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細い管の動水圧
(1)一本の管で中に水が入っている時、一端の直径が10µm、もう一つの端の直径が4µmの円のテーパーがある円錐台だと、両端での動水圧はどれほど違うのでしょうか? また、この直径10µm側の管内部に直径9µmの円形の栓があったとすると、(2)その栓が10µmの内壁に接している時と、(3)同心円状に内壁から離れているときの同水圧ははじめと比べてどれほど高くなるのでしょうか?教えて下さい。
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- superkamecha
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ANo.1です。 できるだけ、ご要望にお応えしたいと思います。(いささか長文になります) 本来、この問題はナビエ・ストークス(NSと略記)方程式を解くべき問題であり、テーパーがついたとたんにハーゲン・ポワズイユ(HPと略記)流れとは呼べなくなります。 流れの方向をx方向、断面の半径方向をr方向としますと、NS方程式はx方向とr方向についての2本の式となり、それぞれの速度成分が両方ともxとrの2変数関数になります。これは恐らく、解は初等関数では表せず、級数解で解けるかどうか?といったことになるでしょう。 なので、以下では、テーパー角が小さい(L=3000μmに対して半径差;3μmが充分小さい)と考え、任意の断面にて速度分布がHP流れのそれ(放物線形)と見なせるものとし、r方向速度成分を無視するとします。無論、「層流」が前提です。 そういう「近似解」なのだということをご承知おきください。また、一般的に認知されている物でもなく、あくまでも”私なら、こういう計算をしてみる”という近似解です。 それで、この流れは、下流方向に流路が小さくなるので、「加速流」です。 ゆえ、上流側断面A(半径:Ra=5μm)と下流側断面B(半径:Rb=2μm)との間に必要な圧力差(Pとします)は、この「加速」に必要な部分(Pdとします)と、粘性抵抗に釣り合うだけの”力”に匹敵する部分(Pvとします)の合計と考えられますので、これらを其々算出します。 まず、断面Aの中心での速度(この断面での最大値になります)をUaとしますと、体積流量;QはHP流れの流速分布を断面で積分して (1)Q=π・Ra^2・Ua/2 で与えられ、これは断面Bでも等しくなければなりませんから、断面Bの中心速度をUbとし、半径比;Rb/Ra=α(ここでは=0.4)としますと、 Ub=Ua/α^2 となります。Pdは「平均流速(Ub/2とUa/2)による動圧差」と考えられますので、結果、 (2)Pd=(1/8)・ρ・(1/α^4-1)・Ua^2 となります。(ρは流体の密度です) 次に、Pvについては、若干ごちゃごちゃした計算になるので、Text形式では表記しにくいです。 ●/(1-■x)^2 の形をxで0~Lまで積分するような計算になります。 結果のみを記します。 (3)Pv=4μ・Ua・L/(Ra・Rb) (μは(静)粘性係数です) P=Pd+Pv がUaを実現するために必要な(ゲージ)圧力であり、その時、(1)式;体積流量;Qが実現するというわけです。逆にPが決まっている場合は、Uaに関する2次方程式を解いて(正値を採用して)ください、ということになります。実際の数値は、単位に注意しながら、代入してみてください。ただ、粘性係数は温度に大きく依存しますので、どういう値を選択するかは悩ましいですね。 この近似計算がどこまで通用するかは、私も経験がありませんので、何とも言えません。 お試しくださったら、その結果(事実との比較)を知りたいくらいです。 (2)と(3)については、「栓」がニードル形状であることは判りましたが、これは、”近似”すら難しいです。 解析する上では、ニードル先端が特異点になるはずです。 イメージ的に説明すると、ニードル存在範囲では、流速分布はリング状ドーナツを真ん中でスライスして2つのリングに分けた時のような形をしているでしょう。これがニードル先端までくると、アルファベットの「B」の字をいびつにしたような形が想像されますが、ニードル先端を過ぎれば、やがて「D」字形になる。この間の”変化”が、いわば不連続なんです。何らかの”振動”が起こるのかもしれません。 少なくとも私にはこれが、さっぱりお手上げなんです。 というわけで、申し訳ないですが、(2)と(3)については、どなたかの回答を待つか、もしくはコンピュータ・シミュレーションか、文献(もしあれば)検索してみるしか無さそうに思います。 以上、よろしければ、参考になさってください。 ちなみに、この寸法は人工の物とは思えませんが、これは「蚊」ですか?
- superkamecha
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ANo,1です。 すみません、「ブラジウス流れ」は無限平板に対するもの。 円管内の流れは「ハーゲン・ポアズイユ流れ」でした。 お詫びとともに、訂正いたします。
- superkamecha
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難しい問題ですね。 ある程度の予測がつくのは(1)だけで、(2)と(3)は、まず無理ですね。少なくとも、”どのような形の栓なのか”の情報が必要です。 それで、(1)についてですが、内径10μの円断面をA,内径4μの断面をBとして、流れはA→Bの方向だと解釈します。また、欲しい値は「AとBの動圧総量の差」だと解釈します。 非常に単純化して考えると、Aでの平均流速をvとして、これが、Bでは面積比(4/25)に逆比例する速度になるので25/4×v。これをv1として、1/2・ρ・v^2・A と1/2・ρ・v1^2・B が、それぞれの動圧総量となる、としてvを決めて差を計算すれば良いということになります。 ですが、こう細いと、管内部の速度分布は、まず一様ではなく、恐らく、放物線状の速度分布を持つ「ブラジウス流れ」になっていると思われます。ゆえ、動圧の計算も”速度^2×面積”という単純な掛け算ではなくなり、”速度^2の面積積分”とせねばならないでしょう。また、これは「管内面に働く粘性」を考慮している(しなければならない細さ)わけですから、断面Aと断面Bが、どれだけ離れているか(2断面間の距離)も関係します。 粘性が有ると、断面変化がなくても、圧力をかけないと流体は動いてくれませんから。(ストローの中にゼリーを少し取って、それを一定速で動かすように吹くか吸うかするイメージです) この圧力の計算は、「速度分布の管内壁面での勾配」に流体との接触面積と粘性係数をかければ良いのですが、テーパー断面なので、”勾配”も上流→下流に向かって変化するので、単純な掛け算ではなくなり、これも積分値になりますね。 すみませんが、申し上げられるのは、このくらいです。詳しくは、「ブラジウス流れ」をお調べください。
お礼
丁寧な解説をありがとうございます。 おっしゃる通りハーゲン・ポアズイユの定理に関係していると思います。疑問の点を追加させていただき、もし再び教えていただけましたら幸いです。 (1)管:2断面の距離は全長が3mm(3000µm)位です。 (2)栓:テーパーのある管と等距離のギャップを有しながら、直径10µm側から500µmまでのみ存在し、その先は水(本来はヒトの組織液なのですがおっしゃる通り粘性の関与がさらに困難な要素となるので水とお考えください)。 (3)圧:直径10µm側にかかる圧力は1.3kPaです。 ご教授いただけると本当にありがたいです。よろしくお願いいたします。