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古美術の著作権
しばしば、「古い美術品は著作者の死後50年を経過したから著作権保護期間が満了し著作権は消滅している。」との回答が見られます。これは「顔真卿建中自書告身帖事件」最高裁判決(昭和59年)に依拠するものと思われます。しかし、チャイナの唐代には当の唐はもとより世界中のどこにも著作権法などなかったのだから、法不遡及の原則に照らし、上記墨書は著作権の消滅したものなどではなく、著作権の埒外にあるところから著作権により論ずべきものではないと思います。これに対し、「現在著作権がないのだから同じことだ」との意見もありますが、これは「未婚の人もバツ一も現在独身だから同じことだ」というに等しい暴論です。離婚するためにはまず結婚しなければならないのしと同様、著作権が消滅するためにはまずその保護を受けなければなりません。これは重要にして面白いテーマです。識者のご回答を望みます。
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- arashi1190
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旧著作権法では、 「第四十七条 本法施行前に著作権の消滅せざる著作物は本法施行の日より本法の保護を享有す」 とされています。 旧著作権法では保護期間は死後30年とされていますので、法施行前に創作された著作物も遡って保護されます。 逆に言うと、「本法律施行前に著作権が消滅した著作物は本法の保護を受けない」ということになると思います。 つまり、古美術品は著作権法を適用した上で、既に著作権が消滅したものであるという考えです。 保護期間は人為的に定められたものです。 例えば、旧著作権法で保護期間を死後300年と定めたとすると、法施行時点で徳川家康の作品も著作物として保護を受けることになります。 法が保護期間という線引きをしたからこそ、古美術には著作権が無いと言うことができるのでは・・・と思います。
- arashi1190
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古美術でも著作権により論ずることはできると思います。 そもそも、「著作権法」という法律が出来た時点から「著作権」という概念が生じたものであると考えられます。 著作権法には「著作物」「著作者」の定義があります。 その定義に照らし合わせた時、古美術であっても「著作物」であり、創作した者は「著作者」になります。 仮に著作権が未来永劫消滅しない権利であると定義された場合、古美術も著作物として現存することになります。 著作権法では保護期間を有限と定めています。 従って、著作権法が出来た(施行された)時点で、「古美術は著作物ではあるが、既に保護期間が終了したもの」という扱いになっていると考えられると思います。
補足
さっそくのご回答ありがとうございました。私の質問にちょっと補足します。「著作権法ができたた時点から著作権という概念が生じた」とすれば、著作権という概念すらなかった時代の制作物に著作権があってそれが消滅したとするのはいかがでしょうか。すなわち、著作権法に著作物の定義があっても、法不遡及の原則に照らし、著作権法施行以前に制作されたものに著作権法が適用されることはないのでは、ということです。旧著作権法を見ても、過去にさかのぼって適用されると解される条文も、また、著作権法施行時存在するすべての美術品などに著作権法が適用されると解される条文もないようです。もし、法施行時存在するすべての美術品などに著作権を一旦付与したと考えた場合、その保護期間はどうなのか、という問題も生じます。
お礼
ありがとうございました。旧著作権法47条は遡及を定めたのではなく、「本法施行前に(著作権保護をけていて)、それがまだ消滅していない著作物を本法により保護する」との趣旨であろうと愚考します。もし著作権法遡及を定めるのなら、いつまで遡及するなど、明確な条文を設けていると思います。申すまでもなく「著作権法施行前に著作権の保護を受けていたもの」は、そもそも存在しません。旧著作権法47条は「先進諸国の著作権法により著作権が保護され、その著作権が日本の旧著作権法施行時において消滅していないものは本法の保護を受ける」、との趣旨で設けたものと思います(ベルヌ条約関係)。 もっとも、日本の旧著作権法の先駆的条例(たとえば出版条例)により著作権的権利を得ていて、それがまだ維持されていたものも含まれると解することはできるのかも知れません。 それでも、さかのぼって唐の時代(当時著作権法もベルヌ条約もなかった)書かれた墨書に一旦著作権が付与され、それが何年かして消滅したとはとても考えられないし、そのようにする必要もないのでは、と愚考します。