夜分に失礼致します、補足ありがとうございました。
日本神話のテクストであるならば、第一に挙げられるものは、岩波書店から刊行されている「日本古典文学大系」の第一巻『古事記 祝詞』および同社刊「日本思想大系」の第一巻『古事記』、古典大系を文庫化したワイド版岩波文庫『古事記』があります。
他にも小学館の「新編日本古典文学全集」にも『古事記』はあります。口語訳が付されて1ページの構成が、頭注-原文-口語訳の形ですが、その訳文の内容が時として疑問符のつくこともありますので、あまりお勧めできません。
あと思いつくところでは新潮社の「新潮日本古典集成」と角川書店の「角川ソフィア文庫」に『新版 古事記 現代語訳付』 があります。
角川ソフィア文庫版は「原文・読み下し・口語訳 語句索引・歌謡索引」のフルコースが掲載されていますので、初めて原文に触れようとするならばお勧めできます。
岩波の古典大系および思想大系は大規模な書店で問い合わせれば在庫がある可能性もありますが、現在では版元で品切れの状態です。なお同社の「ワイド版岩波文庫」は刊行中ですので入手もしやすいかと存じます(但し誤植が散見されますので注意も必要です)。
古典大系・思想大系そして小学館版ならびに新潮社版のテクストをお求めになるならば、事前に公共図書館や大学の図書館にも架蔵されている可能性も高く、一度お確かめになってからご購入を決められた方がよろしいかと存じます。
もしそのご友人が日本国内にご滞在であるならば、アマゾンでサーチして比較なさることもお勧めできます。それでも実物を手に取って確かめることに比べれば物足りないかとも存じますが。
【追記】
これは日本中世史を専門領域とする者からの提案ですが、神話には古代だけで形成された性質のものとは言い難い部分も多々ありますので、ある程度は研究論文も参考にしていただく必要もあります。
手始めに、山本ひろ子氏の『中世神話』(岩波新書)赤版593や西郷信綱氏の『古代人と夢』(「平凡社選書13」もしくは「平凡社ライブラリー」)あたりを参考にされてはいかがでしょうか。
なぜ中世に「神話の書き換え」や「新たな神話の構築」がなされたかを考える時、そこには少なからず「王権の正当性に対する補完的要素としての物語性」が要求されたことも作用していますので、そうした歴史学の側面からのアプローチも強ち無意味ではないと存じます。
お礼
とても丁寧に答えてくださってありがとうございます。やはり研究論文も参考にするべきですよね。