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憲法の遡及処罰禁止と刑事訴訟法について質問いたします。

実行時の最高裁判例では適法だった行為が、その後の判例変更で違法になった場合、行為者を処罰しても違憲ではない、との判例があります。 つまり裁判所は、「法律は国民の行為を支配するので遡及は許されないが、最高裁判例は行為を支配するものでない」と判断した、法律を最高裁判例よりも「上位とみなした」訳ですよね。 しかし刑訴法の上告理由では、法令違反は認められないのに最高裁判例違反は理由になっている。つまり、最高裁判例を法律よりも上位とみなしています。 処罰が合憲とした判例と、上告理由の条文は矛盾しないのでしょうか?

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  • Yuhly
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回答No.2

まず、最高裁判例というものは、その時点で最高裁がとっている法解釈を示した物に過ぎません。従って、法律自体に何等の変更はないので、解釈を変更したとしても法律を遡及させて処罰したことにはなりません。犯罪行為時に最高裁がとっていたのと別の解釈をしているだけですから(被告人の利益の為に、判例変更だけをして当該事件では無罪判決をするべきだという人もいますが)。 また、405条が判例違反と判例のないときの高裁裁判例違反を上告理由としているのは、既存の法解釈と異なる解釈が乱立した場合には国民の予測可能性が失われるという点にありますから、判例を法律よりも上位の法源としているわけではありません。 従って、両者は矛盾関係には立たないといえるのではないでしょうか。 なお、「判例・憲法違反の上告理由がなかった」として検察庁が上告を断念するケースは、既に最高裁によって何らかの法令解釈が示されている場合であることが多いです。 私見ですが、判例を見ていますと法令について複数の解釈が対立しているような場合には基本的に上告しているように思えます。

noname#189769
質問者

補足

回答、ありがとうございました。 最後に「法令について複数の解釈が対立しているような場合は基本的に上告している」とありますが、実際に上告が行われた例を何件か挙げて頂けないでしょうか。

その他の回答 (2)

  • Yuhly
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回答No.3

ぱっと思いつくところだと、 死刑基準についての永山事件、 労働争議に基づく行為の違法性につき久留米事件、 結果的加重犯における因果関係の要否につきS46.6.17 差押目的物の令状記載につきS51.11.18 公訴権濫用論につきS55.12.17 なんかですかね。 去年の安田好弘弁護士の事件も、幇助とした原審に対して、 共謀共同正犯が成立するはずだとして上告中のはずです。

noname#189769
質問者

お礼

再度の回答、ありがとうございました。 永山事件と安田弁護士事件しか知らなかったので、大変参考になりました。

  • -9L9-
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回答No.1

刑事訴訟法 第四百五条  高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。 一  憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。 第四百六条  最高裁判所は、前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であつても、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、その判決確定前に限り、裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる。 これのどこが「法令違反は認められない」のでしょうか。

noname#189769
質問者

補足

御指摘の通り、条文上は重大な法令違反があれば上告可能です。 しかし「裁判所における実務上の」上告理由は、判例違反や憲法違反に限られていると思います。 裁判所の実務として判例は上告理由になり、法令は理由にならないのだから、裁判所が判例違反を上位とみなしていると思いますが・・ 上記はあくまで、私個人の考えです。誤りがあれば御指摘下さい。 少なくとも、検察官が法令違反を理由に上告する事は稀だと思います。 高検が上告を断念する際の記者会見でも「判例・憲法違反の上告理由がなかった」とコメントする場合が多いですし・・ もし法令違反で上告が認められるなら、無罪判決に対する上告がここまで少ない(数年に1回?)はずがありません。 司法統計を見ても、高裁の無罪判決(逆転無罪+一審無罪で控訴棄却)は、毎年10件程度は出てますから。

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