まず「国益」とは、何かを具体的に考えてみる必要があると思います。
太平洋戦争に関しても、極端な意見ですが米軍の空襲で古い工場が焼かれたために、新しい設備をすぐに設置することが出来て後の経済繁栄につながった、というような意見を聞いた事があります。
日独伊三国同盟が結ばれた当時の日本は
・解決の糸口すら見つからない日中戦争の泥沼化
・日米通商航海条約が廃棄され米国との対立が深まる
という重大な問題を抱えている状態でした。
当時ヨーロッパでは、ナチスドイツがフランスを占領しロンドンを空襲して、英本土上陸作戦は近いと言われていました。
この地点で、ドイツはイギリスに武器を提供するアメリカの大戦への参戦を強く警戒し、強大な海軍力を持つ日本と軍事同盟を結ぶことによって、アメリカを牽制し欧州への参戦を押さえることを考えました。
日本はナチスドイツの快進撃に魅了され、米英の中国への援助により泥沼化していると言われた日中戦争の解決と、行き詰まる日米交渉を打開するための材料として、ドイツとの軍事同盟を結ぶべく松岡外相がドイツとの交渉を始めました。
ここで日独両者の思惑が一致し、イタリアも加えて電撃的に日独伊三国同盟が成立しました。
同盟を結んだ日本側の思惑としては、日中戦争を解決する、日米関係を好転させる(日米戦争を回避する)というものがありました。
三国同盟締結前の天皇御前会議でも、「日米開戦を回避するよう万全の施策をとること」という要望を出した上で、同盟を承認しています。
結果から見れば、三国同盟締結によってアメリカは日本への態度をより硬化させ、日本が太平洋戦争に引きずり込まれていくきっかけになりました。
つまり同盟締結当時の思惑=国益と考えると、利益があったとは言えず、むしろ逆に作用したと言えます。
お礼
なるほど!すっきりしました!