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硝酸イオンのLewis構造式について
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#3です。 ルイス構造を調べてみました。 仰るように価標を使っている表現であるようです。 私は電子式がルイス構造だと思っていました。 電子式という言葉は辞典には出てきませんね。 「電子式」はルイス構造を考える途中の表現であるということです。 でもルイスは電子式までしか提案していないようです。 「電子対の共有で結合が生じる」という、現在「共有結合」という名前で呼ばれているものを最初に提案したのがルイスです。「不活性元素の電子配置と同じになる」という「オクテット則」を提案したのもルイス(1916年)です。共有された電子対を結合線で表して分かりやすくしたのはラングミュア(1919年)だそうです。共有結合の理論的な裏付けはハイトラー・ロンドン(1923年)によってなされています。 「価標と電子の両方を書く表現」が「ルイス構造」だとされているのは後からそういう形でまとめたものだということになります。見やすくしたということです。 シュライバーの「無機化学」を見ると 「電子を使った表現を完成させたのち、確定した共有電子対を結合線に書き換える」 という手順が示されています。(第2版p66、第4版p50) 結合線の数というのは結果として決まるものです。共有されている電子対の数です。 いくつの電子対が共有されるのかはオクテットを満たすようにして決めます。 >「窒素Nについては手が5本、酸素Oについては手が6本になるように書いたつもりです」のところは、オクテット則を満たすように各原子の周りに電子があり、かつ原子価が、Nなら5、Oなら6となるように書いたと言いたかったのです。 手順の最初に「ルイス構造の中に組み入れる電子の数は、結合に関与する原子の価電子をすべて加えあわせたものである」と書かれています。 Nの価電子の数は5、Oの価電子の数は6ですがこれを「結合の手の数」とは言わないようです。結合の手の数と言えば原子価の意味で使われているのが普通です。 Oの原子価は2です。6ではありません。あなたの書かれたルイス構造式(右側の図)ではNから結合線が5本出ています。Nの周りには電子が10個あることになります。オクテット則を満たしていません。「手の数が5本」と考えているのが間違いの原因になっています。 >Hを外す方法でやってみるとできました。これは、他の構造式にでも使えるのでしょうか?例えば、炭酸イオン(CO3^2-)を考えるのであれば、炭酸(H2CO3)を書いて、二つのHを外すという方法でしょうか? そうです。 中性の分子で構造を書くことができればオクテットは満たされています。 そこから電子対を残してHだけを外してもオクテットはやはり満たされています。 分子の構造を書くのには馴染んでいますからHを外す方が簡単なのです。 (オクテット則を満たさないような分子もありますが、一応除外しておきます。) イオンで考える場合、電荷をどこに所属させるかで混乱します。 電荷は特定の原子ではなくてイオン全体が担っているとします。 考えるべき価電子の数が変化したものでオクテットを満たすように構造を書きます。 いくつかの可能性が考えられる場合には別の判断が入ってきます。 (形式電荷の値が大きくならない表現の方が安定である、等) OH^-であればOで6個、Hで1個、イオンの価数から1個、合計8個です。 これで考えます。電荷は[ ]^- とします。(シュライバーの本では全体に電荷が存在するというのは別の記号で表しています。)これでH-O-Hから電子対を残してHだけを外したものと同じになるはずです。 各原子に電荷を割り振るという表現も出てきます。 シュライバーの本では「形式電荷と酸化数」という別の章で扱っています。 そこの最初に「化学種の電荷はその化学種全体が担っているものであるが、場合によっては各原子に形式電荷を割り付けるのが便利な場合がある」と書かれています。 [NO3]^-の場合、Nに+、2つのOにそれぞれ-が割り振られています。質問文にある左の図はこの形式電荷を表している図です。でも単にルイス構造と言えば「全体に電荷が存在する」というところまででいいと思います。「形式電荷も合わせて書く」というのもルイス構造でしょうが別の目的で発展させたものだという理解です。 「形式電荷」は共有されている電子対の電子が平等に両方の原子に所属するとした時の電荷です。 まず全体に電荷が存在するとして電子式を書きます。1対の電子を共有している原子Oには7つの電子が所属します。元々酸素の価電子は6つでしたから1つ-が多いです。形式電荷は-です。電子式から2つのOは同等だということが分かりますからどちらも-になります。Nの周りの電子は8個です。電子対が4つありますから4個の電子が所属します。Nの価電子は5つのはずでしたから1つ電子が少なくなっています。Nに形式電荷の+が乗ると考えられます。 ただ「形式電荷」という名前が示すように形式的なものです。電子対の電子が対等に共有されているのは同じ原子の間で共有されている電子対の場合だけでしょう。 反対側の極端な「形式電荷」もあり得ます。「共有されている電子対を丸ごと電気陰性度の大きい方に所属させてしまう」とする考え方です。「酸化数はそのように考えた時の形式電荷の値だ」という説明が載っています。 Oの酸化数は-2、Nの酸化数は+5になります。 分子の形を定性的に推測するのに最も有効であるとされているものに原子価殻電子対反発モデル(VSEPRモデル)があります。これはルイスの考え方を余り手を加えずに延長したものに基づいています。 そういうことからもルイス構造式を書くというのは意義のあることでしょう。 ※NO3^-=[NO3]^-であればN1つから価電子が5つ、O1つから価電子が6つ、イオンの価数から電子が1つ、これで電子は合計が24個になります。この24個の電子をオクテットを満たすように4つの原子に割り振ります。この可能性は1つではありません。 分子から考えると可能性が絞られているところからスタートできます。
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- htms42
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ルイスの構造式(電子式)では結合線(価標)は使いません。 質問文の中の表現はどちらも違うのではないでしょうか。 水 H2Oの構造式は H-O-Hです。 これを電子式で表すと ・・ ・・ H:O:H です。 H-O-H ではありません。 ・・ ・・
補足
H-O-Hのルイス構造式は、私の持っている教科書ではhtms42さんのお書きになった、右側の構造式になっています。この教科書では、「ルイス構造式では、共有電子は価評で表し、非共有電子については、ドット(・)で表す」と書いてあります。また、電子式(エレクトロンドット式)とルイス構造式は別物だと授業で習ったのですが…。つまり、htms42さんのお書きになった左側が、電子式、右側がルイス構造式だという認識を持っていました。
- htms42
- ベストアンサー率47% (1120/2361)
ルイス構造はイオンでいきなり考えるよりは分子で考えてからHをはずすと考える方が分かりやすいと思います。 OH^-の電子式もまずH-O-Hの電子式を完成させておいてからHを外せばいいのです。 硝酸 HNO3 亜硝酸 HNO2 構造に忠実に書くと 硝酸 HONO2 亜硝酸 HONO 亜硝酸は素直な構造になることが分かります。 H-O-N=O これはルイス式で書くのも簡単です。 この時のNには非共有電子対が1つあります。アンモニアNH3の時と同じです。 硝酸ではここにあと一つOがくっつきます。 これは配位結合で考えるとうまくいきます。 Nの使っていない電子対をそのままOが取り入れて結合を作ります。 これも電子式で書くのは難しくないと思います。 電子対1つの共有ですから1重結合です。 硝酸の中のNには二重結合が1つ、一重結合が2つあることになります。 イオンにするにはHを外せばいいのです。 分子の電子式が描けていれば電子対を残してHだけを外せばいいので簡単です。 Nの周りにある8個の電子は全てOとの結合に使われています。Oは3つついています。 4つの原子は同一平面上にあることが分かります。3つのOはほぼ正3角形になっています。 イメージとしてはホルムアルデヒドH2C=Oとか尿素(NH3)2C=Oと同じ形です。 N-O >窒素Nについては手が5本、酸素Oについては手が6本になるように書いたつもりです。 この意味が分かりません。 「最外殻にある電子の数が8個になるように書く」というのが基本だとい思いますが
お礼
回答ありがとうございます。 私が質問文で書いた 「窒素Nについては手が5本、酸素Oについては手が6本になるように書いたつもりです」のところは、オクテット則を満たすように各原子の周りに電子があり、かつ原子価が、Nなら5、Oなら6となるように書いたと言いたかったのです。 おっしゃるように、Hを外す方法でやってみるとできました。これは、他の構造式にでも使えるのでしょうか?例えば、炭酸イオン(CO3^2-)を考えるのであれば、炭酸(H2CO3)を書いて、二つのHを外すという方法でしょうか?
- coirn
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端的に言うと、Nは結合手を5本も出せないからです。 基本的に、第2周期元素は結合手を最大4本までしか出せません。 それは軌道的な要因や、立体化学的な要因によります。 ですので、構造としてはNが4本の結合手を出している左のものが正しいということになります。 実際、計算化学によってNO3-の各結合次数は4/3であることが示されています。
お礼
回答ありがとうございました。参考になりました。
お礼
お礼が遅くなってすみません。何度も丁寧な回答ありがとうございます。この質問を通じて、また自分の手を動かして紙に書いてみることで、ルイス構造式に少し慣れることができました。