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ウイルスって・・・だったらインフルエンザは・・・
授業で、ウイルスの生活環?みたいなことを習ったと思います。昔。 その時に、ウイルスは生物に寄生しないと生きられない。 ウイルスは宿主の細胞にDNAを注入して、 ・細胞内で増殖して、さらに細胞を壊して外に出て(といっても体内ですが)ほかの細胞にくっついて・・・ というのと ・細胞内で宿主のDNAと結合して、何もせずに(発症しないってことかな)細胞のDNAが分裂するのに任せて自分も分裂していく・・・ っていうのがあったと思います。 何でも、細胞をすべて壊しちゃったら、ウイルスが生きられないでしょ。ということでした。 最近(本当に最近です)流行るかもしれないと思われている新型インフルエンザは置いておくとして、 毎年流行るインフルエンザですが、発症している人とは別に保菌者(この言い方が正しいのかわかりませんが)がいるということでしょうか。 だとすると意外と身近にインフルエンザウイルスは存在するのだなぁと思ったもので。 ご意見をお聞かせ願えるとうれしいです。
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獣医師でウイルスに専門知識を有しています。 ウイルスの基礎知識としては、まあご質問のとおりで特に間違いはないです。ただ、「細胞内で宿主のDNAと結合して」というウイルスはレトロウイルスただ1種なので、それは"特殊例"です。 季節性インフルエンザですが、別に「キャリア」がいるわけではありません。感染→抗体産生→排除という一般的な感染環を持つウイルスです。 なので、インフルエンザの場合は、「地球上に常に感染者がいる」というのが毎年流行する理由です。 インフルエンザウイルスが鳥の腸管内で増殖して・・というのは事実ですが、それは"鳥インフルエンザ"であってヒトのインフルエンザとはとりあえず無関係です。このウイルスは鳥と鳥の間でのみ感染を繰り返しています。 ちなみにこの場合も、感染→抗体産生→排除を繰り返しているので、片っ端からカモ(インフルエンザウイルスの自然宿主です)の糞を採取しても、ウイルスが採れるのはごくごく一部の糞からです。 帯状疱疹はヘルペスウイルスによって起きる疾病です。 このウイルスは「感染者のDNAに自分を組み込む」ことはしません。それをするのはレトロウイルスただ1種です。レトロウイルスにはHIV(エイズの原因ウイルス)や白血病ウイルスがあります。 通常のウイルスは、感染→抗体産生→排除という感染環を持つのですが、いくつかの種では感染した個体に半永久的あるいは永久的に感染し続けることができるものがいます。これを「持続感染」と言います。 持続感染は、要するに宿主の免疫系による攻撃を免れるシステムを持ったウイルスが行うもので、いくつかの方法があります。 1つは先ほど述べたように宿主のDNAに自分の遺伝子を組み込んでしまうもの。レトロウイルスだけがこれを行います。 このウイルスはDNAではなく、RNAを遺伝子に持っています。細胞内に感染すると、自分で持ち込んだ"逆転写酵素"によって遺伝子RNAをDNAに"逆転写"してしまい、次いで宿主のDNAに逆転写された自分の遺伝子を組み込んでしまうわけです。 もうひとつは、免疫系の攻撃が届かない場所に潜むもの。 先ほど話が出た帯状疱疹の原因ウイルスであるヘルペスウイルスがこのパターンです。 ヘルペスウイルスは神経節などの免疫系の攻撃が届かない場所(白血球や抗体がやってこれない場所)に感染しています。 帯状疱疹というのは水疱瘡と同一ウイルスで、幼い頃に水疱瘡に罹ると、ウイルスは生涯持続感染して、宿主が歳を取ってから帯状疱疹として再発症します。 口唇炎や口角炎を起こす単純ヘルペスウイルスも同じで、一度感染したら一生のお付き合いです。 また、妊娠中の母親に感染するとウイルスが胎児にも感染するウイルスがあります。その中で、ある特定の胎齢で感染が起きると、胎児がそのウイルスを「異物」と認識しなくなり、ウイルスが生涯体内で増殖し続けるという持続感染をするウイルスがいます。ヒトではそのようなウイルスは知りませんが、牛のBVD(牛ウイルス性下痢・粘膜病)のウイルスがそうです。 インフルエンザウイルスの話に戻りますが、このウイルスは遺伝子が8本に分かれています。 このウイルスが細胞に感染すると、細胞内で遺伝子が読み取られて構造蛋白が合成され、ウイルス遺伝子も複製されて新しい粒子の中に入って増殖するわけですが、この時、ウイルスは「自分が持ち込んだ遺伝子」を識別して持ち出すわけではありません。 なので、2つのインフルエンザウイルスが同時に同じ細胞に感染した場合、新しく作られるウイルス粒子の中にある遺伝子の組み合わせは、2つのウイルスの遺伝子のランダムな組み合わせ、ということになるわけです。 つまりAというインフルエンザウイルスがABCDEFGHという遺伝子を持ち込み、aというインフルエンザウイルスが同時に同じ細胞にabcdefghという遺伝子を持ち込んだ場合、その細胞から出現する新しいインフルエンザウイルスは、AbCDefGh..というように256種類出現し得るわけです。 インフルエンザウイルスの自然宿主であるカモは、冬は全世界に分布して夏はシベリアに集まるわけですが、この時互いが持っているウイルスを交換し合い、さらにこのようにウイルスの遺伝子を組み換えているわけです。だからその遺伝子そのものの変異も合わせると、常に無限の種類のウイルスが生産されているわけです。 で、豚は鳥のインフルエンザ、ヒトのインフルエンザ両方に感染しやすい特徴を持っています。 ということは、ある1頭の豚に鳥インフルエンザとヒトのインフルエンザが同時感染したとすると、豚の体内で遺伝子組み換えが起き、鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスが混じった「新しいウイルス」が出現する可能性があるわけです。 これによって抗原性はまったく新しく(すなわちヒトが免疫を持たない)、かつヒトとヒトの間で容易に感染するウイルスが出現してしまった時、これが「新型インフルエンザ」となるわけです。 今度の新型インフルエンザウイルスは、豚インフルエンザウイルスが少なくとも2種とヒトインフルエンザ、鳥インフルエンザのウイルスの交雑型、だそうです。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/FLU/SwineFlu.html 上記サイトに、これまでに解析された新型インフルエンザウイルス遺伝子の塩基配列が掲載されています。 その筋の方でしたら、実際にどの分節(PB1とかHAなどと書かれているのが各分節(正確にはこれは遺伝子名))がどのウイルス由来なのか、調べることができます。
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ウイルスにもいろいろあります。インフルエンザウイルスは鳥の腸管細胞の中で増殖して糞便とともに排出されますが、この鳥は健康そのものだそうです。豚や人では違う細胞に感染してその細胞の中で増殖するとその細胞は破壊されて呼吸器の症状が出ます。おそらくインフルエンザウイルスは鳥の中で生き延びているのではないでしょうか。狂犬病ウイルスなども吸血蝙蝠は感染しても決して狂犬病で死んだりしないそうです。ウイルスは蝙蝠の血液中に出てきて蝙蝠が家畜などの血を吸うとウイルスが感染して家畜は狂犬病になってしまうのだと思います。
>発症している人とは別に保菌者(この言い方が正しいのかわかりませんが)がいる はい居ますね。HIVでも感染者と発症者は違いますよね。 帯状疱疹(水疱瘡)なんか感染者のDNA中に自分を組み込んじゃうので「除菌」が出来ません。身体が弱ると発症します。嫌な病気。 活発なときはゾビラックス(だったかな)などの抗ウィルス剤が効きますが、潜伏状態では何にも手立てがありません。何しろ体細胞分裂の時ウィルスもちゃんと複製されちゃうので質が悪い。
お礼
回答ありがとうございます。 病気にかかってしまった人には悪いですが、 ウイルスのこの習性?にひどく驚き、すごい!と思ったものです。 何も考えていないのだろうと思って侮っていました。 考えているのかはわからないですけど。
お礼
皆様回答ありがとうございました。 特に、長く詳しい回答をしてくださった方には、本当に感謝しています。 レトロウイルスというものが、種類を表すのではなく、一種類を指していることを知り、本当に驚きました。 浅い知識であったことにも気付くことができました。 本当に勉強になりました。 ありがとうございます。 このお礼を持ちまして、回答くださった皆様へのお礼とさせていただきます。