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刑法の中の「錯誤」について。
客体の錯誤と方法の錯誤というものがありますが、それぞれは実際に刑法を適用するに当たり、どういう違いが出てくるんでしょうか?
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- ma_
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法定的符合説に絞って説明すれば、 1.Aを射殺しようと思ってけん銃を発射した。ところが,…… 方法の錯誤:隣にいたAの飼い犬に当たり,その犬が死亡した。 客体の錯誤:それは,Aの飼い犬であり,その犬が死亡した。 <理論> 法定的符合説:「およそ人」という法定の範囲内でしか故意は認められない。 2.他人の占有する財物を窃取しようと思って,駅のベンチにおいてあったカバンを持ち去った。ところが,そのカバンは甲が紛失したものだった。 <理論> 法定的符合説:「およそ他人の財物」という法定の範囲内でしか故意は認められない。しかし,構成要件が同質的で重なり合う場合には,重なり合いの範囲で故意が認められる。 つまり「窃盗罪」と「遺失物横領罪」は,遺失物横領罪の範囲で重なり合う。 法定的符合説では、 ・同一構成要件内 …犯罪が成立+故意の個数を考慮しない (甲を殺そうと思ったら,乙が死亡) …乙に対する殺人罪 (甲を殺そうと思ったら,乙・丙が死亡) …乙・丙に対する二つの殺人罪 ・異なる構成要件 …犯罪は不成立+構成要件の重なり合う範囲内ででは犯罪が成立 (甲を殺そうと思ったら,甲の飼い犬が死亡) …不処罰(過失による器物損壊) (他人の財物を窃取しようと思ったら,落とし物だった)…遺失物横領罪
- daytoday
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法定的符合説(判例・通説)の立場であれば,#1のとおりです。 具体的符合説の立場をとれば,ケース1は同じで,ケース2はBさんに対する殺人未遂罪とAさんに対する過失致死罪となります。 詳細は参考URLをどうぞ。
- simox
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客体の錯誤とは、 「Aさんを殺そうとして発砲したら、実は人違いでBさんでした」(ケース1)という場合、 方法の錯誤とは、 「Aさんを殺そうとして発砲したら、狙いが外れてBさんに当たってしまいました」(ケース2)という場合です。 上記の例で、Bさんが死んでしまった場合、 ケース1ではBさんに対する殺人罪が、 ケース2ではBさんに対する殺人罪とAさんに対する殺人未遂罪が成立します。 また、Bさんを「野生の熊C」に置き換えた場合、 ケース1では殺意はあったが死んだのは熊なので無罪、 ケース2では熊Cを殺したことは罪にならないが、Aさんに対する殺人未遂罪が成立します。 というような違いが出てきます。