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なぜCGSをやめてMKSAにしたのか
物理では量子力学ではCGS系を主に使い それ以外ではMKSA単位系になっていますが なぜ、量子力学とそれ以外では単位系が違うのですか? 統一すればいいのに
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ご質問の量子力学については、extrit さんの仰るように 私もそれほど単位系を意識したことはないので答えにくいですが、 一般的には便利だからその単位系を用いるということではないでしょうか。 実際に数値を扱うのであれば、 その数値が大き(小さ)すぎないような単位系が使われることが多いと思います。 (宇宙物理では星までの距離を cm で表すこともあるようですが、、、) また、数値を用いず数式のみ扱う場合であっても、 良く出てくる文字を何回も書かなくていいような単位系を使うと便利です。 例えば、私の専門の素粒子物理では光速度とプランク定数を1とするような 単位系(自然単位系)を用いたりします。 この単位を用いることによりある粒子のエネルギーを E=√( (mc^2)^2 + (pc)^2 ) と書かずに E=√( m^2 + p^2) と書けるのでたいへん楽です。 楽というだけではなく、質量とエネルギーを同じ次元(MeV,GeV)で 扱えますから対生成で出てくる粒子等も考えやすいです。 この単位系を用いる私にとって陽子質量は 1GeV です。 他の分野の方なら絶対に使わないような単位ですね。 長々と書いてしまいましたが、やはりある程度専門になってくると ある分野の専門家がそれぞれその分野に適した単位系を用いているので、 単位系の統一という方向にあまり大きな力が働かないのではないでしょうか。
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- siegmund
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現在通常使われている単位系は MKSA 単位系と言うよりは, SI 単位系(国際単位系)です. MKSA の他にケルビン,モル,カンデラ,が入っています. CGS 単位系から SI 単位系に移行した理由は電磁気関係にあります. CGS 単位系では,電磁気関係に新たな単位を作っていませんが, その影響で CGS 静電単位系と,CGS 電磁単位系があり,換算が複雑になり, 電磁気の単位の次元が非整数になっています. また,単位の大きさ(電気抵抗や起電力など)が実用的なものからかけ離れています. 例えば,自然に出てくる起電力の単位を 10^9 倍したものがボルトになります. 逆に,ボルト(など)を実用単位として採用すると,それから導かれる長さや質量の 単位が非実用的になってしまいます. MKS 単位系に独立な電磁気関係の単位をもう一つ加えようとの最初の提案は 1901年の Giorgi ですが,1935年に電流の単位のアンペアを加えると 電磁気の単位の次元が整数になることが示され,MKSA 単位系が確立しました. 本来,非有理化単位系か有理化単位系かということと,CGS か MKS かは別のことです. CGS 有理化単位系や MKS 非有理化単位系も作れますが, そこらへんは歴史的事情でしょう. 1935 年というと,量子力学の建設は一段落した頃ですから, もともとの量子力学の建設は CGS 単位系でなされたことになります. 量子力学のテキストで CGS 単位系が使われていることが多いのは そういう歴史的事情がかなり反映されていると思います. 量子力学でよく出てくる数値自体は,CGS でも SI でも, どうせ10の何とか乗で書かないといけないですから, せいぜいプランク定数の 10^(-34) が 10^(-27) になるというようなことで CGS にしたからさして便利と言うほどのこともありません. CGS 電磁単位系か SI 系かでは,単位の大きさの違い以外に, 文字で書いた表式自体が違うものがあるので,留意が必要です. 例えば,真空中の陽子-電子間のクーロンポテンシャルは, CGS 電磁単位なら e^2/r^2 ですが,SI 系では e^2/4πε0r^2 です 自然単位系の便利さについては guiter さんの書かれているとおりです. 私は物性物理が専門ですが,h/2π や c はよく1にしています. 陽子質量は 1GeV はやっぱり使いませんが. guiter さん: > やはりある程度専門になってくると > ある分野の専門家がそれぞれその分野に適した単位系を用いているので、 > 単位系の統一という方向にあまり大きな力が働かないのではないでしょうか。 私も同感です. やはり便利な単位系を使いたいですよね. それに,専門家なら単位を通常の単位系に戻すのにも大して苦労しませんし. 電磁気学の入門的テキストが大部分 SI 系に書き直されたのに対して, 量子力学のテキストはあまりそうならないのは,専門性の反映でしょうか. それから,慣れ親しんだ単位系を変えるというのは容易ではありません. 土地でも事実上「坪」が使われているし,カロリーもまだ使われているし. ゴルフも何ヤード,アメリカ行くとガロンやマイル,という具合です.
お礼
siegmundさんの回答を読んでいると なぜ「単位系論」なんていう分野ができないのかと思うほど単位系は興味深いですね これからもどんどん新しい単位系が出そうですね
- extrit
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扱っている階層が異なるからではないでしょうか。量子論の対象は、つまり量子効果の現れる対象はMKSA単位系で扱うにはあまりに小さすぎます。でも、MKSA単位系を用いている本もありますよ。 ただ、量子力学に単位なんて気になるほど出てきましたか?量子力学では数値計算をさせる問題なんてほとんど見たことはありませんが・・・。(むしろ原子核物理なのでは?)
お礼
なるほど、階層がちがうから単位系を変えるか 納得です >量子力学に単位なんて気になるほど出てきましたか? いえ、ありません 手元にある本を見ても、そんな問題ありませんでした
お礼
E=√( m^2 + p^2) ??? そんな書き方ができるんですか し、知りませんでした 目からうろこです こんなことは当たり前なのかもしれませんが 私はこの回答にモーレツに感動しています 今回の質問は量子力学の初学者としてはいい勉強になりました ありがとうございました