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美術品の著作権
美術品の著作権について知りたいです。 本人が製作した時点で著作権が発生するのはわかりますが、それを保護する為に、真似できなくする方法、または訴えるのに有効な方法とかはないのでしょうか? たとえば、テレビで見ましたが沖縄の伝統工芸シーサーを真似した類似品が出回っているそうで、本物の10分の1の値段で販売されているそうです。 見た目では判断できないくらいの類似品も出回っているそうです。 本来は職人達がコツコツと手作りしていた著作権のある商品を他人が勝手に機械などで大量生産している事は著作権上問題だと思いますが、それを守る事ができないのであればまったく著作権法など意味が無いと思ってしまうのです。
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#3です。 >職人が製作した時点で著作権が発生する 著作権が発生するのは、著作物が創作された時からです。つまり、誰の手によるものであっても、著作物でないものをいくら作ったところで、著作権法による保護は受けられません。逆に言えば、その創作する者の思想・感情が感得できるものであれば、芸術性や独創性の高さは必ずしも必須ではありません。 ある物を著作物というためには、したがって、創作性の表現が要件となります。つまり、誰にでも作れる程度の表現は、創作性を欠くために著作物ではありません。 これをシーサーに関していえば、古くからあるシーサーをそのまま再製したり、ミニチュア化して再製するのは、著作権法にいう「複製(方2条1項15号)」に当たります。もちろん、オリジナルが保護を受ける著作物であれば複製権(法21条)の侵害になりますが、すでに権利が消滅していればいくら複製しようが自由です。 ただし、同じシーサーというモチーフ/テーマであっても、従来のシーサーとは明らかに異なり、新たな創作性が付加されていることが感得できれば、それは二次的著作物として保護を受ける可能性があります。 二次的著作物とは、「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」をいいます(法2条1項11号)。この場合、もとの著作物の本質的特徴部分が二次的著作物においても感得でき、かつ、新たな創作性が付加されていることが必要であると考えるのが通説・判例かと思われます。 よく出される例としては、「ロミオとジュリエット」と「ウェストサイド・ストーリー」があります。いずれも、(1)敵対するグループの男女が許されぬ恋に落ちる、(2)こっそり歌を聞かせて思いを伝える、(3)誤解から悲劇の最後を迎える、などの点で類似性がありますが、時代背景やグループの設定などの点では異なる物語です。 したがって、いわゆる「普通のシーサー」ではなく、「一見してシーサーではあるけれど、作った人の創作性が見て取れるシーサー」を創作すれば、それは二次的著作物であり、創作と同時に著作権が発生します。 もちろん、シーサーをモチーフとして抽象美術品を作成することも可能でしょうが、一般人の視点でシーサーであることが直ちに理解できないほど抽象化されていれば、それはまったく新しい著作物が創作されたものと考えるべきです。(アイデアがシーサーであるというだけで、すでに表現としてはまったくの別物となっていると考える。) 長くなりましたが、要するに、職人が製作したシーサーが、上記に照らして著作物であれば著作権法の保護を受けることとなりますが、すでに誰もが利用可能となっているシーサーをただ複製しているに過ぎない場合は、著作権法で保護されることはありません。(苦労して製作したものを保護しようというのは「額に汗の理論」といいますが、著作物でないものにまで保護範囲を広げるのは適当ではありません。) もし、シーサーの保護を図るのであれば、意匠法(ただし、新規の意匠であることが絶対必要)、商標法により、登録意匠(存続期間15年)や登録商標(存続期間10年、更新可能)を使って保護するか、登録によらないのであれば不正競争防止法上の「商品形態の模倣(同法2条1項3号)」を用いるほうが、むしろ適切といえるかもしれません。
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- north073
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実定法上の問題は、#3のご回答でだいたい尽きていると思います。 そのお礼で書かれていたことですが、シーサーが著作物だとして、それを真似て作った場合(普通職人さんがいくつも作るときは元のものと同じように作ると思うのですが)、真似て作った人の創作性が加えられていなければ、作った人に新しく著作権が認められる余地はありません。そのシーサーに、何か創作的な要素が加わっていれば、創作的な要素を加えた人に、新しく著作権が認められます。ただ、この著作権は、その創作的な要素について認められるもので、シーサー一般について認められるわけではありません。 そもそも、著作権という制度は、新しく知的資産を生産する行為を保護し、奨励していくことを目的としているもので、伝統的な文化を守り受け継いでいくことを保護するためのものではないのです。(伝統文化を軽んじているわけではありません) シーサーの問題は、むしろ、最近国際的に議論されている、フォークロアの保護の問題として理解したほうがいいのかもしれません。(参考URL)
お礼
ありがとうございます。 >そのシーサーに、何か創作的な要素が加わっていれば、創作的な要素を加えた人に、新しく著作権が認められます。 それは当然そうあるべきだと思います。それでないと製作者がとても困ることになると思います。
- Yorkminster
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まず始めに、シーサーがそもそも著作権法(以下、単に「法」という)上の「著作物」に該当するか否かが問題です。 著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であり(法2条1項1号)、法にいう「「美術の著作物」には、美術工芸品を含む」ものとされています(法2条2項)。 著作権法に「美術工芸品」の定義はありませんが、おおむね、美的鑑賞の用に供するために量産される工芸品と理解して良いでしょう。 一般に、シーサーは、一回性のある単品の創作ではなく、一定のコンセプトの下に類似の形状を有して作成される物であり、美術工芸品に含まれる可能性はあります。 では、すべてが保護されるかというと、そういうわけではなく、「著作物」ではあっても保護期間を経過したものは基本的に保護を受けません。シーサーの原形を、いつ、だれが創作したのかは知りませんが、少なくとも戦前から存在はしていたはずですので、もはや保護期間は終了しています。 もし、シーサーはシーサーであっても、それを創作した人(美術工芸品であれば原形を創作した人)の思想・感情が外形上感得でき、一般にいうシーサーとは異なったものとして理解できるシーサーであれば、それは新たな著作物として(おそらく二次的著作物として)保護を受ける可能性は残されています。 なお、美術工芸品につき、長崎地佐世保支決S48.2.7(S47(ヨ)53)(いわゆる「博多人形赤とんぼ事件」)があります。もちろん、この決定は著作権の保護期間内に起こった侵害に対する差止めが認められたのであって、保護期間が終了した後のものについてではありません。 なお、「本来は職人が~」のくだりですが、著作権法は「額の汗」を保護する趣旨ではありませんので、大量生産だろうが手工芸だろうが、「著作物」でない物を保護することはあり得ません。
お礼
ありがとございます。 シーサーの保護期間がすぎて著作権が保護されないのは理解できます。 職人が製作した時点で著作権が発生すると思っていたのですが。 職人が製作したものでも二次的著作権として認められるのかという問題なのでしょうか。
- nebel
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著作物として認められるものであれば、著作権者が訴えること。 第三者には、著作権者に連絡するくらいしかできないかと。 著作権法とか特許法では、悪質云々ではなく、民事で解決してねってだけです。 話し合いで過去にさかのぼって著作権者が認めることもできるので、 本当にそれが著作権を侵害しているか判断しづらいのもあるでしょう。 ただ、伝統工芸シーサーって著作権登録されてますか? もしその職人が商品として作っているのであれば、そこに思想とか感情とかの表現はないので、工業意匠法の範疇かもしれないですね。 (こればっかりはケースバイケースだとおもいますんで) シーサーのデザインにしても、類似品の取り締まりは難しいかもしれません。 ものすごく独特なデザインであるとか、型取りしてるのが明白でなければ、シーサーって一般物として扱われる可能性もありますし。 状況がわかりませんが、職人達が訴えを美術品として著作権侵害を法的に訴えてのにもかかわらず、認められなかったのであれば、その判決内容次第では同情に値するかもしれないですね。 職人達が訴えてないなら職人はどうでもいいとおもってるってことでしょうし、、訴えを納得できる理由で認められなかったとかなら仕方ないかもしれないですね
お礼
ありがとうございます。 その番組では職人たちは訴えるより、品質の差別化で生き残るような模索をしていたようです。 シーサーについては様々な形があるようなので、少し似ているだけでは訴えを認められないような気がしてなりません。
- jyamamoto
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刑事罰として取り締まるほどの悪質なことではないということでしょう。 特許権侵害ですら刑事罰ではなくて、民事訴訟でしか取り扱わないわけですから、著作権がそうなのもやむを得ないことだと思いますね。
お礼
ありがとございます。 民事になるのですか、それならなおさらやっかいな問題です。 もう少し調べてみます。
お礼
ありがとうございます。 ある職人が作ったものを参考にして、自分なりの作風で製作したときは、それは著作物として認められると考えてよいのでしょうか。 (自分としてはそう思いたい) もしそうだとするなら、自分の著作物も参考にされて、誰かの作風で製作されたとしても、その人の著作物となりますが。 (それは仕方がないと思います)