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現代人が、写実主義or自然主義の小説を読むことの意義は何だろう?
現代人が、写実主義or自然主義の小説を読むことの意義は何だろう? 最近、フランス文学を読解しているのですが、ふとこの疑問を持ちました。 ロマン主義からは一転し、また現在の大衆的な風潮とも違う、写実主義や自然主義の作品を読むからには、単なる娯楽以外の意義・得るものがあるはずです。 どこかの先生の説でも、回答者さんの持論でもかまいません。考えをお聞かせください。写実主義と自然主義については、一方についてでも、総合的にでも構いません。 主にフランス文学を読むことの意義を想定していますが、専門や趣味が国文学や他の国のものならば、そちらでも構いません。
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僕なりの考えということで、お答えします。 どちらの考え方にも共通しているのは、現実をそのまま描こう、ということではないでしょうか?登場人物の心理も、そのままじかに描こうとするわけですよね。 では、そういう作品を、現代において読む意義は何か? 昔の自然主義、写実主義作品を読むなら、それをそのまま現代に当てはめるのは無理があります。その時代の前提を受け入れて、作品が成立しているわけですから。 今現在の時代を描いているそのような作品ならどうかというと、これにも、僕は限界があると思う。 現代の私たちは、近代の後の『ポストモダン』と言われる時代に生きている。大体1970年代以降だと考えていただいて結構です。 ポストモダンの大きな特徴は、『大きな物語』が崩壊した、ということです。『大きな物語』というのは、みんなが信じていると思われる価値観のことです。日本人ならば当然こう考えるだろう、というようなことが、今の時代には失われている、ということです。ひとりひとりの人が、独自の価値観を持つことが奨励されているくらいです。 そのような中で、写実主義、自然主義は、本当に可能なのだろうか?僕は疑問です。新たな文学の形を考えなければいけないと思う。 (東浩紀さんの『動物化するポストモダン』、その続編の『ゲーム的リアリズムの誕生』に、これらの話の詳しい説明が載っています。僕の考えは、彼の本に同意するものです。) 昔の作品と今の現代の状況をよく鑑みてみる価値は、しかしながら、絶対にあると思います。それは何も写実主義、自然主義作品に限った話ではなく、プラトンの対話篇でもそうだと思います。 僕も大学のフランス文学科に属していますが、やってることはフランスの哲学です。なので、こういう回答になってしまいました(笑)。すいません。
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- spring135
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No.2です。 >「文学史全体の位置づけを確認」できるという意義があると仰りたいのでしょうか? このような質問が帰ってくるとは想定もしていませんでしたが、根本的に文学への認識が違っているのだと思いました。「文学」とは何か。そこに教訓や知識を求めたるのは19世紀以前の読み方です。一言で言えば文学は人間の生き様を描くものです。神なき時代に生まれた実存主義文学は個人の生き様を徹底して描いたものであり、個人を描くことによって鮮烈にその時代を抉り出したものであって、人間の精神史の一環として捉えることを不可避的に迫るものです。つまり文学史は精神史、文学的必然性の消長の中で、個々の作品を把握していく必要があるという意味です。
お礼
お疲れ様です
- spring135
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写実主義や自然主義は大いに外国の文学の影響を受けて成立したものであり、日本に特有のものではありません。特にフランスのゾラやモーパッサンの影響が顕著です。またトルストイやロマン・ロランを経て白樺につながるのではないでしょうか。 文学史全体の位置づけを確認すればよいと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 質問は「読むことの意義は?」ですので、回答者さんは「文学史全体の位置づけを確認」できるという意義があると仰りたいのでしょうか? 確かに、国文学に影響した大元を知っておくことには、価値がありますね。
お礼
回答ありがとうございます。 写実主義が、当時の社会情勢そのものを前提としているのは、仰るとおり間違いないですね。それを現代で読み解く上で、現代日本のポストモダンの風潮が一つの鍵になる、と。 確かに、19世紀フランスとは違って、現代日本は大衆に共通の背景があるとは言えません。ここに思い至る上で、前半の回答者さんのご教授は参考になりました。 回答の後半部分で挙げられている「新たな文学の形を~」は、作家側としての見方でしょうか? ともあれ、当該作品を読む上での課題を一つ見つけられた点で、非常に有意義な回答でした。またご縁がありましたら宜しくお願いします。