少し真面目に調べてみましたが、転位には
電子供与基の効果があるようです。
J.Org.Chem.35,3362(1970)という論文で、
Ar2C(OH)-C(OH)Ar2からのピナコール転位反応での置換基の比較がされており、
それによると、p-メトキシフェニル基はフェニル基の1000倍、
p-トリル基はフェニル基の11倍、転位速度が早いそうです。
ついでにヒドロキシル基の転位速度はフェニル基の10から37倍なので、
メチル基よりも弱い電子供与基や電子吸引基の効果は、
溶媒や温度・酸の種類の効果に埋もれてしまいます。
現にp-クロロフェニル基とフェニル基を導入したArPhC(OH)-C(OH)PhArでは、
溶媒(ベンゼン・ニトロエタン)の違いにより主生成物が変わります。
交差実験との比較から、ピナコール転位が分子内で進行するのは
ほぼ確実なので、
「生成したカルボカチオンが求電子的に電子がより豊富な置換基を
攻撃することによって転位が進行する」と解釈できます。
また生成したカルボカチオンが安定で寿命が長いものほど、
より求核的な置換基の転位が進行する傾向にあるそうです。
ただアリール基上の置換基効果がはっきり出るのは、
メトキシ基を導入した場合で、より弱い電子供与基や電子吸引基
では置換基効果よりも反応条件の違いが重要になるようです。
お礼
お礼遅れてすいません。やはり電子供与基ほど転位が起こりやすいのですね。