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百人一首の36番、70番の「何処」は「いずく」それとも「いずこ」?
辞書には「いずく」は「いずこ」の古形とありました。また85番は、「明けやらぬ」とあったり「明けやらで」とあったりしますが特にこだわらなくていいのでしょうか。
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No.2の方の情報の一部訂正をさせていただきます。 百人一首では「明けやらで」になっていますが、No.2の方が触れられた「千載集」や、俊恵自身の家集(個人または一家の和歌をまとめて収めた歌集)である「林葉和歌集」には「明けやらぬ」のほうが載っています。よって「あけやらぬ」のほうが元歌ということになっています。 そのため、写本をする人物がわざわざ元歌に忠実に書き直したりしたために現在でも本によってはそのような違いがあります。 「いづく」は「いづこ」の古い形であることはすでに回答のあるとおりで、やがて両方とも使われるようになり、現代の「いずこ」へとなったようです。 天保時代に写された本ではお尋ねの部分は「いづく」となっており、同じ歌集でも歌によっては「いづこ」だったり「いづく」だったりしているような状態で、現在発行されている本でも著者によってはご指摘の部分が「いづこ」だったり「いづく」だったりしているようです。それはネット内でも同様です。 歌の読み方、読み人の呼び方は時代や流派によっても少しづつ変化しており、一概にどれが正しいとはいえないようですが、 私の持っている本で紹介されている百人一首の歌の読み方として古い書物ではこのように書いてあるということです。 天智天皇……てんぢ天わうと、にごりてよむべし。 持統天皇……ぢどうと二字ともに、にごるべし。 喜撰法師……ほっしとつとめてよむべし。 丸……いづれも、まろとよむべし。 あまのかく山……かぐとにごるべし。 つくはね……はの字すむべし。(濁らない) かたみに袖をしほりつゝ……しをりつゝとよむべし。 ゑやはいふき……いうきとよむべし。いぶきとよむべからず。 などと他にもいろいろと読み方を教えてあります。 但し書きとして「すべての本でこのように統一されている訳ではない」というようにありましたが、 現在と共通しているものもあれば、まったく違う読み方のものもあります。 面白いのは「つくはね」や「しほりつゝ」、「ゑやはいふき」などですね。 平安時代に濁点はないので、オリジナルの書物には一切濁点の表記はありませんが、現代人に読ませるにはやはり濁点をつけてさらに現代の仮名使いで本を印刷するわけで、本来の読み方と若干違ってくるのは仕方がないのかもしれません。 ただ濁点をつけるとせっかくの掛詞がわからなくなってしまうのが残念です。 たとえば「ゑやはいふき」の「いふき」は伊吹山を指しますが、「いうき」と読ませてこそ「いふき」と「言う」とが掛詞になっているということが分かるものです。 これを「いぶき」と濁点をつけてしまうと当然「いうき」とは読めず掛詞も消滅してしまいます。 やはり和歌の奥深さをあじわうにはこういう言葉遊びを知っておくと面白くもあり、歌を覚える上でも覚えやすくなりますよね。
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- bakansky
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「いずく」「いずこ」ではなくて、「いづく」「いづこ」ですね。 「いづく」が用いられたのは主に上代。「百人一首」編纂の頃に、まだ「いづく」も残存していたとしても、それより後には「いづこ」が優勢になりました。 「いづこ」で読むのが普通であると思います。 「夜もすがら」の歌については、「小倉百人一首」では「明けやらで」とあるみたいです(また、その歌の出典である『千載集』の中でも「明けやらで」のようです)。 でも、ネット上では、「明けやらぬ」というのも見ましたから、異なる版があるのかもしれません(私個人としては、多数派をとって「明けやらで」に組します)。それ以上のことは、分りませんでした。 他にも、 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山 という歌は、出典である「万葉集」には持統天皇の歌として 春過ぎて 夏来たるらし 白妙の 衣ほしたり 天の香具山 といういう形で載っていますから、定家が「衣ほしたり」の部分を「衣ほすてふ」と書き直したのだと思われます。 けれど、「小倉百人一首」として読む場合には、あくまでも定家が手を入れた形で読むのが筋でしょう。
お礼
ご回答ありがとうございます。詳しくご説明くださりよくわかりました。 >「いずく」「いずこ」ではなくて、「いづく」「いづこ」ですね。 お恥ずかしい限りです。百人一首に現代仮名遣いはいけませんね。 >あくまでも定家が手を入れた形で読むのが筋でしょう。 おっしゃるとおり!入手可能なもので、お勧めの本を教えててくださいましたら幸いです。
- 7kobito
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えっ? 前者は聞いたことありません。。。 よく調べた方がいいですよ。
お礼
早々のご回答ありがとうございます。私が最初に購入した百人一首の本(「よくわかる百人一首」中村菊一郎著 日東書院)では「いづく」(質問文は現代仮名遣いで「ず」としてしまいました)となっています。ネット上でも、両方あるようなので質問したわけです。
お礼
ご回答ありがとうございます。お礼が遅れて申し訳ございません。詳しく教えてくださり、大変勉強になりました。