- ベストアンサー
抵当権と根抵当権における消滅請求の相違
- 抵当権における消滅請求では、保証人や物上保証人は請求権者に含まれない。根抵当権では物上保証人は請求権者に含まれるが、保証人は含まれない。
- 抵当権の消滅請求の請求権者は所有権を取得した者に限られる。根抵当権の消滅請求の請求権者は目的不動産について所有権・地上権・永小作権・対抗要件を具備した賃借権を取得した者となる。
- 抵当権と根抵当権における消滅請求の相違は、保証人や物上保証人の扱いや請求権者の範囲の違いによるものである。具体的な理由は法律の規定に基づいているが、詳細は専門家に相談することをおすすめする。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
おもしろい質問ですね。 まず、379条と398条の22はまったく趣旨の違う制度と理解されるのが、 良いかと思われます。 質問(1)に関しては、それぞれの制度の趣旨に鑑みれば、 とくに問題ないかと思います。 379条は、そもそも条文上「第三取得者」に請求主体を限定されている とおり、《第三取得者の保護》が立法趣旨です。 つまり、第三取得者は抵当権の存在を覚悟して譲受したわけですが、 本来的には当該不動産に対する処分権能を有することから、 抵当権者との一定のバランス考慮の下、消滅請求を認めたわけです。 とすれば、「保証人資格も具有する第三取得者」については、 質問文に引用のテキスト記載のとおり、要保護性に乏しい (ゼロではないとは思いますが)ことから排除されている(380条)わけです。 これに対して、398条の22のほうは、 そもそも根抵当権の確定事由発生(398条の19、398条の20)によって、 根抵当権は実行されるべき段階に達しているものといえるのに、 なかなか根抵当権が実行されず、名目上の極度額の記載により、 不動産の処分・担保価値が減ぜられている《物上の》権利者 (物上保証人・第三取得者及びこれに類する者)の保護に立法趣旨があります。 とすれば、保証人は物上の権利者でないためそもそも請求権者たりえません。 他方、「保証人資格も具備する第三取得者」が現れる場合は、 379条の場合と同様、要保護性に乏しいことから、398条の22の請求主体から 除外されている(同3項による380条準用)ことにも注意を要します。 質問(2)は昔から民法を勉強していた人間からは、 簡単なのですが、抵当権消滅制度はH15年改正前の「滌除」制度を 受け継ぐものであるところ、旧滌除制度は第三取得者の保護を 重視しすぎる(=抵当権の効力を不当に害する)との立法論的批判があり、 新法の抵当権消滅制度では要件の厳格化が行われました。 地上権者等の請求についても旧滌除制度時代は認められていましたが、 新法では否定されたものです(参照URL)。 なお、新制度の下で、地上権者等についての379条と398条の22の 行使の可否が異なることの立法論的当否は問題となりえますが、 根抵当権が確定事由発生により、実行まちの段階にあることに 鑑みれば、バランスを失しないように考えます。
その他の回答 (1)
- tk-kubota
- ベストアンサー率46% (2277/4892)
これは「消滅請求」と「減額請求」が入り交じってはないですか ? 「消滅請求」は民法386条に規定し、第三取得者の利益を保護した規定です。 これは抵当権・根抵当権に拘わらず、そして被担保債権や極度額に関係しない「代価」の支払いで抵当権を消滅さそうとする規定です。 ですから、物上保証人でも人的保証人でも第三取得者となったからと言って消滅請求はできないです。 第三取得者(抵当不動産につき所有権を取得した者)だけです。 これに対し「減額請求」は通常の抵当権では、あり得ないことで、根抵当権の極度額を超えた債権が確定した場合、競売しても極度額以上には配当を得られないので、それならば、極度額を支払って抵当権を消滅さそうとする規定です。(同法398条の21) ですから、その場合は第三取得者は勿論のこと、設定者でもいいし、物上保証人でもいいわけです。 ただ、保証人は債務者と同じですから、極度額を超えても一般債権として残るので、その者だけは減額請求はできないとされていると思います。 なお、この請求ができる者を所有権を取得した者以外に「地上権・永小作権・対抗要件を具備した賃借権」とした理由は、もし、それらの者に請求権がないとすれば、競売時に権利は消滅してしまいます。 それらの者でも極度額を支払うことで、根抵当権を消滅させ、不意の損害を回避するためのものと考えます。