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事務管理と制限行為能力者
事務管理では、制限行為能力者についての明示的な記述がありませんが、善管注意義 務について制限行為能力者である点が配慮されるのでしょか?
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ども。事務管理ですね。 事務管理というのは債権発生原因の一つですね。 契約、事務管理、不当利得、不法行為です。 この時契約についてはもういやだというほど制限行為 能力者について話しが出てきました。取り消し権が どうの、同意があるだの追認はどうかなどの 話で、契約が有効になったり無効になったりしました。 それに対して不法行為というのは契約関係ではない ものでして、制限行為能力者でも車を運転して 衝突すれば損害賠償義務を負うことがあります。 ただ、責任無能力者だと判断されれば、その監督者 が代わりに責任を負うことになるでしょう。(714条) (712、713条も) いずれにしろその人らについての条文はあるみたいです。 不当利得も取消などの後始末で勝手に発動します。 では事務管理はどうか。これも債権が発生する原因 となります。 事務管理を行った人が制限行為能力者であった場合。 例、隣の人間が旅行中、台風が接近し、隣の家の瓦が 壊れ、このままでは雨漏りが生ずることとなり、 至急瓦を修復する必要が生じた。そこで瓦を修復 するように業者に頼んだ。 事務管理っていうと、結局制限行為能力者以外の 人がそれを代わりにやってくれる場合があります。 そして、代わりにやってくれたら制限行為能力者が その業者さんに代金を支払いますよね? するとどうなりますか?債権をその制限能力者 は得るはずです。 (もはやこの場合、制限行為能力者 であるということが問題になるのは、瓦の持ち主と 制限行為能力者の間ではなく、制限行為能力者と その業者さんとの間の請負契約にあるといえます でしょう。) で、正常にこの業務が終わった場合、 民法5条但し書きをみると、単に権利を得る行為というのは 制限行為能力者は独断で行うことができるのです。 ええ~って思うかもしれませんが、権利を得たので 優位に立ったと法律上見なされ ますから、制限行為能力を論じる必要性は あまりないと言えます。 そして、債権が発生するということは、お金を支払って ください。と言えるような状態になるということです。 では例えば子供のお守やペットの世話を代わりに引き受ける ような場合。制限行為能力者にはそもそも頼まないとは 思いますが、あえて頼んだ場合はどうなりますでしょうか。 動物は物ですから、 物の場合は結局は寄託契約となり、契約となります。 では赤ちゃんは?赤ちゃんのお世話をするというのは 法律行為でも何でもないものです。しかし656条。 準委任事務。となり、結局この赤ちゃんの世話も 委任契約と同様に扱われることになります。 委任契約って特約がなければ報酬がなくてもOK (648条1項)つまりボランティアっぽくできる わけですねぇ。いずれにせよ契約関係同様に 扱われるので制限行為能力の規定は入ってくる ことになります。 648条1項「受任者は、特約がなければ、委任者に 対して報酬を請求することができない。」 話はそれたし、何の相談もなく動物に餌をやるとか 言う話にするべきだったかもしれませんがw では制限行為能力者が積極的に瓦を修復してやるー といって事前に相談なくやってしまった場合はどうでしょう。 もちろん綺麗に文句なく山下清(この人は絵師だけど。) ばりの仕事ができれば いいのですが、逆に状況を悪化させてしまうことが あろうかと思います。 これは刑法でいえば器物損壊罪ですよね。事務管理で 自分の善行が裏目に出た場合は、「何の契約もなく 相手に危害を加えた状態」と一緒ですから、 これは不法行為になってしまうのです。そして制限行為 能力者に悪気はなくとも、それを監督する人が代わりに 責任を負う、という流れになるでしょう。 事務管理はあえて債権発生原因なものですから、 契約でないにもかかわらず、 その管理をおえ、相手にそれにかかった費用を請求 できる制度ですから、その管理が終わったときに 初めて発生するもんなんですね。 ですからその途中に関する規定も事務管理の中に ありますが、それが適用されれば事務管理は もはや問題にならないと言えましょう。なぜなら 持ち主がもう事務管理やめてぇ~っていうストップ 規定だからですね。もしくは持ち主の意にそうような ものになるように通知義務があるからですね。 事務管理は、完全に終わったときのみ問題となり、 そしてその時得られるものと言えば、それに 使ったお金を支払ってね。という債権なもの ですから、制限行為能力者でもできないもの である、とはいえないのです。 ちょっと払っちゃったんだけど、なんか悪い結果に なったり、途中でとまったからなぁ。となると、702条1項の、 有益な費用とみなされないと、償還は請求できない とうことになりますね。逆にそれがあったから安く済んだ というのであれば、それはもちろん有益な費用ですから 請求できますね。 702条1項 「管理者は、本人のために有益な費用を 支出した時は、本人に対し、その償還を請求することが できる。」 善管注意義務についてはよく条文をお読みください。 債権の目的、が「特定物の引き渡しであるとき」 は、~でありますから、事務管理はこの場合問題 になりません。(400条) ではそれ以外の場合でもやっぱり物を大切にする べきときってあるんじゃ?って思いますよね。 400条「債権の目的が特定物の引き渡しであるときは、 債務者は、その引き渡しをするまで、善良な管理者の 注意をもって、その物を保存しなければならない。」 だからちらほらそれなりの規定がございます。 犬は物で寄託契約だとすると、659条の無償寄託者 の注意義務。まぁ無償の場合の特別規定ですけどね。 659条「無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対する のと同一の注意をもって、寄託物を補管する義務を負う。」 644条の委任契約にも善良な管理者の注意義務が盛り込 まれています。だから赤ちゃんも善良に扱わねばなり ません。 644条「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の 注意を持って、委任事務を処理する義務を負う。」 でも、いずれも「契約関係」ですよね。だからこれらは400条 がベースになっているからこそです。 しかし事務管理には400条が及んでいるということは 一概に言えません。近所の飼い犬が勝手に抜け出したから しばらくの間保護する。というような場合、やはり 将来持ち主がその犬を返せ、という特定物の引き渡しを目的とする 場合がありますから、そのときに善管注意義務に似た ものはありますでしょう。 (ちなみにこの場合犬を返せという債権が発生していますのは、 他人のものを勝手に自分の支配下、物として置いているわけ ですから、まず不法占有として不法行為(709条)となり、物権 の侵害となり、物権的返還請求権といってもいいかもしれません。 しかし緊急避難だから責任はないよってところでしょうかね。) 事務管理が発生するのはやはりその管理が終わり 動物を引き渡した後に、今までにかかった費用を支払ってください ということで債権が発生するものなので、そのときにはもはや 「引き受けた物が善良な形で持ち主のもとに帰っている ということが当たり前なのです。」「ですから、それに 失敗した場合には、不法行為ということになるのです。」 言い換えれば、善管注意義務違反という債務不履行原因ではなく、 不法原因になる。ということになっちゃうのです。 ですから、善感注意義務に似た物=697条、(最も本人の 利益に適合する方法で)(その事務の性質に従い、) など、善良な管理ができなければ事務管理というのは発生 しませんよ。という規定になっていることに気づけると思います。 697条 「義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、 その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法 によって、その事務の管理をしなければならない。」 2項は省略だけど読んどいてください。 さらにいいかえると、善良な管理者の注意義務っていうのは、 「事務管理」という法律上の問題が浮かび上がる、「前提 問題に過ぎない。」ということです。 ☆事務管理には、善管注意義務についての制限行為能力者 である点が配慮されるのでしょうか。 先ほどもいったように事務管理は、それが持ち主の意にそう ような形に終わって初めて債権を持ちその費用を請求 できますから、「引き渡し」でもないですし、また、 697条の規定は644条を準用していませんから、 善良な管理者の義務をしろとはいっていません。 ひょっとして事務の管理を、=善良な管理 の一形態 だとお考えですか?そうではなく、事務管理というのは 何度もいうように債権発生原因です。 「本来ならば、その人自身がやるべき自分の所有物の管理を、 その人がやることができないときなど難しいことがあるために、 代わりにその「管理」をやってあげる」ことにあります。 するとお金を使ってしか解決できないことがよくあります 瓦修理代・ペットのえさ代などですね。 その時のお金をどう処理するか。という問題なわけです。 で、その管理が終わったと見れば、先ほどの例でいえば 瓦もそのまま雨に打たせても後は野となれ山となれ 汚れようが猫がそのうえで寝ていようがかまいません。 ペットがまた逃げだせば頑張って追いかけてね持ち主さん。 ということになるのです。 やや重複、反復わかりにくいところがあったと思いますが 遠慮なく再度質問をいただけたらと思います。