京都の家庭料理って言っても家の成り立ち、(繊維関係の商売、しもた屋、茶関係、一般の商売人など)で相当異なります。
本来京都の商家の味付けは濃く薄味ではありません。
今でも京都の老舗料亭の味付けは濃いもので、辻留などの茶懐石の仕出し以外はしっかりした味がついています。
当然各家庭の味も結構濃いものです。
知ったかぶりで茶懐石とごちゃごちゃになってます。
一番の特徴はすき焼きの時以外に砂糖は(赤粗目)は使わない事です。
味醂を多用します。味噌は白味噌と八丁味噌をよく使います。
醤油は濃い口と薄口両方を使います。
おばんざいと云うのは昭和50年頃から誰かが(知っていますけれどあえて云いません)言い出した言葉で100年以上前から京都に住んでいる人はこの言葉は知らないし使いません。
京都検定で会場の監督に質問したら答えられなかった。当然ですね。(^^)
商家では本来昼が正餐で温かい御飯、朝は茶漬けが多いものでした。
普段食べられるのはアラメの炊き合わせ(紋日や旗日などによって使い分けます)
、茄の醤油煮(山科茄子)、大阪で言う船場汁、漬物は季節で変わりすぐきや千枚漬け、しば漬け、家で漬けるどぼ漬けなど。
魚は昔から明石の昼網で水揚げされた新鮮な魚が届きます。
うちの死んだ婆さんは(慶応3年生まれ)は担ぎ屋の持ってくる新鮮な肴が大好きでした。
それ以外だとじゃこまめ(イサザと大豆の炊き合わせ)やえび豆(藻えびと大豆の炊き合わせ)を良く作り、季節にはこうなごの釜揚げを酢味噌で。
昔から川魚屋があるので鯉こくや本もろこの飴炊きは良く作ります。
「ごり」の卵とじ澄まし汁はご馳走。
高級なものだと若狭の笹鰈の干物やまなかつをの西京漬け。
鴨茄子の田楽は季節の定番。当然独活も。
山椒の炊いたものは京都人にとっては常菜として欠かせませんし鞍馬へ足を伸ばせば木の芽煮を。
米は江州米が一番、滋賀は京都奈良より文化が古く京都とは表裏一体。
水菜は本来京都の野菜じゃなく大阪の物で、京都のそれは壬生菜、葉の形が異なります。
水菜は大株であくが強く大体が漬物用。ポピュラーなのは「いりがら」(鯨のコロ)と炊き合わせた汁多目のもの。
肉は牛肉が殆ど、豚肉はあまり食べません。
すき焼き以外では大量の大根おろしで食べる大和煮き。
砂糖醤油に絡めた薄切り牛肉のオイル焼きです。
鯖寿司は今でも祇園祭に各家で作り、近所や知り合いの家に届けます。
客を招くときは仕出し(仕出し文化が発達している)を取り、口に合わないような家庭料理は恥ずかしいので客には出しません。
普段呑むのはほうじ茶か番茶、飲むときは「ぶぶあられ」を良く利用します。
棒鱈を米のとぎ汁で何日もかけて戻し、えび芋や小芋、京芋などと炊き合わせしますが薄味ではありません。
商家(特に繊維関係・・室町や西陣辺りの古い家はほぼ全部滋賀県に本家があります)の主人以下家人も使用人も一日中働いていますから薄味の食事は咽を通りませんし身体が受け付けません。
京都の家庭料理が薄味と云うのは誰かが言い出した嘘。
本来の古い京都人は貧乏公家の子孫か茶事に関わる人か、神職関係の子孫で、少なくとも代々300年は住んでいるでしょう。
食事は大体が質素です。
30歳くらいの人が子供の頃食べたとの質問ですがその年代の家庭じゃ全国共通、平均したものしか食べていないと思いますよ。
私は後期高齢者、代々300年ほど街中に住んでいます。
失礼しました。