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カリーのパラドックス

論理学のカテがないのでこちらのカテで質問します。 当方、完全に素人で、最近いくつか本を読んだらこんがらがってきたので質問させてください。 Wikipediaのカリーのパラドックス(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9)の項目を読んでいました。 これによると、X = X → (Z∧¬Z) とおけば、 1. X → X // 恒真式 2. X → (X → (Z∧¬Z)) // X = X → (Z∧¬Z)を代入 3. X → (Z∧¬Z) // 縮約規則? 4. X // X → (Z∧¬Z) = Xを代入 5. Z∧¬Z // 34でMP として矛盾が導ける……とのことでした。 最近二冊ほど論理学の本を読んで、完全性定理というのを知りました。 (私の理解が間違っていなければ)、命題論理で証明できるものは論理的真理だそうですが、そうすると、上の推論では矛盾が証明できるが、矛盾は論理的真理ではないのでなんだか変だと思うのですが……。 ちょっとじっくり読まずに一気に本を読み進めてしまったので、たぶん色々混乱してて頓珍漢なことを言っていると思いますが……。 誰か私の誤解を正してください。

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  • stomachman
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回答No.3

 ANo.1ですけど、んーと、もうちょっと細かくやってみましょうか。  論理を解釈する際に「階層の混同」とでも呼ぶべきややこしい問題がしばしば生じます。例えば、     Aと(A→B)からBが結論できる という論理自体の持つ規則の話と     (A∧(A→B))→B という論理式とを混同してしまう、という問題です。後者は、「(A∧(A→B))→B は真だ」と主張しているのだけれども、その主張自体が真なのか偽なのかは分からないから、これじゃ結局Bは結論できない。つまり、Bを結論するためには、さらに     Aと(A→B)と(A∧(A→B))→BからBが結論できる という規則が必要です。   さて、でもこの規則を     (A∧(A→B)∧((A∧(A→B))→B)→B と論理式で書いてしまうと、またしてもBは結論できない。 Bを結論するためには、     Aと(A→B)と(A∧(A→B))→Bと(A∧(A→B)∧((A∧(A→B))→B)→BからBが結論できる という規則がさらに必要になる。堂々巡りです。  初めて記号論理を知って日常言語の表現をあれもこれも記号で書いてみようとしたとき、少年stomachmanもこの罠にハマりました。(遠い目)  この話を突き詰めるとこうなります:ある論理の体系において、論理式     A を書いたとき、これを「Aである」とか「Aは真だ」と読むのは構わないが、それはあくまでそう主張しているというだけのことであって、主張が真だとは限らない。幾ら、Aはほんとにほんとに真なのだと言いたくても、普通の命題論理の体系の中ではできない。  さて、ほんとにほんとに真なのだ、という真実の言明に意味を持たせるには、論理を外部から見た立場、すなわち「超論理」が必要になります。超論理は「今考えている論理の体系」L自体を対象にする(いわば別の階層の)論理であって、「論理の体系Lでは、Aと(A→B)からBが結論できる」ということを、超論理における記号を使って     A, A→B |⇒B と表す。この表現から、超論理の推論規則に従って、超論理の中で、      |⇒ (A∧(A→B))→B が導かれます。後者の意味するところは、「論理の体系Lでは、前提なしに (A∧(A→B))→Bが結論できる」ということ、すなわち「論理の体系Lでは、 (A∧(A→B))→Bは恒真式である」という、論理L自体の持つ性質(規則)を指している訳です。このように、論理Lに関する超論理の言明 A, A→B |⇒ B はこの論理Lの論理式 (A∧(A→B))→Bとは区別されねばなりません。  しかし、普通の言語(自然言語)ではその区別が曖昧です。たとえば     Aです と言えば、大抵は「そうですか。Aなんですね」と( |⇒A の意味だと)解釈する。ここでもう既に、論理Lと超論理とがごっちゃなのです。でも、同じ発言を、飽くまで論理Lの範囲内で「へえ、あんたはAは真だと主張するんだね」と(本来の、Aの意味だと)解釈することもある。それに対して、     Aは本当なんです!(半泣き) と言うとしますと、これは超論理の命題 ( |⇒A  )であって論理Lの外ですが、この発言を聞いてマジに「は?意味不明」となる奴はおらず、要するに「Aです」と同じ意味だと解釈するでしょう。やはり、論理Lと超論理がごっちゃになっている。  このように、自然言語では論理と超論理がごく日常的にごっちゃにされます。で、両者を区別しないとパラドックスが出てくる。ゲーデル自身も、不完全性定理がどんな体系で成り立つのかということを追求する研究の中で、このことに関する様相論理の研究をやっています。  ようやく本題です。  まず、ご質問の式     X = X→(Z ∧ not Z) に出てくる記号「=」を、論理の体系Lに含まれている関係演算子だと解釈するとどうなるか。その演算子は普通は(「=」ではなく)「←→」とか「≡」と書かれますんで、     X ≡ (X→(Z ∧ not Z)) と表しておきましょう。これ全体が論理Lの論理式です。さて、この論理式はどんな命題X、Zを持ってきても(X,Zがそれぞれ真でも偽でも)決して充足できないから、これ全体は( (Z ∧ not Z)という式と同じく )恒偽式である。単にそれだけです。このことを超論理の視点で言えば     (X ≡ (X→(Z ∧ not Z))) |⇒ となる。「この論理の体系Lでは、X ≡ (X→(Z ∧ not Z))は恒偽式である」ということです。この解釈を採ると、パラドックスなんか出てきません。  しかし、ご質問の場合(タイトルから考えて)記号「=」は超論理における等号だと見るのが適切でしょう。超論理から見れば、X、Zは「論理の体系Lにおける論理式」というものを表す「対象」です。なので、ご質問の式は、超論理における論理Lに関する主張     X = (X→(Z ∧ not Z))) を満たすXが(論理の体系Lの中に)ある を表している。これがご質問の式を(超論理における)方程式と見る見方ということです。ここまでで使った記号で同じ事を書き直すと、X = (X→(Z ∧ not Z))) を満たすある(論理の体系Lに含まれる)論理式X(それをWと書きましょう)を使って、     |⇒ W ≡ (W→(Z ∧ not Z)) と表せます。「論理の体系Lでは、W ≡ (W→(Z ∧ not Z))) は前提なしに結論できる(つまり恒真式である)」という意味です。  ところで、ここで考えている論理の体系Lは普通の命題論理の体系なので、論理の体系Lに含まれるいかなる論理式Xも、論理式(X→(Z ∧ not Z)))と同値にはならない。だから     |⇒ W ≡ (W→(Z ∧ not Z)) は、超論理における偽の主張です。この主張をしたとする。  さて、この主張を論理の体系Lから見れば、論理の体系Lが持っている性質(規則)を表している。言い換えれば、     W ≡ (W→(Z ∧ not Z))) は論理の体系Lにおける公理に他ならない。その結果、論理の体系Lにおいて、「もしWが真だとするとWは偽であるし、もしWが偽だとするとWは真である」というウソツキのパラドックスが現れる訳です。

noname#85207
質問者

お礼

詳しくありがとうございます。確かに超論理と色々混ざってました。完全に理解できたわけではありませんが、なんとなく言いたいことは理解できました。

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その他の回答 (2)

  • arrysthmia
  • ベストアンサー率38% (442/1154)
回答No.2

X が命題変数なのか、述語変数なのか 明確にしていないことが、問題点です。 述語変数ならば、その式は二階述語論理 の式ということになるし、 命題変数であれば、単に、 与式は恒偽述語だというだけです。

noname#85207
質問者

お礼

漠然とですが、分かりました。ありがとうございます。

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  • stomachman
  • ベストアンサー率57% (1014/1775)
回答No.1

 完全性定理が証明されるのは形式論理体系としての一階述語論理(命題論理を含む)に於いてで、そこではこういうのは命題と認めませんから、矛盾(Z ∧ notZ)が出ないんです。  別の観点から言うと、このパラドックスは要するに、「命題Xに関する方程式 X = X → (Z ∧ notZ) は解を持たない」ということに他なりません。もし解となる命題があるとすると、矛盾が出ちゃうんだから。

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