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糸電話の工学的解析
糸電話の工学的解析について、論じてほしい (あるいは、論じているURLや書籍を教えてください.) 目的: 電磁波工学の原理を理解したいのですが、出てくるいくつかの概念の根本的なところろのイメージが腑に落ちない.そこで、一旦、この分野から抜けて、波動による伝達というところだけで共通点を持つ、糸電話を理解したいと考えた.糸電話で利用している波動は、振動媒体(糸)があるので、振動媒体の特定されていない電磁波とはタイプが異なるとは、もちろん思う.しかし、伝達しているのは波動(wave)であるから、波動という意味では電磁波を用いた送受信と同じく、搬送波とか、信号波とか、帯域とか、変調とか、復調とかの、概念(術語がオーバースペックではあるが)を「細大漏らさず使って」、「説明できるはずだ」と考えた.特に、「搬送波」の概念を使っての説明を受けたい.電磁波工学における「搬送波」という概念の必須性にきわめて、腑に落ちない感じをもっているためです.「搬送波」は、糸電話において一体全体なにに相当するのか.相当するものは、ない、というお考えを頂くことがまずは予想されるが、それは残念で、どうしてもないとの場合、なぜ糸電話に必須でない概念が、電磁波通信になると必須になるのか、ご教授いただけましたら幸いです. 予想: 例えば、次のような回答をイメージしています.しかし、全然違うかもしれず、そのときは、無視してださい. 糸がたこ糸とき、その伝送路は、xx波の横波の通信路とみなせる.その帯域は、概略計算するとほぼxxx ~xxx Hzである.一方、音声の周波数は、xxx xxxである.紙コップの底が、変調機に相当する.音声の振動は、そこで、糸の上にある、搬送波に乗せられる.糸の上にある搬送波というのは、この場合、xxxxがその実体である.しかしながらxxxxは通常xxxxであるのでほとんどの場合意識されないのである.(とか)
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- stomachman
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補足を拝見いたしました。 前の回答ではAM方式のごく簡単な原理を書いただけですから、ラジオの詳しい構造については専門の先生方にお任せしましょう。要するに搬送波の振幅の包絡線の形が、本来送りたい(音声などの)信号波形になるようにamplitude modulation(振幅変調:AM)をする話です。 ●再質問(1) :いらん成分と欲しい成分の半々に別れたという事で1/2、ということで如何でしょう? ●再質問(2) :m>>Nでなくても原理的には良いんですけど、巨大アンテナが必要になりますぞ。 ●再質問(3) :受け側ではcos(mt)を自分で作る(シンセサイザー)方式もあります。しかしAMでは共振回路を使ってcos(mt)に近い周波数だけを受信し、これを整流(電流が一方向にしか流れないようにする。半導体や真空管を使います。検波という。)をした後で、平滑化(これもローパスフィルタでまじめにやる以外に、単なるコンデンサや、単に高周波に追従できない安物スピーカーなどが使えます。検波をしないと平滑化によって出力が0になっちゃいます。)をして高周波成分を取り除く、というやり方があります。昔のラジオでは、選局つまみを回して共振回路の共振周波数を容量可変のコンデンサ(バリコン)で変えたものです。 ●再質問(4) :原因と結果の関係の混乱ですか。実は(因果律を基本に置いているところの)アインシュタインの相対性理論とぴたりマッチするのが電磁気学ですから、そういう意味では原因と結果の関係がこれほどハッキリしている分野もないんですが、電荷の動きが磁場を産み、磁場の動きが電荷の流れを生じる、というぐるぐる回りは確かに混乱しますねえ。そのへんの絡みを逆に変幻自在に利用できるようになると、達人と呼ばれるようになるんでしょう。普通の教科書で納得行かない場合には、今井功「電磁気学を考える」(サイエンス社1990)という名著がありますのでご参考まで。 ちなみに、アンブローズ・ビアス「悪魔の辞典」の【結果】の項に 『いつもと同じ順序でまとまって発生する二つの現象のうちの二番目のもの。一番目のものは「原因」と呼ばれていて、二番目のものを発生させるといわれている-だがこんな発想は兎を追いかけているときの犬しか見ていないものが、兎を見て犬の原因だと断言するのと同様、非常識きわまりないものである。』 とあります。
- stomachman
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糸がたこ糸とき、その伝送路は、糸の弾性波の縦波の通信路とみなせる.その帯域は、糸の音速(弾性係数・張力)と質量から、概略計算するとすぐにはナンボと分かりかねるんである.一方、音声の周波数は、0.05~数kHzである.紙コップの底が、空気の振動と糸の振動を相互変換するトランスデューサに相当する.音声の振動は、そこで、糸の振動に変換される.糸の上に搬送波は、この場合、ない。実際、同じ糸の上に2チャンネルの音声信号を通して受信側で分離することは不可能である。 つまり搬送波を考える上では糸電話は良いモデルとは言えません。 電波の場合にも、原理的にはなにも搬送波を使う必要はない。0.05~数kHzという極超長波をそのまま(その波長と概ね等しい大きさの)巨大なアンテナから発信して、同様に巨大アンテナで受信することが可能であり、この場合、たった一つしかない真空という通信路に2チャンネルの音声信号を通して受信側で分離することは不可能である。 音声信号f(t) (tは時刻)が極めて狭帯域であるとは何を意味するか。説明を簡単にするためにf(t)が1秒を周期とする周期信号であるとすると、そのフーリエ級数 f(t) = ΣA[n] cos({2π/n}t+α[n]) (Σはn=0,1,2,....の総和)の、各周波数成分の振幅A[n]がnが大きいほど急激に減衰し、N=数kHz位から上では実質的に0になってしまう、ということに他ならない。だから<A[n],α[n]>(n=0,1,....,N)だけがあればf(t)が再現可能。つまり、 f(t) = ΣA[n] cos({2π/n}t+α[n]) (Σはn=0,1,2,....,Nの総和) である。 この信号f(t) と、高い周波数の搬送波 cos(mt) (m>>N)の積を作ると g(t) = f(t) cos(mt) = ΣA[n] cos({2π/n}t+α[n]) cos(mt) <これに三角関数の公式を使って> =1/2ΣA[n]{ (cos((m+2π/n)t+α[n]) +cos((m-2π/n)t-α[n])} となり、周波数(m-2π/N)~(m+2π/N)の範囲の振動だけで構成された波に変換される。このg(t)を送信します。 次に、受信側でg(t)と cos(mt)との積を作ると g(t) cos(mt)=1/2ΣA[n]{ (cos((m+2π/n)t+α[n]) +cos((m-2π/n)t-α[n])}cos(mt) =1/2ΣA[n]{ (cos((m+2π/n)t+α[n])cos(mt) +cos((m-2π/n)t-α[n])cos(mt)} =1/2ΣA[n]{ (cos((m+2π/n)t+α[n])cos(mt) +cos((m-2π/n)t-α[n])cos(mt)} =1/4ΣA[n]{cos((2m+2π/n)t+α[n])+cos((2π/n)t+α[n])+ cos((2m-2π/n)t-α[n])+cos(-(2π/n)t-α[n])} =1/4ΣA[n]{cos((2m+2π/n)t+α[n])+cos((2m-2π/n)t-α[n])+2cos((2π/n)t+α[n])} となる。ここで不必要な周波数(2m-2π/N)~(2m+2π/N)の波をフィルターで除去してしまえば1/2ΣA[n]2cos((2π/n)t+α[n]) = 1/2 f(t)が得られる。 さらに、mは任意に選んで良いので「高い周波数であって、しかも互いに周波数が2π/N以上離れた多数の搬送周波数の波」cos(m1), cos(m2),.....を用意し、それぞれに別々の信号f1(t),f2(t),....をかけ算した g1(t), g2(t),....を構成して、これらの和をまとめて送信することができる。受信側では、必要な信号たとえばf4(t)がどの搬送周波数に乗っているのか(この場合m4)を知っていれば、他の信号の影響を受けずにf4(t)を再生することができる。すなわち、沢山のチャンネルを構成できるわけです。だから1個のラジオでいろんな局の放送を聴くことが出来る。また搬送波mを十分高い周波数にすれば、送受信に必要なアンテナも小さくて良い。 かなり乱暴な説明ですが、これが搬送波というアイデアの原理です。 もうちょっときちんとした説明にはフーリエ級数ではなくフーリエ変換を用いますが、やることは同じです。
お礼
回答ありがとうございます.stomachmanさんの回答を読んで、私なりに自分の2質問にひきつけて理解したところは次のようです.(1)「搬送波」は、糸電話において一体全体なにに相当するのか→相当物なし.(2)なぜ糸電話に必須でない概念が、電磁波通信になると必須になるのか→質問者の前提に誤解がある.電磁波通信でも、搬送波を使うことは、別に必須で「ない」ともいえる.事実、搬送波を使わなくても、電磁波通信は原理的に可能.しかしそれは、少なくとも二つの面で実際的でない.一つは、アンテナが巨大になる.二つめは、同一通信路において多重化できない. な、なるほど...ありがとうございました.m(__)m また疑問が湧いてきました.もしお時間ありましたらお教えください. 再質問(1)f(t)から始まって、変調・復調の結果、最後に1/2 f(t)になる.この、1/2という数値は、少しできすぎなぐらい、きれいな数値に思いますが、なんで1/2なのでしょう? 再質問(2)細かいところで、恐らく本筋と関係ないですが、数式変換において(m>>N)は式の変形においては、どこかに、活用されているでしょうか? ((2m-2π/N)~(2m+2π/N)の波を除去、のところでは活用するのかな推察しましたがそれ以外にありますか?) 再質問(3)受けのほうで、cos(mt)を乗じています. 具体的にはどういうことでしょうか? 電源を備えているラジオは、自らcos(mt)を独自に作り出して、それを受信信号に乗じている、と私は「勝手に」イメージします(違っているかも)仮にこのイメージが合っているとすると、電源を備えていない簡易工作ラジオがありますが、あれは、cos(mt)をかけていない、のでしょうか?それとも、到来電磁波と、無電源の受信機とアンテナ、の相互作用で生じた(発電された)、微弱なcos(mt)が、そのまま、流用されて、乗じられるのでしょうか?もし、これがyesだと、こういう発想は、ああ、またか、電磁気工学ってこれだから(なにが原因でなにが結果かわからない)、なんか、よくわからん、という感じですが.(これは、無電源簡易工作ラジオで、ラジオが聞こえた感激ことを思い出しての質問です.現実に感激はするが、電磁気学はなんかよくわからない、というイメージ) 再質問(4)実は、電磁気学を見ると「何が原因で何が結果か解らない」というイメージに私は悩まされます.このようなイメージを初学者が持つことは、半ば公認された事実なのでしょうか? あるいは、もしかすると、少なからぬ研究者もこのようなイメージを持っているようにも推察していますが、事実でしょうか? またこのようなイメージを持つこと自体は、電磁気学を理解していない、というよりは、むしろ電磁気学の雰囲気を大まかに理解している、と考えたくなる誘惑にかられますが、同意されますでしょうか?実は、私は、何が原因で何が結果かわからない、ということを悪く思っているだけではなくて、もしかしたら、何が原因で何が結果かわからない記述様式の学問とか科学、も、あってよいのでは、と感じています.ただ、電磁気学をそういう記述様式の学問と思っていてよいのか、それとも、そう思うのは私の、怠け、であって、きちんと理解すると、なにが原因でなにが結果なのかをわかる、のか、どっちなのかを知りたいです.(もし後者なら、電磁気学とはなにを第一原因(あるいは複数でも)と仮定する、学問なのか、教えてほしいです)
お礼
回答をありがとうございます.今井功「電磁気学を考える」って、いかにも面白そう.読んでみたいと思います.
補足
ビアスという人の警句ははじめて知りましたが、その警句に表されている立場は極めて妥当だと思います.この警句では強く言い過ぎている嫌いもありますが、私個人としては、この警句のような見解が、量子力学とか電磁気学とかの先駆者の心の底には、しっかりと潜んでいた(る)のではないか、と感じています.(←思い込みかも) もうすこし穏当に、かつ、方向性を明らかにして言うと、電磁気学、(あるいはその他の類似の学問分野)を「共時性」の立場から見る、との議論は十分可能ではなかろうか、あるいは、すでに誰かが主張しているやもしれぬ、あるいは科学哲学等の世界では常識?なのかな、などとと想像したりしています. (←情報あったら誰か教えて). できたら、さらに、いろいろと多くの論点でも、いろんな人に、思い切って論じてほしいです. 質問および補足質問についてもいろいろな意見を歓迎します.