9039-46 Role of phosphorylation in the conformation of tau peptides implicated in Alzheimer's disease. Daly NL, Hoffmann R, Otvos L Jr, Craik DJ. Institute for Molecular Bioscience, Centre for Drug Design and Development, University of Queensland, Brisbane, 4072 QLD, Australia. ・Immunodominant peptides corresponding to tau(224-240) and a bisphosphorylated derivative in which a single Thr and a single Ser are phosphorylated at positions 231 and 235 respectively, and which are recognized by an Alzheimer's disease-specific monoclonal antibody, were the main focus of the study. ・The nonphosphorylated peptide adopts essentially a random coil conformation in aqueous solution, but becomes slightly more ordered into beta-type structure as the hydrophobicity of the solvent is increased by adding up to 50% trifluoroethanol (TFE). ・a small population of species containing a turn at residues 229-231 in the phosphorylated peptide ・the selection of a bioactive conformation from a disordered solution ensemble may be an important step (in either tubulin binding or in the formation of PHF) is supported by kinetic data on Pro isomerization. ・Thr231 phosphorylation affected the rate of prolyl isomerization and abolished tubulin binding. ・we find evidence for the existence of both trans and cis forms of tau peptides in solution but no difference in the equilibrium distribution of cis-trans isomers upon phosphorylation. ・Increasing hydrophobicity decreases the prevalence of cis forms and increases the major trans conformation of each of the prolines present in these molecules. 5. J.Neurochem.の論文でFig.6の結果の読み方を教えて下さい。特に、Aの方ですが? (実験方法が良く理解出来てませんが?) 6.検索した論文の中には以下のようなものがあります。 J Biol Chem 1994 Aug 26;269(34):21614-9 Analysis of microtubule-associated protein tau glycation in paired helical filaments. Ledesma MD, Bonay P, Colaco C, Avila J. Centro de Biologia Molecular Severo Ochoa, Consejo Superior de Investigaciones Cientificas-Universidad Autonoma de Madrid, Spain. ・paired helical filaments (PHFs), the major components of which are modified forms of the microtubule-associated protein tau. ・phosphorylation is one of the modifications that result in the polymerization of tau into PHFs. ・hyperphosphorylation alone is insufficient to explain the formation of PHFs. ・glycation may be one of the modifications hampering the binding of tau to tubulin in Alzheimer's disease, thus facilitating tau aggregation into PHFs. glycationに関しては専門家の間ではあまり問題視されていないのでしょうか? さらに関連しそうな論文のAbst.抜粋を載せます(またまた混乱させるかもしれませんが・・・?) (1)J Biol Chem 1997 Mar 28;272(13):8441-6 Conversion of serine to aspartate imitates phosphorylation-induced changes in the structure and function of microtubule-associated protein tau. Leger J, Kempf M, Lee G, Brandt R. Center for Neurologic Diseases, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, Boston, Massachusetts 02115, USA. ・A phosphorylation sites (positions 156 and 327), first to alanine to eliminate phosphorylation, and second to aspartate, to mimic phosphorylation. ・a serine to aspartate mutation at position 327 results in a conformational change similar to that caused by phosphorylation of this residue. ・an additional mutation at position 156 to aspartate drastically decreases the microtubule nucleation activity of tau but does not affect the activity of tau to promote microtubule growth. (2) Mol Biol Cell 1997 Feb;8(2):353-65 Functional interactions between the proline-rich and repeat regions of tau enhance microtubule binding and assembly. Goode BL, Denis PE, Panda D, Radeke MJ, Miller HP, Wilson L, Feinstein SC. Department of Molecular, Cellular, and Developmental Biology, University of California, Santa Barbara 93106, USA. ・a relatively well-characterized "repeat region" in the carboxyl terminus (containing either three or four imperfect 18-amino acid repeats separated by 13- or 14-amino acid long inter-repeats) ・a more centrally located, relatively poorly characterized proline-rich region. ・the microtubule binding activity of the proline-rich region to Lys215-Asn246 and identified a small sequence within this region, 215KKVAVVR221 ・these capabilities are derived largely from Lys215/Lys216 and Arg221 ・combining the proline-rich region sequences (Lys215-Asn246) with their adjacent repeat region sequences within a single peptide (Lys215-Lys272) enhances microtubule assembly by 10-fold ・intramolecular interactions between the proline-rich and repeat regions. ・a model in which efficient microtubule binding and assembly activities by tau require intramolecular interactions between its repeat and proline-rich regions. 以上です。 さらに調べを継続したいと思ってます。
その他の回答 (40)
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
rei00 です。 今,sonorin さんの紹介された論文のコピ-を取ってきました。子供に邪魔されなければ,今晩読んで見ようと思います。 ところで,図書へ行ったついでに,タンパク質の高次構造が載っていそうな成書を片っ端から開いてみました。と,poly-serine や poly-proline の conformation に関する記述が見付かりましたので紹介しておきます。 「タンパク質化学 第3高次構造」著編者:赤堀四郎,出版社:共立出版,刊行年:1973,MBN:MJ73003587 この本の p.203 によると,タンパク質やペプチドの高次構造に cross-β構造というものが存在するそうです。この構造は,普通のβ構造をシ-トに直角な軸のまわりに 90°まわしたものに相当するそうです。なお,これに対して通常のβ構造を parallel-β構造と呼ぶことがあるそうです。 で,この構造は,各種の球状タンパク質の変形したものなどに見い出されるそうです。また,poly-o-acetyl-L-threonine や poly-o-acetyl-L-serine がこの cross-β構造をとるそうです。 一方,poly-glycine や poly-L-proline では,3回らせん軸をもった鎖が3本あつまっているそうです。 この結果,及び PubMed の「serine conformation」検索でヒットした最も古い文献(1968 年の3文献)の内容から考えると,上記の conformation が,それぞれ「serine conformation」と「proline conformation」だと思います。
お礼
ありがとうございます。cross-β構造の説明は、非常に要点が簡潔に説明されていて、よく分かりました。 異常リン酸化tau蛋白の場合も、高度にaggregationを起こして、蛋白構造にかなり物理的な変化も見られるようですし、こういった現象がtau-2の反応性の変化に繋がっているのかも知れません。 生化学の特に蛋白構造の分野について、詳細にディスカッションできる人間が周囲にいないので、とても助かります。
MiJunです。 sonorinさんの「ある医学系の論文」を教えて下さい。 PubMedでいろいろ検索していたら、それらしき(?)論文がひっかかってきました。 補足お願いします。
補足
長らくこの質問にお付き合いいただいてありがとうございます。 MiJunさんからの補足要求で、これに関して書かれている論文をお知らせします。 Watanabe N, Takio K, Hasegawa M, Arai T, Titani K, Ihara Y. (1992) Tau 2: A probe for a Ser conformation in the amino terminus of tau. J Neurochem 58; 960-966 はっきり言って、あまり生化学的なことについては詳しくないので、素人にもわかりやすくご説明いただけるとありがたく思います。
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
rei00 です。 > rei00さんのご指摘は当方の理解違いかもしれません? 結構この間違いは多いですね。時には論文に間違って表現されていることもあります。余談ですが,お国柄か,ドイツ語圏の雑誌に投稿すると,うるさい程に訂正されてきますね(おかげで,私も気を付けるようになりましたが)。 > さらに、これも「勘違い(理解違い)」があるかもしれませんが、・・・・・ MiJun さん,「勘違い(理解違い)」じゃないと思います。お書きのものは間違いなく「coformational change」です(ここでは結合の解裂が起こっていませんから)。というよりも,タンパク質の「coformational change」とは「高次構造の変化」と考えてよいように思います。 > この質問の「タウタンパク」に当てはめると、・・・・・・ 私の意見も同じですが,MiJun さんの回答と sonorin さんの補足を拝見してから,若干調べた結果を書いた後に,それも踏まえて紹介させていただきます。 まづ,sonorin さんの補足を拝見していて,以前にアルツハイマ-に有効な天然物の探索を検討した際に買った雑誌を思い出し,引っ張り出してみました。その中の「Pharma Medica, Vol.18, No.2, 特集 アルツハイマ-病と異常蛋白沈着による痴呆症をめぐる最近の話題」の p.117 の図2にプロリルイソメラ-ゼによるペプチド結合の異性化の図があります。 また,p.118 には,「リン酸化 Thr231Pro がシス型からトランス型に異性化されると,βタ-ンからランダムコイルへと構造が変化する。」との文章があります(これは異常タウを正常化する方向です)。プロリンのシス型トランス型自身はご存知かも知れませんが,「レ-ニンジャ-の生化学 上」p.207 等にも記載がありますので,適当な生化学の教科書を御覧下さい。 以下私の推測です。 どこかの serine あるいは threonine(勿論,今問題にしている場所以外です)が proline 指向性プロテインキナーゼによってリン酸化をうける。 ↓ PHF 形成が引き起こされる(同時にランダムコイルからβタ-ンへの高次構造変化変化も)。 ↓ 高次構造変化の影響で,問題の位置のプロリンが トランス型からシス型へ conformation 変化する。と同時に,gauche(+) conformation から "serine conformation" = gauche(-) conformation に変化する。 ↓ このプロリン部分の conformation 変化に伴う立体的変化を tau-2 が認識する。 いかがでしょうか。こう考えると,「同じようにリン酸化されているタウが存在しても、tau-2が反応したり、しなかったりするものがあります(glial fibrillary tanglesの一部)」と言う事も,tau-2 が反応しないリン酸化タウでは上記の様な conformation 変化が起きていないとして理解できます。 > この配列がヒントになればいいのですが…。 抗体はアミノ酸配列ではなく,その配列によって作られる特定の立体を認識しています。通常は,この特定の立体がアミノ酸配列に対応付けられるので,特定のアミノ酸配列を認識している様なイメ-ジがありますが,中にはこれが対応付けられない物も存在します(すみませんが,具体例はチョット分かりません)。tau-2 抗体はこの特殊な部類の抗体だと思います。
MiJunです。 rei00さんのご指摘は当方の理解違いかもしれません? 少なくとも、ご紹介の論文では「conformation」と言う表現になっているのですから・・・。 さらに、これも「勘違い(理解違い)」があるかもしれませんが、「coformational change」に関する例として次の例があります。 赤血球中のヘモグロビン(Hb)の酸素化の例があります。 これは、Hbのヘム(プロトポルフィリンFe(II)錯体)に酸素が結合することで、タンパク部分のグロビンが高次構造が変化します。これをconformational changeであると学びました。 この質問の「タウタンパク」に当てはめると、serineがリン酸化されることで(これがDriving forceとなり)、「(リン酸化された)タウタンパク」が高次構造変化を起こし、PHF(paired helical filaments)になるのではないでしょうか? 当然(?)conformation変化が起きているのではないでしょうか? それを「serine conformation"を起こしている」との表現ではないでしょうか・・・? ですから、この場合の「Driving force」はserineのリン酸化だと思います。 そのように考えると、 「prolineが "serine conformation"を起こしているためと」 の部分の記載で「proline」の説明が分からなくなります? 益々混乱させてしまいますが、如何でしょうか?
補足
MiJunさん、rei00さん、本当に熱心にご検討いただいてありがとうございます。一応、このtau-2 monoclonal抗体が認識するタウ蛋白のアミノ酸配列を示しますと、 (Bovine) AGIGDTSNLEDQAAGHVTQARMVSK …tau-2免疫抗原 (Human) AGIGDTPSLEDEAAGHVTQARMVSK このpaperでは、他にRatとMouseのMAPについてもWestern blottingで検討しており、これらはウシやヒトよりもtau-2認識配列の間に2-3個のアミノ酸が余分に存在し、ウシと比較すると2個ほどのアミノ酸相違がありますが、tau-2の反応性はほとんど認められませんでした。 タウにおけるserineあるいはthreonineのリン酸化部位の多くはproline指向性プロテインキナーゼによって起こり、この問題のprolineの直後にserineがありますが、このserineがリン酸化されているという報告はありません。 また、タウの異常リン酸化による構造変化はPHFの形態のみでなく、straightのものや幅の狭いあるいは広いねじれたものもあり、同じようにリン酸化されているタウが存在しても、tau-2が反応したり、しなかったりするものがあります(glial fibrillary tanglesの一部)。この配列がヒントになればいいのですが…。
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
rei00 です。 お礼を拝見して,その内容に関して一言回答いたします。その前に,まとめてお礼されるのであれば,「お礼」でなく「補足」を使われる方が良いと思います。「お礼」はその回答者(今の場合は,私 rei00)にしか届きませんが,「補足」は回答者全てに届きますから。 さて,お書きの『「prolineのserine conformation」とは、prolineが蛋白の構造変化により、物理的な影響を受けて開裂し、さらに側鎖の一部が解離したために起こる現象なのでしょうか?』についてですが。 下の回答にも書きましたが,conformation の変化と言った場合,結合の解裂は関係ありません。と言うより,結合解裂が起こった場合は conformation の変化ではなく,化合物の変化になってしまいます。したがって,今の場合には蛋白のこの部分のアミノ酸配列自身には変化がない(正常蛋白のアミノ酸配列と同じ)と考えられます。 では何が変化しているのか,ですが。おそらく,そのプロリンが "serine conformation" をとる事で,その近辺のアミノ酸側鎖等の空間配置に(微妙な?)変化が生じているのだと思います。で,この違いを抗体が認識したと言う事だと思います。 > 他の方のご意見を、もうしばらくお聞きしたいと思います。 そうですね。「構造生物学」の専門家の方のご意見を伺いたいところですが,どなたかおられませんか。ryumu さん御覧になっていませんか。
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
rei00 です。MiJun さんの疑問の前半について回答いたします。 >「gauche」との表現は「configuration」であって、「connformation」ではないと記憶してます。 MiJun さん,逆ですよ。「configuration = 立体配置」で「connformation = 立体配座」です。つまり,単結合周りの立体を言うのが conformation です。 大抵の有機化学の教科書に載っていますので,今更何ですが,一応 Johannes Dale 著,杉野目浩・大澤映二 訳「三次元の有機化学 -立体化学と立体配座解析-」(養賢堂)中の定義を抜粋しておきます。 立体配置(configuration):同じ構造を有する分子について,互いに分離できる異性体が得られる場合,それぞれにおける原子の空間での結合の仕方を指す。 立体配座(conformation):ある配置を有する分子において,原子が,空間でどのように配置されているかを指す。 いかがでしょうか。
お礼
ここでまとめてお礼させていただきます。Mijunさん、rei00さん、どうも詳細に検討いただきましてありがとうございました。 rei00さんのご紹介のサイトを見たところ、gauche(+)、gauche(-)とかtrans conformationの内容は、立体異性についてだったようです。一番最初の134さんのところでも述べましたが、serineとprolineでは炭素の数が異なる上に、プロリンは環状構造を取っております。これまで討論していただいた色々な点から考えると、「prolineのserine conformation」とは、prolineが蛋白の構造変化により、物理的な影響を受けて開裂し、さらに側鎖の一部が解離したために起こる現象なのでしょうか?他の方のご意見を、もうしばらくお聞きしたいと思います。
MiJunです。 rei00さんのご紹介のサイトで、「gauche(-) conformation」の記載が気になります。 遠い昔に習った記憶(?)では、定義の問題ですが、 「gauche」との表現は「configuration」であって、「connformation」ではないと記憶してます。 ⇒「serine conformation」とは「gauche(+)」configurationを取っているものが、serineのリン酸化によって「conformational change」を誘起して「serine conformation」を取るとの意味でしょうか? 少し調べていて疑問になったのですが、「正常タウ」はどのようなconformationを取っているのでしょうかね・・? 恐らくαーへリックスとβーシートが混じっているとおもうのですが、その中でリン酸化部位のセリンは「αーへリックス」と取っているのでしょうか・・・? タウタンパクがリン酸化されて「PHS」になるようですが、これは「βーシート構造」を取っているようです。 補足お願いします。
- rei00
- ベストアンサー率50% (1133/2260)
専門家ではありませんが,「Infoseek」で「serine conformation」で検索したところ,図入りの説明がありましたので,ご紹介しておきます。 問題のペ-ジ自身をご紹介してもよいのですが,このペ-ジは「Principles of Protein Structure Using the Internet」と題するテキストの一部ですのでこちらの URL を参考 URL に挙げておきます。 問題のペ-ジには,「Section 3 - Protein Geometry, 5th Feb」→「Protein Geometry」→「9.Side-Chain Conformations」とたどると出てきます。 ここに「The gauche(-) conformation is occasionally adopted by serine or threonine residues in a helix」や「With most amino acids the gauche(+) and trans conformations are adopted with similar abundances although the gauche(+) conformation tends to dominate.」との表現があります。したがって,「serine conformation」とは,ここの図にある「gauche(-) conformation」の事だと思われます。 ですので,その論文の「prolineが "serine conformation"を起こしている」とは,正常タンパク中では「gauche(+) conformation」で存在しているプロリンが,変性によって「"serine conformation" = gauche(-) conformation」に変化している,との意味だと思われます。 いかがでしょうか。
以下の参考URLサイトは参考になりますでしょうか? 「3-4:2次構造」 ここでの記載にあるように「βターン」構造を「serine conformation」と言っているのではないでしょうか? 国外のサイトで検索すると、確かに「serine conformation」でHitします。 質問の内容に関してですが、 ・このmonoclonal抗体はウシ由来の蛋白を抗原としてどのように作成されたのでしょうか? ・>ある特定の位置のアミノ酸 これはウシの組織の蛋白中のアミノ酸でしょうか? 参考URLサイトによると「porline」も「βターン」構造をとるので、「serine conformation」同様になる・・・? ・変性した蛋白とは「リン酸化」した蛋白を指しているのでしょうか? ⇒βターン構造を取っているproline残基では陰性で、このprolineがリン酸化されれば陽性になるのでしょうかね? 補足お願いします。 専門家のフォローお願いします。
お礼
ここに出てくる蛋白とは、細網骨格関連蛋白の一つtau蛋白です。ここで問題になっているmonoclonal抗体はtau-2で、この抗体は、ウシの細胞骨格関連蛋白MAPを抗原として作製されたものです。 しかし、このtau-2は、他の抗tau monoclonal抗体やpolyclonal抗体と少し違った反応性を示します。tau-2はアルツハイマー型痴呆等で神経細胞中のtau蛋白が異常にリン酸化されるために機能低下に陥り、蓄積していき細胞構造を崩壊するもので、大半の抗tau抗体はこのリン酸化されたアミノ酸部位に反応するのですが、このtau-2は異常リン酸化部位が存在しないアミノ酸配列を認識します。(他にもこのような性質のmonoclonal抗体があります) ですが、tau-2でウエスタンブロットで分離した正常あるいは異常リン酸化tauのバンドを免疫染色すると、正常よりも異常リン酸化tauの方が強い反応性を示すようです。 URLをチェックしたところ、生化学について比較的わかりやすく書かれているページでした。ですが、βターン構造についてはセリン、プロリンだけではなかったですね。異常リン酸化tauではリン酸化部位はすべてセリンあるいはスレオニンです。 専門家の方のフォローを私も心待ちにしております。
- 134
- ベストアンサー率27% (162/600)
serine COOH H2N-CH CH2OH proline H N COOH / \/ |_| ということで、serine conformation(セリン配座)というのは、プロリンが開裂した状態ではないでしょうか。
お礼
ありがとうございました。 しかし、炭素の数からいくと、プロリンが開裂した状態では、最も近いアミノ酸はグルタミン酸だと思うのですが。 生化学はいまいち苦手意識が強くて、私には理解しづらいです。
補足
今回は特に熟考いただいて、有り難うございます。 4.についてですが、tau は細胞骨格蛋白の一種 tubulin に結合し、2本のtubulin をつなぐ役割を持つ細胞骨格関連蛋白(MAP)の最も低分子のもので、neuron では特に軸索に多く存在し、軸索内の物質輸送のレールを造るものです。neuron の細胞体部分(すなわち核周囲)には高分子のMAPが多く、これら細胞骨格関連蛋白は核内には存在しません。 またtau はリン酸化により、tubulin への結合能が制御され、リン酸化部位が多いと結合能が低下します。胎児性のtau は成人に比してリン酸化されており、成人ではリン酸化が無いかあるいは多くて3箇所ある程度ですが、胎児では約8箇所の生理的リン酸化部位が存在します。tau の変性は主にリン酸化が亢進した場合に生じ、この生理的リン酸化部位以外のSerやThrがリン酸化されています。 normal tauはどの程度親水性があるかどうかはちょっと分かりません。SDSに可溶かどうかについては言及されており、それを利用して異常リン酸化tauを抽出したりされていますが。 でも、疎水性アミノ酸はC末端側1/2(特にtau中央部付近)に多く、またtauのN末端半分は負に、C末端半分は正に荷電しています。 6.のglycationについては、数年前(丁度この論文の発表時)にNOとの関連性で研究対象のブームになっていましたが、今はあまり追求されていません。ですがこのglycationはtubulin 結合部位付近に数カ所確認されていたと思います。 5.についてですが、おかげでもう一度しっかり論文に目を通すことが出来、自分なりの仮説を立てることができた気がします。まず、Fig.6.ですが、この実験方法は、最初にバンドを染色する際の至適希釈を行ったtau-2抗体液を等量分け、これらに合成した2種のペプチド(Ser-peptide、Pro-peptide)を0, 10, 100, 500μMのモル濃度に添加し、合成ペプチドによるtau-2の吸収を行います。bovine tauを各4つのレーンに等量分配し、泳動します。それに吸収処理したtau-2抗体液でバンドを免疫染色したのがFig.6.です。 BのPro-peptideで吸収したものでは、各レーンいずれもバンドが染色されたことから、tau-2 はPro-peptideによってほとんど吸収されなかった(tau-2はPro-Peptideに結合しなかった)ことが分かり、一方AのSer-peptideで吸収したものはペプチドで吸収を行わなかったもの(lane 1)と比べると10μMでもかなりtau-2が吸収されてバンドの染色性が弱まり、100μM以上になるともうバンドは検出されなくなっています。このことから、tau-2の2種の合成ペプチドに対する結合性はSer>Proであることが分かったというわけです。 論文を改めてチェックすると、p964のleftの1行目から6行目にとても重要なことが書かれてあり、Proの存在が蛋白構造を曲げる性質を持ち、これによりbovine tau と正常ヒトtauが劇的にconformationの差異が生じるとありました。また、p965のleftの最後から2行目で、以前rei00さんからも指摘がありましたが、よく全文を解釈すると、ここで言う「Ser peptide-like conformation」はこの合成ペプチドを指し、tauの異常リン酸化に伴い、構造が劇的に変化し、これによってProの部分で曲がっていた構造がSer peptideに近い状態まで押し伸ばされ、よりtau-2に親和性を示すようになったと著者は言いたかったのではないでしょうか?この劇的なPro部分での構造変化は、今までの回答でお教えいただいたようなβターン、βシート、gauche±等の変化(大きいところから小さいところまでまとめすぎな列挙の仕方ですが)によるものなのではないでしょうか? 今後、normal tauとPHF-tauをはじめとするtau-2反応性の異常tauの構造を解析し、このtau-2部位の両者の差異を視覚的に(模式的になるでしょうけど)決定できるようであれば、非常に面白いのでしょうけれど。 皆様のご意見はどうですか?