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物理Iの基礎事項~エネルギー・仕事~
運動エネルギーや位置エネルギーは仕事に含まれんですか? 回答お願いします!
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どのように答えれば、適切な回答になるのか判断が難しいですが、概念の混乱があるようです。 基礎事項とのことですから、エネルギーと仕事との関係について基本的なことを書いてみましょう。 仕事に関しては正しく理解しているものと見なして進めます。 エネルギーとは、定義では「他の物体に対して仕事をすることができる能力」のことです。「運動"能力"」とかと似た概念ですね。ただし、運動能力は発揮しても直ぐに殖えたり減ったりはしませんが、このエネルギーという能力は、使うと減ってしまうという変な性質を持っています。 その意味では、お金を入れた財布みたいなもの(購買能力?とでも呼びましょうか)と考えた方が近いかも良いかも知れません。給料をもらうと殖えて、物を買うと減るなんてところはそっくりです。 エネルギーの場合に対応させると、給料をもらう=仕事をされる=能力が殖える、物を買う=仕事をする=能力が減る ということになります。 さて、基本事項です。 物体が、仕事W[J]されたとしましょう。たとえば、滑らかで水平な床に置かれた物体が、水平方向に一定の力F[N]を受けてL[m]移動させられたとします。 この物体がされた仕事Wは、定義から W=F・L[J] です。この他に、物体には重力や床面からの垂直抗力も働いていますが、これらの力は仕事をしていませんから、物体は、力Fからだけ仕事を受けていたわけです。 仕事をされましたから、物体のエネルギーが殖えています。どのエネルギーが殖えたのでしょうか? 運動エネルギーKです。物体が最初止まっていた(K=0だった)とすると、仕事Wをされた後では運動エネルギーK'は K'-K=W となりますから、仕事をされた分だけ運動エネルギーが殖えるのです。 K'=W です。 つまり、エネルギーと仕事の関係と言えば、 『仕事をされる=運動エネルギーが殖える』 『運動エネルギーが減る=仕事をした』 このことに尽きます。 他のエネルギーはどうなのか気になることでしょう。位置エネルギーはどうなっている? もっと別の例を。床面からの高さがh[m]の位置に、質量m[kg]の物体があるとします。手を離すと床面まで落下します。 落下の間、重力mg[N]を受けていましたから、重力による仕事Wは W=mg・h[J] です。この場合も、もちろん運動エネルギ-Kが殖えます。初めは止まってました(K=0)から、床面に達したときの運動エネルギーK'は K'-0=W=mgh で、K'=mgh[J] です。 ところで、重力という力は、特に「保存力」と呼ばれる種類の、かなり特殊な性質の力です。保存力とは、その力がする仕事は、途中の経路に拠らず、出発点と到達点だけで決まってしまうという性質を持った力です(重力の他に、バネなどにかかる弾性力、静電気力なども保存力として知られています)。 今の例題でいえば、出発点=高さh[m]の所,到達点=高さ0の床面の所で、重力がした仕事Wは、まさに高さの差h[m]だけで決まり W=mg・h[J] でした。 ここで、次のように考えてみます。 高さが異なる位置に移動する物体は、途中でどんな経路を取ろうとも、高さの差によって決まる、重力による仕事(mgh)を受けているわけです。 物体のエネルギーを考える時、そのたびに重力がした仕事はいくらか?と考えるのは面倒です。 「高さの差h[m]だけ移動するとき、重力によって仕事をされた」と考える代わりに、いっそのこと、h[m]だけ高い位置に在る物体は、落下に際して「mghの仕事をする能力」を持っていたのだと考えてしまったらどうでしょうか。こう考えれば、重力がする仕事のことをいちいち考える必要が無くなるのです。 まあ、落下に際して重力がする仕事を、単に「エネルギー」の消費として繰り込んでしまおうということなのですが。 この新しいエネルギーを、重力による位置エネルギーUと呼ぶことにします。 重力による位置エネルギーも、仕事との関係で言うことができます。 『重力という"保存力"が仕事をする=重力による"位置エネルギー"が減少する』 『重力に逆らって仕事をする(物体は持ち上げられた)=重力による位置エネルギーが殖える』 です。 KとUとの関係はどうなるでしょうか。落下運動から明らかなように 高さの差h[m]の落下では、物体はU=mghを減らします。 つまり、mghの仕事をするわけです。 仕事をされた物体はKを増加させます。 結局 Kの増加分=Uの減少分 となるわけです。ここで K+UというエネルギーEを導入しましょう。 Kの増加分=Uの減少分 でしたから、E自体は変化しない(保存される)ことになります。このEは力学的エネルギーと呼ばれるエネルギーです。 『保存力だけが仕事をするとき、Eは一定に保たれる』ということになります。これを、力学的エネルギー保存の法則と呼びます。 まとめてみましょう。 『仕事をされる=運動エネルギーが殖える』 『運動エネルギーが減る=仕事をした』 『保存力が仕事をする=位置エネルギーが減少する』 『保存力に逆らって仕事をする=位置エネルギーが殖える』 『保存力だけが仕事をするとき、Eは一定に保たれる』
お礼
回答ありがとうございます。 分かりやすかったです!