あなたの今現在の数学の理解にもよるでしょうが、高校数学を一から復習することには賛成できません。無駄な寄り道はせずに有名な経済数学の教科書を読んでみるのが最短の道であると思います。
ある程度の高校数学の知識があるに越したことはないのですが、いかんせん、高校の数学は「高等算数」としての色合いが強く、それが大学院での研究に直結することは少ないのです。
お勧めの経済数学の教科書は、少々古くはなりましたが、A.C.チャンの「現代経済学の数学基礎」です。後半の一部に古くなりすぎた記述はありますが、まずはこれを読みましょう。アメリカの教科書が優れているには理由があります。まず、アメリカの高校で習う数学は、日本に比べて、非常に基礎的なことばかりです日本の高校一年レベルまでと考えていい。日本のように奇をてらった問題を解かせるのではなく、「基本を大切にする」というのがアメリカのスタイルですね。このような学生に教えるのですから、基本的なことから説明せねばならない。第二に、アメリカの大学は日本と違いすさまじい競争社会です。学生は真剣に勉強しなければキックアウトされてしまう。だから、教科書を真剣に読みます。真剣に読む教科書ですから、読んで解らないもの、独学できないものは相手にされません。その意味からも、長らく愛読されているこの教科書はお勧めです。私は大昔、この本を読んだとき、「嗚呼、高校のときこの本を読んどけばなぁ。。。」
と思ったもんです。
最近では、Carl P. SimonとLawrence Blume著の「Mathematics for Economists」という本が抜群に良いです。おそらくチャンに取って代わる本だと思います。が、残念ながら翻訳がありません。それでもいいならどうぞ。
動学最適化まで今のうちに理解したいというのであれば、自分の大学の先生に聞いてみてください。いいアドバイスをくれるはずです。でも、大学院入試にはチャンで十分かと思います。
統計はいい本がいっぱいあるでしょう。加納・浅子(日本評論社)や刈屋・勝浦(東洋経済)などが良いのでは?
最後になりますが、経済学の数学は、数学として厳密に理解することも大切ですが、まずは「使える」ようになることが一番大切です。厳密な理解がなくとも、さしあたって「微分できる」「最適化できる」etc.というのが意外なほど重要なのです。
たとえて言えば、車を運転するのに自動車の構造を理解するのも大切だが、まずは運転の仕方を覚えないとどうしようもないのと似ています。数学をマスターするまで経済学を勉強しないというのは本末転倒です。それは自動車の構造を細部にわたるまで理解しなければ運転しないといっているのと同じことです。ミクロ・マクロの問題集や山本拓の教科書などには数学の付録がついているはずです。さしあたって、それをやってみて「経済数学の使い方」をマスターし、「ミクロ・マクロ・計量など経済学の」教科書を勉強しながら、同時進行で先にあげた経済数学・統計学の教科書を勉強すべきだと思います。そうすれば、あなたの(経済学のための)数学力はどんどん理解が深まると思いますよ。
お礼
こちらの質問にも詳しいアドバイスをいただき、大変感謝しています。現代経済学の数学の基礎は阪大経済学研究科の入学準備の薦めでも推薦されているので挑戦してみようと思います。ありがとうございました。(大変図々しいお願いなのですが、No.574054の質問:院試での卒論の合否への影響 のお礼にyaleさんにお聞きしたいことを書いたので、再度ご回答をいただけるとうれしいです。)