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星の王子様と宗教

サン=テグジュペリ著の「星の王子様」についての質問です。 この作品は宗教との関連は明確にされていないと思いますが、 王子様をイエスと考えたキリスト教とは考えられないでしょうか。 特に気になっている点は ・王子様が蛇にかまれて死ぬ(生まれかわる?復活?) ・大切なものは目に見えない(愛?) ・バラや羊の登場 キリスト教にかかわっているのでしょうか?また、キリスト教だけではなく、ほかの宗教と関連があるのでしょうか? 信ぴょう性は問いませんので、回答者様のご意見をお聞かせください。

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.3

No.2です。今週一週間、私は、星の王子さまとサン=テグジュベリに関する本を色々読み漁り、この物語に隠されているサン=テグジュベリの真意を探ろうとしました。 特に、ご質問の「宗教との関連性」--とりわけ、サン=テグジュベリが、幼時からカトリックの環境にあったことに鑑み、キリスト教との関連性につき、仔細に検討いたしました。その検討結果は以下の通りです。 1)サン=テグジュベリは、この本を「最初は子供だった」ある大人の人に捧げています。その理由は、今は大人になった人たちに、子供だった時の純真さ、何でも疑問に思う気持ち、いちずに物事を突き詰めようとする気持ちなどを取り戻してほしいという気持ちの表れだったように思われます。  子供の心で読まなければ、彼が王子さまを通じて伝えたかったことは伝わらないかもしれません。  聖書の中の多くの話を読む時も同じ心掛けが必要かもしれません。イエスは、「神の国」について話をする時、聞く人たちに繰り返し、「子供のようにならなければ天の国には入れない。」と強調しています。  又、大人は物質主義にはまりすぎており、何でも理屈や数字で物事を理解しようとしますが、子供はまず心で理解しようとするとして、子供の心を持つことを推奨しているように思えます。 2)次に登場する人物や事物について、それらが何を象徴しているのか考えてみましょう。  先ず、王子さまですが、これは作者或いは一緒に登場している飛行士の分身であると同時に、イエスの分身であるようにも思われます。イエスも牛小屋の中の小さな飼い葉おけの中で生まれ、最初は「小さくて、弱い存在」でした。  又、ヒツジはキリスト教を象徴する動物であり、イエスのことを指す表現の一つに「神の子羊」というのがあります。 なぜなら、子羊は古来から生贄(いけにえ)のために神に捧げられた動物であり、イエス自身が人類の罪に対する贖い(あがない)として、神に捧げられた生贄との意味があるからです。 3)王子さまは、小さい星で一本のバラの花(彼の妻コンスエロを象徴する)に水をやったり、キツネ(友人たちを象徴する)と友達になったりしていましたが、あまりうまくいかず、彼らと離れて自分の星を旅立ち、6つの星を訪ね、最後に地球にたどり着いた時、砂漠に不時着した飛行士(作者自身を象徴)に出会います。  王子さまは、地上での最後の数日間だけを飛行士とともに過ごしました。地上での1年間の最後の日がやってきて、王子さまは自分の星に戻ることを飛行士に告げます。王子さまの心には、何か恐ろしいことが起こるのではないかと言う予感がありました。  イエスも33年の生涯の内の最初の30年間の間は、父のヨセフの家業であった大工をしていたのかどうなのか、よくわかっていませんが、最後の3年間に公的な活動を行ったようであり、最後には十字架上での処刑と言う苦杯を相当の覚悟で受け入れています。  王子さまが「自分の星に戻る」と言うのは「死ぬこと」であり、その表現は、イエスが「神の国に戻る」というのに似ている気がします。 4)別れる辛さに耐えるために、彼は「思い出」の大切さを強調しています。王子さまは、飛行士とともに過ごした日々の思い出を語り、しかもそうした思い出を「心で語る」ことが大切であると指摘します。ここで有名な言葉が出てきます。「大切なことはね。目で見えないんだよ。」 「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠し持っているからだ。」 目に見えないものが大切だという考え方は、物質主義に相反したキリスト教引いては宗教の基本的な考え方だと思います。 5)「(王子さまの)笑い声を聞くことは、砂漠の中で水を見つけるのと同じ」と言う表現も、聖書の言葉と相通じるところがあります。「水」は聖書の中で非常に良く出てくる言葉で、単にのどの渇きをいやすだけでなく、命や喜び、豊かさや救いを表しています。 6)王子さまが蛇に身を噛ませて死ぬ場面で、彼は「死んだようになるんだけどね。でもそれ、ホントじゃないんだ。」と言います。このセリフは何かイエスのそれと同様、復活を暗示しているようにも聞こえます。 7)サン=テグジュベリは実生活でも飛行士で、まだ飛行機自体が発明後まもなく、危険と隣り合わせの体験を沢山持ちました。夜間飛行や郵便機や従軍飛行機への搭乗の経験から、自然への畏敬の気持ちを持ち、孤独の中で神と向き合い、一方では人間との絆を切実に求め、又人間にとって何が大切かを真剣に希求しました。  日本人は、神に対する畏敬の気持ちよりもどちらかと言うと自然に対する畏敬の気持ちが大きく、大災害に遭遇したりすると「神も仏もあるものか?」という気持ちになるかもしれませんが、(今はわかりませんが、本来の伝統的な)西洋人は、反対であり、不遇の経験があっても、神への信頼はさほど揺るがないのではないかというのが、私の考えです。   このように、この物語は奥が深く、色んな事柄を暗示してくれますが、他にも色んな読み方が出来るのかもしれません。 上記最後の7で書いた通り、彼は自然に対する畏敬の念が強く、その意味では日本人と同様、禅と相通じるものがあるのかもしれません。というのは、次のタイトルの本もあるからです。まだ読んでいませんが・・・。 重松宗育「星の王子さま、禅を語る」ちくま文庫 2012年12月にNHKで放映された「100分de名著サン=テグジュペリ星の王子さま」でもそういった指摘があったようです。 http://takase-fp.at.webry.info/201212/article_10.html 以上、長くなりましたが、ベストアンサーにして頂けることを期待していますので、よろしくお願いします。

yun25
質問者

お礼

少し遅くなってしまいましたが、ありがとうございます! 私も質問を投稿してから改めて本を読んだり関連書を読んで考察してみたのですが、回答者様の考察は自分では解釈しきれなかったところや著者の背景まで項目ごとに考察されていてとても参考になりました! 「なるほど、そういう考え方ができるのか」と新しい発見にもなりました!また、書中の関連事項や参考文献も記載されておりまして読みやすく、うれしかったです! ベストアンサーにさせていただきます。 細かく調べて検討してくださってありがとうございました!

その他の回答 (2)

回答No.2

2月11日夕刻、ご質問を見て、そのご卓見にはっとさせられました! プロフィールを拝見しましたが、高校3年生で、ここまで気が付かれたとは、恐れ入りました。 なるほど、そう言われてみれば・・・と思い、すぐ回答したいという、はやる気持ちを抑え、 2月12日、学生時代以来ウン十年ぶりに、『星の王子様』を一日で読み終わり、 更に、ルドルフ・プロット神父著『「星の王子様」と聖書』(1996年 パロル舎)と言う本を見つけ、この本も本日2月13日読了しました。 結論は、期待した通り、「星の王子様」とキリスト教の関係は大有りだとするもので、私も同感です。 以下にその本の記載事項も引用しながら、その理由を箇条書きにしたいと思いますが、もう少し頭の整理に時間がかかりそうです。 この続きは、日曜までに書きたいと思いますので、もうしばらく締め切りをお待ち頂いてよろしいでしょうか? 無理を言ってすみません。それでは又。

yun25
質問者

お礼

ありがとうございました!

回答No.1

私も、友人でも、研究者でもないのであくまで主観になりますが、 キリスト教の関係は薄いと考えます。 理由として、 1)彼が従軍経験があり、執筆もアメリカ亡命中に執筆されたこと よく、言われることですが、第2次大戦の従軍経験で信仰心が揺らいだと言う話は 多く聞きます。 戦場での地獄のような惨状を見て、神の不在を感じるのでしょう。 ウィリアム・ピーター・ブラッディは、戦後、揺らいだ信仰心から、悪魔祓いに興味を 持ち(悪魔がいるなら、神もいるはずという理屈)、エクソシストを執筆しています。 ましてや、ドイツ軍に故国を占領されたサン=テグジュベリが、愚直に神を 信じられるようなものでしょうか。 2)星の王子様で描かれるものは愛なのかもしれませんが、キリスト教で教えるところの 愛と比べるとロマッチックに過ぎる気がします。 キリスト教的な博愛とは大分違うように思います。 バラにしても、多くのものより自分が見つけた一つのバラを愛情の対象にしています 大分前の話ですが、バラのメタは、テグジュベリの奥さんであるところのコンスエロという 研究結果が発表されてましたね。 星の王子様も自分の弟のイメージの投影みたいですし、かといって自分の投影でも あるので、キリスト教と言うより、サン=テグジュベリの想いなのではないかと愚考します。

yun25
質問者

お礼

私自身は関連があることを前提に考えてしまっていた部分があるので、関連が薄いという観点からの考察をわかりやすく答えていただき、大変参考になりました。 根拠もしっかりしていらっしゃるのでこちら側の視点でもしっかり考えてみたいと思います。 回答ありがとうございました!

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