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制限行為能力者の事務管理について
- 制限行為能力者の事務管理には改善の余地がある
- 事務管理では本人の利益に沿う処理が求められるが、制限行為能力では援用できない
- 保護者の同意が得られた場合、保護者と協力して継続できる可能性がある
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どうも、かなり話が複雑になってきました。 しかしよく理解されています。 ここまで 話が膨らんだことも私が拙い説明を行ったことも 原因があると思います。六法を傍らに確認しつつ お読みください。 事務管理の判例と言うのは非常に少なく、 最近みた債権の判例集でも0でした。具体的な事例と 共に解説なさる内田貴先生の(ただし古いやつですが) 本でも事例はありませんでした。唯一税金の、共有者 納入の件などサイトで見かけましたが、ピンポイントの 話題ではありませんね。 恐ろしいことに実はここまで深く話し合うことでもないの かもしれません・・・。ですがいっちゃいましょう。 納得行くまで。 そこで、冷静に、まず原則に立ち返り見てみることにしてみましょう。 事務管理というのは、事務管理を始め、それを相手方に通知し 了解を得れば事務管理を継続する。そして、原則としてその 報酬などは発生しないが、やはりその事務を管理するに 当たって出費をしなければならなくなることも多い。 だからこの出費については相手方が出さなければならなか ったはずのものを免れることができたのであるから、この 費用を請求することができるようにした制度ですね。 (で、契約とは違った形で費用償還請求権が生まれる。 だからこれは「契約とは異なる」債権発生原因 だということになりました。) しかし一旦始めた以上、途中で投げられてしまうと、それは それで無責任だ。(ここでいう無責任は、普通に日常用語 で使うくらいの意味)ええーそりゃないよってことになります よね。 ですから、700条で、「管理者は、本人又はその相続人 もしくは法定代理人が管理をすることができるに至るまで、 事務管理を継続しなければならない。」 ですから、例えば瓦が壊れて雨漏りのため、さらに家財 道具にも危害が及びそうなところを、他の誰かが修復したり、 業者をやとって回復してくれたというような場合でも、その管 理を始める前に一度相手方に連絡して了解を取ります。これ は↑の原則どおりですよね。 で、相手を安心させた矢先めんどいからぽーい。って感じで やられると、それはどうかということなんですよね。やると決め てやるっていったんだから、相手が大丈夫な状態になるまで 続けなさいっていうことですね。めんどいからやめますね。 と実際に伝えるのなら相手も別の行動をとれる機会を与えられ そうですがこんな言い訳なめてるのかーって ことになりそうです。(理由はともかく途中でなげられも・・・) 「事務管理の継続が本人の意思に反し、又は本人に不利 であることが明らかであることは、この限りでない。」700条但し書き。 こういうのと似た状態が発生することって民法であります よね。そう、契約の安全配慮義務です。引っ越し業者が 荷物をはこぶ際、彼らの義務は荷物を梱包などし、 引っ越しさきに運び、それを入れることなんでしょうが、 しかし家具を傷つけないよう、住居の状況に配慮しなければ ならない特別の義務がありました。一度契約関係等、法の 支配する特別な関係、地位に立った両者においては、 互いに両者が損害を負わないような特別な配慮を負う 信義則上の法的義務が発生する。という形でした。 つまり、事務管理やればやるほど状況が悪化しそうだ。また その恐れがある。というような場合事務管理を継続しないほうが 利益があるのは当たり前でし、一度やるっていったんだから ちゃんと相手に配慮した形で終わらせなさい。ということ は信義則からもいえるのではないでしょうか。 ですから、継続義務はこの場合果たさなくてもよいことになりますね。 継続義務を緩和する。というのはすなわち、相手との連絡を密に するなかで、相手がこれ以上は任せておけない。と判断する その能力にゆだねられているといってもよいのではないでしょうか。 つまり、取り消しとかが問題になる以前に問題とならないような 手段がとられるはずだ。とでもいいかえられましょうか。 事務管理の間ですが、701条。 645条から647用までの規定は、事務管理について準用する。 で、645~647とは、 645条 受任者は、委任者の請求がある時は、いつでも委任事務の 処理の状況を報告し、委任が修了した後は、遅滞なくその経過 及び結果を報告しなければならない。 これを事務管理に読み変えましょう。 管理者は、本人の請求がある時は、いつでも事務管理の 処理の状況を報告し、事務管理が修了した後は、遅滞なくその 経過及び結果を報告しなければならない。 同様に、646、647もありますが、重要なのは645でしょう。 645を準用しているおかげで、管理者と本人間の連絡が 密になり、従って本人にとって適合的な形で事務管理が 行われることを担保しています。 で、事務管理の債権発生原因であるということを示す 702条1項。ですね。 これらが事務管理の規定でした。 で、質問者様は、この事務管理には制限行為能力者について の規定がなく、この事務管理を始めるにあたって 同意は必要なのではないか。同意なくして事務管理を始めた 場合にはこれは取消得るものといえるのではないか。 そして例え何らかの損害が発生したとしても、本人のために 善良な意思に基づいて行動に出たのだから、 緊急事務管理の規定にあるように、悪意又は重大な過失が なければ、これによって生じた損害を賠償するべきではない。 とするはずであり、不法行為の話が出るまでもなく、 緊急事務管理によって賠償の責任を負わせるべきではないと 感じる。 あるいは、制限行為能力者の保護を考え、彼らが例え損害 を負わせたとしても、それは悪意や重過失がない限り 責任を負わないようにするべきだ。 質問者様の内容をまとめますとこうなるのでしょうか。 私の失言。 善管注意義務には、制限行為能力者の点が配慮される のか。 理解を誤ってたかもしれません。 質問者様は、初めからr、「事務の性質に従い、最も本人の 適合するような方法によって、」(697条1項) その事務の管理をする能力がないような制限行為能力者 がいた場合どうするのか。ということを質問なさりたかった のでしょうか。うむむ。こういう人は関わってこない、 おそらく、法定代理人が事前にストップすることに なろうと思います。 そして、不法行為を緊急事務管理をスルーして語って いた点。損害が悪意又は重過失、これはほとんど 故意、重過失と同様にとらえられますでしょうが、 しかし、不法行為にも緊急避難と言う規定があり、 細かい説明は省きますが、緊急事務管理、あるいは 緊急避難と言うことも考えられます。どちらが 適用されるかっていうと緊急事務管理でしょうけど。 事務管理は、事務遂行能力が要である。ということも 確かですし、責任能力が問題となる場合も、 不法行為として法廷に上げられた場合に考えられる ことになるでしょう。 ただ事務遂行能力がない場合、↑にももうしました とおり、そもそも法定代理人がストップするべき だし、相手との連絡上任されないだろうし、 また、不利益が及ぶ(700条ただし書き)のため 途中でストップするのではないでしょうか。 たとえ制限行為能力者でなくとも、 その事務を遂行する能力がなければ、通常の 人間でも、事務管理は相手方の満足のいくような 結果とならなかったがために、責任を負わせられる ことになりましょう。 制限行為能力者の場合、取り消されるまでは有効です から、継続義務も同様に考えて、途中まではやったがや めた。すなわち、これを有効の状態と同様に考え、やめ ようとした場合にも取消ができるような体制にするということで しょうか。 そして取消権を行使し、すでに管理者として出費したものが あればそれを請求し、損害を負わせればそれを支払うという 原状回復の状態になる。ということでしょうか。 それだと、702条第3項に規定がございまして、本人が 現に利益を受けている限度にのみ、前2項の適用。すなわち 費用を返還することになります。 逆に本人の意思に反さず事務管理を行った時は、 継続義務が発生し、事務管理を続けることになります。 んんん~~事務管理の規定は「管理者と本人の間の 連絡関係を信頼した規定」をおいているようです。 ですからそれを尽くしたにも関わらず生じた損害は もはやどうしようもないもので、その場合は緊急事務管理 によって責任を免れることになるのではないでしょうか。 浪費癖については、経済合理性に反するような修理。 これはどこかで例を見ましたね。水道の修理で黄金の水道 に取り換えるという極端な例でしたが、これはこれで、 最も本人の利益に適合する方法ではないということになり、 通常考えられる費用しか請求できないことになりますね。 被保佐人が同意なくしてこんなことをやった場合、 これを取り消すことは不可能かと。 これは感覚的に明らかなように被保佐人の方が悪い ということになりそうですが、法的にはいかがでしょう。 事務管理が制限行為能力者の規定を設けなかったのは、 こういった場合、既に取り返しがつかない「既成事実」が 生じるから、金銭では解決できない新しい問題が生じ うるということもあるのでしょうが、 これは、そもそも金を買いいれた別の業者と、 同意なくしてそれを手に入れた別の被保佐人との間の 問題として帰着することになろうと思います。
お礼
今回も、懇切丁寧、論理明快かつ精緻な利益衡量をありがとうございます。 仰るように、資料が少ないみたいですね。 ある参考書には事務管理と行為能力については、成立要件として、行為能力を要するか 否かということと、制限行為能力者に継続義務を課すのは制限行為能力者の保護の精神 に反するという言及があるのみで、その内容を把握できませんでした。 といいますのは、事務管理が成立しないのは、それはそれで保護にならないように思え たからです。 そこで、いくつかの資料にあたってみたのですが、 コンメンタール民法(我妻・有泉)1232Pには、もう少し、詳しい説明があり、私 の理解では、制限行為能力者が事務管理を始めたことによる不利な効果については取消 権に準じた権利を認めるということ、その結果、制限行為能力者に利益が生じてしまっ た場合には、不当利得によって処理するというものでした。 また、些末なことなのかもしれませんが、上記のことを、「行為能力を事務管理の成立 要件にする」と表現するのが妥当なのかはよくわかりません。 字面を素直にとれば、事務管理の制度は、行為能力のある人に対する特則であり、制限 行為能力者には適用がないということになります。 それは、事務管理に該当するような事象が起きた場合には、制限行為能力(不利益な効 果をもたらすものには取消権に準じた権利が認められる)、不法行為(責任能力の問題 )、不当利得(制限行為能力者のお節介(出費)により本人が利得を得ているか)及び、 信義則(お節介について不法行為を主張することが正義公平に反しないか)によって解 決すべきということでしょうか? あるいは、単純に、事務管理を制限行為能力者について一定の修正を加えるという意味 でしょうか? 上記は、「制限行為能力者その3」に投稿させていただくことを考えてります。