> 式(6.5)~(6.7)の関係に式(6.4)を代入することで、
> ファンデルワールス定数が次のように決定される。
式(6.5)~(6.7)の関係は、「関数p(T,Vm)が臨界点(T,Vm)で満たすべき特徴」を表現しています。「式(6.5)~(6.7)の関係に式(6.4)を代入する」とは、「式(6.5)~(6.7)のp(T,Vm)として、式(6.4)に与えられている関数を使う」ということです[注1]。
式(6.4)を丁寧に書くと
p(T,Vm)=RT/(Vm-b)-a/Vm^2 ……(6.4改)
になります(右辺第一項のカッコの位置がおかしかったので直しました)。左辺の p(T,Vm) は、圧力 p が温度 T とモル体積 Vm の関数であることを示しています。式(6.4改)を式(6.7)の右辺に代入すると
pc=p(Tc,Vc)=RTc/(Vc-b)-a/Vc^2 …… 6.7に6.4改を代入したもの
という、pcとTcとVcとaとbの間の関係式が一つ得られます。
式(6.5)の左辺は、関数 p(Tc,Vm) を Vm で偏微分したものです。これに式(6.4改)を代入すると[注2]
(∂p/∂Vm)_Tc
=(∂p(Tc,Vm)/∂Vm)_Tc
=(∂(RTc/(Vm-b)-a/Vm^2)/∂Vm)_Tc
=-RTc/(Vm-b)^2+2a/(Vm^3)
になります。式(6.5)は、臨界点でこれがゼロになるということを表現しています。つまり Vm=Vc のときに (∂p/∂Vm)_Tc=0 ということですから
-RTc/(Vc-b)^2+2a/(Vc^3)=0 …… 6.5に6.4改を代入したもの
となって、TcとVcとaとbの間の関係式が一つ得られます。
式(6.6)の左辺は、関数 p(Tc,Vm) を Vm で2回偏微分したものです。これに式(6.4改)を代入すると
(∂^2p/∂Vm^2)_Tc
=(∂(∂p/∂Vm)_Tc/∂Vm)_Tc
=(∂(-RTc/(Vm-b)^2+2a/(Vm^3))/∂Vm)_Tc
=2RTc/(Vm-b)^3-6a/(Vm^4)
になります。式(6.6)は、臨界点でこれがゼロになるということを表現しています。つまり Vm=Vc のときに (∂^2p/∂Vm^2)_Tc=0 ということですから
2RTc/(Vc-b)^3-6a/(Vc^4)=0 …… 6.6に6.4改を代入したもの
となって、TcとVcとaとbの間の関係式がもう一つ得られます。
TcとVcとaとbの間の関係式が二つ得られたので、これらの関係式からaとbをTcとVcで表すことができます。aとbをTcとVcで表すことができれば、pcとTcとVcとaとbの間の関係式(6.7に6.4改を代入したもの)を使って、pcをTcとVcで表すことができます。
注1:気体の状態方程式には、ファンデルワールス式以外にも幾つかあります。ですので、式(6.5)~(6.7)の関数p(T,Vm)に、式(6.4)の代わりに別の状態方程式を代入することもできます。例えば、 Dieterici の状態方程式 p=RTexp(-a/RTVm)/(V-b) を式(6.4)の代わりに式(6.5)~(6.7)の関係に代入すれば、Dieterici の定数a,bを決定することができます。
注2:式中の_Tcは、Tcが下付き文字であることを示しています。
お礼
流れがやっとつかめました。 ありがとうございました!!