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メモリーB細胞、メモリーT細胞の抗原記憶と寿命について
- メモリーB細胞とメモリーT細胞は、異物の情報や対応するレセプターを形成する情報を記憶します。
- この記憶は細胞の死滅や寿命がきても保持され、再分化が可能です。
- また、メモリーB細胞とメモリーT細胞は元の細胞よりも長寿命であり、テロメラーゼ活性を持つ可能性があります。
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IL-7はsurvivalに関するgeneであるBCL2の発現を促進すると言われています。一つ一つのメモリー細胞の寿命も長いが、何らかの原因で死んで減っていくこともある、それでも残っているメモリー細胞の分裂により一定の数のメモリー細胞は生体内に存在するようになっているということだと思います。 このあたりは(IL-7の作用など)は教科書から少し離れていき最新の知識も入ってきますので、さらに最新の知識は今は正しいように見えても10年後に新しい知見でひっくり返る可能性もあるので、どうしても必要ならご自身で英語の論文から学んでみてください。教科書レベルの知識の習得が目的ならこれ以上深く知らなくてもよいでしょう。
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- Wakefield_Blan
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>メモリー細胞は、寿命が長いといっても、数ヶ月なのかと思っており、それが死んで も、遺伝子再構成のパターンを記憶し、また、その構成パターンを復元するものかと 思っていたのですが、そうではないということですよね? この辺の構成パターンの復元というのが何を指しているのか不明ですが(質問者さんの想像の中での理論なので)、免疫のメモリーの維持は下記の2つで起こります。 一つ、IL7により長命のT細胞の維持 2つ、細胞分裂によるメモリー集団の維持 寿命が長いだけでなくて、メモリーのクローン集団はゼロにならないように定期的に一部が分裂して数を維持しています。分裂すると2つの娘細胞になると考えるので、具体的に一つのメモリーT細胞がどのくらいの寿命なのかを言うためには、非常に注意しなければなりません(少なくともヒトでは正確な生体内での寿命を知るのは不可能で、マウスレベルでの実験ならたぶん調べられているけれども、今それに関する知識はありません)。 一つのメモリー細胞の寿命については解答できませんが、免疫記憶がどれくらい持つのか、と言う話なら年単位で維持されます。たとえば既に撲滅した天然痘のワクチンを受けた人の、天然痘ウイルスに対する免疫反応は75年後にも維持されていたそうです。天然痘は撲滅しているから、この免疫は自然界に存在する天然痘ウイルスで維持されていたのではなく、最初のワクチンで作られたメモリーが維持されていたということになります。このような結果から、免疫記憶の半減期は8年から15年と言われています。 この免疫記憶の持続期間は最初の免疫応答の強さによっても変わりますし、どんな抗原に対するT細胞が増殖したかによっても変わると思います。天然痘のワクチンは非常に免疫原性が強いので記憶が生涯維持されるのでしょう。 ちなみに一般の寿命、というのは臓器と細胞によってまちまちなので個々の臓器で学んでください。たとえば腸管上皮は7-10日で一新されますが、ニューロンや心筋細胞は分裂しない細胞なので長命です。
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ご回答いただきありがとうございます。毎回、誠意をもって詳しく教えてくださって、本当にありがとうございます。 ご回答してくださった内容に関して、もう少し教えて下さい。 ご回答いただいた内容ですが 「一つ、IL7により長命のT細胞の維持 2つ、細胞分裂によるメモリー集団の維持 寿命が長いだけでなくて、メモリーのクローン集団はゼロにならないように定期的に一部が分裂して数を維持しています。分裂すると2つの娘細胞になると考えるので、具体的に一つのメモリーT細胞がどのくらいの寿命なのかを言うためには、非常に注意しなければなりません」 こちらの内容なのですが、まず、IL-7の長寿のT細胞の維持という機能ですが、どのようにして、維持しているのでしょうか? IL-7を調べてみたのですが、今ひとつその機能がよくわかりませんでした。 この点について、もう少し教えていただけないでしょうか? それから、細胞分裂による、メモリー細胞のプールの維持ですが、DNAの損傷や、テロメアの短縮している状況も踏まえて分裂するわけですよね? もしそうなら、DNA損傷やストレスのリスクを分散という言い方は適切では気がするのですが、それに近い行為を行うことで、その種のメモリー細胞の全体としての寿命を引き延ばしており、本質的に、細胞各々が、寿命が長くなっていないという解釈でよろしいのでしょうか? 大変恐縮ですが、是非とも教えて下さい。よろしくお願い致します。
- Wakefield_Blan
- ベストアンサー率80% (4/5)
この質問は免疫学の基本ですから、免疫学の教科書を見れば解決しますよ。 まず、生体内(ヒトで話しますが)では何億種類のT細胞、またはB細胞が産生されます。この”何億種類”というのは何が異なるのか、というとT細胞受容体またはB細胞受容体の構造が異なるわけです(遺伝子再編成によって何億種類の異なる受容体が作られますがこれは教科書参照してください)。これらのT細胞やB細胞は選択を受けてこのうちの一部が生体内に残りますが、抗原に出会うまでは(つまりT細胞受容体またはB細胞受容体と結合できる抗原が体内に侵入するまでは)ナイーブT細胞、またはナイーブB細胞として存在します。抗原に出会うと活性化されて増殖しエフェクターTまたはB細胞となります。抗原が排除されるとエフェクターTまたはBの大部分は死に、一部がメモリーTまたはBとして残るわけです。 >この異物の情報や、それにあったレセプターを形成する情報は、どのようにして、記憶するのでしょうか? 異物の情報を記憶しているわけではない。またレセプターが後から形成されるわけでもない。抗原に適合したTまたはBが何億種類かのT/Bから一つ存在して、それが増殖し、一部が死なずに残っただけ。それがメモリーTまたはB。再び抗原が侵入したときにすぐに増殖できるのがメモリー。それがナイーブと違うところ。ナイーブはエフェクターに分化するのに5-7日くらいかかる。メモリーは増殖して抗原を攻撃するために十分な量になるのに2-3日しかかからない。このため、メモリー細胞が十分に体にあると抗原をあたかも体が”記憶”していて、再侵入後もすぐに排除してくれるように見える(加えてB細胞経由で作られた抗体も体に長く残るので免疫の”記憶”をつかさどっている)。これが”記憶”の正体。 >また、メモリーT、B細胞は、寿命が長いと言われていますが、もともとのT細胞や、B細胞よりも寿命が長くなっているのでしょうか? 寿命に関しては、ナイーブの寿命も長い。メモリーも長いこれらはたとえばT細胞ならIl-7というサイトカインで長命が維持されている。エフェクターは短命。エフェクターはIL-7の受容体も持たないしメモリーに比べると早く死ぬ。テロメレースではなくIL-7による作用。 ざっと書くとこんなところです。
お礼
ご回答いただきありがとうございました。 メモリー細胞は、寿命が長いといっても、数ヶ月なのかと思っており、それが死んでも、遺伝子再構成のパターンを記憶し、また、その構成パターンを復元するものかと思っていたのですが、そうではないということですよね? 例えば、一度、病気に罹って、その抗原パターンを認識する抗体を産生するメモリー細胞が死んでしまうと、もうその抗体パターンを有する遺伝子を有した細胞になることはできないのでしょうか? またワクチンを打つなり、病気にかかるしかないということなのでしょうか? もしくは、そういったことをする必要がないほど、メモリー細胞の寿命は長いものなのでしょうか? メモリー細胞の寿命などの一般的な寿命などもご存知でしたら教えていただけないでしょうか? 大変恐縮ですが、教えて下さい。よろしくお願い致します。
- browntraut
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ご質問に対するすべての答えがわかる訳ではありません。 解釈の仕方ですが、 細胞(膜表面抗体)が抗原を認識して、記憶するという解釈よりは、 無作為に作られた抗体を発現する細胞(B細胞)の中に稀に抗原と反応するものが存在するという解釈 が理解に良いと思います。 B細胞の話ですが、骨髄では自己抗原に対して反応する(刺激が入る)細胞が淘汰されます。 逆に、末梢では刺激が入らなかった細胞は短い寿命を終えるプログラムを歩むことになります。 つまり、末梢で刺激が入ったB細胞だけが生き残り、メモリーに分化できるということです。 B細胞の寿命は10日前後だったかと思います。メモリーBはそれよりは遥かに長生きです。 テロメラーゼ活性は通常細胞レベルだと思います。
お礼
ご回答いだたき、ありがとうございます。 勉強になりました。もう少し、自身でも調べてみたいと思います。 また、ご回答いただけるとありがたいです。 ありがとうございました。
お礼
ご回答いただきありがとうございます。何度も、誠意をもって教えて下さってありがとうございます。 よくわかりました。 是非とも、また、教えて下さい。感謝してます。