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調剤薬局の経営
初めまして。現在、薬学部の学生です。実は、入学したのが30才頃なので、卒業する頃は、もう30才の後半になります。調剤薬局を開業するのが夢です。色々、開業について調べたのですが、何十年も調剤の経験をして開業した。などと書いてありました。私の場合、卒業する頃の歳が若くないし、時間がないのでかなり焦っています。そこで質問なのですが、最短で開業するのに何かいい方法はありませんか?調剤の経験も最低でも、何年ぐらい経験がいるでしょうか?開業するには、どういう所に相談するのでしょうか?開業の方法等も教えて頂けたら幸いです。どうかよろしくお願いします。
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- sionn123
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koko830さん こんばんは 薬局を経営している薬剤師です。 薬学部の学生さんにこんな事を言ったら夢も希望もなくなってしなうかもしれませんが、まず学部を卒業したばかりで国家試験合格したばかりの薬剤師さんは、ちょっとは薬の事を知っている素人さんと同じだけの知識レベルしかありません。それは大学では成分については学んでも、商品名についてはほぼ一切学ばないのですから・・・。たとえば大学でもエーザイのメチコバールがビタミンB12製剤である事は学ぶと思います。しかしPL顆粒が総合感冒薬である事は学びません。そして総合感冒薬で有るPL顆粒の中には抗ヒスタミン剤が配合されていると言う事はもっと学びません。抗ヒスタミン剤は患者さんの病状の程度問題にもよりますけど、緑内障を悪化させる可能性があるお薬ですから、当然の如くPL顆粒も時と場合で緑内障を悪化させてしまう場合もあります。医師は薬剤師ではありませんから、治療については詳しくても薬について詳しくない方も多分にいらっしゃいます。抗ヒスタミン剤が緑内障に悪影響を与える事位は最低な医師でもご存じでしょうけど、投与しようとしている相手の他の病状を確認せずに訴えてきた症状だけで診察して処方箋記載してしまう医師がいる事も事実です。色々な疾患を患っている方の場合、一般素人的漢方の知識しか無い医師では安全性と勝手な解釈をしてある意味逃げで漢方薬を処方する医師がいるのも事実です。代表的漢方薬の葛根湯の場合素人的解釈では風邪の初期に使う風邪薬と言う解釈ですけど、主成分が麻黄なため時と場合で血圧を上げてしまったり胃腸症状に悪影響を与えてしまう場合もあります。そう言う事を理解してない(漢方だから安全としか理解してない)医師で、葛根湯を投与した結果血圧が上昇した方も居ます。と言う事を考えると小さな薬局で扱っている代表的な300品目位の医薬品の組み合わせ位は知っていて当たり前なのが調剤薬局の薬剤師です。以上の事を考えるとそれだけの知識を得るのに頑張っても5年位は掛ってしまいます。 ここで私の事を少し紹介しましょう。子供の頃から目指せ薬局を開局する事でした。そして今から20数年前に薬剤師の資格を得るために薬科大学に入学しました。当時は今と違って学部4年で薬剤師国家試験受験資格が有った頃です。学部時代に学んだ有機化学が面白くて修士まで進学しました。修士修了時点で当初の薬局開局が忘れられず、教授からの研究職への就職口を断って薬局に就職しました。その後色々なタイプの薬局を勉強するために15年間で5軒の薬局を渡り歩いた後の開局です。 あともう一つ知って欲しいのは、薬局は資金繰りがとても大変な商売です。利益率だけの話をすれば、20%あるかどうかの利益率なんです。でもその20%が即入金されるわけではありません。ご存じの通り保険調剤は健康保険を使った診療です。ですから仮に窓口支払い割合が3割の方だけだったと仮定しても、総売上の3割しか即の現金入金がない商売なんです。残り7割は社保または国保に請求する事になるのですけど、この入金はサイト3ヶ月です。つまり翌々月の20日位にしか入金されません。しかし問屋さんの請求は、翌月には待ったなしに来ます。ですから売上が入金される月と問屋さんの支払い請求が来る月との差がある関係で、資金繰りはとても大変です。外見的には患者数が多くて儲かっている様に見える薬局でも、内情を話せは経済的には辛いんです。ですからたっぷりとした手持ち資金を持って始めないと、即倒産と言う事になりかねないです。このたっぷりした手持ち資金を貯めるのには、先ほど言った5年と言う歳月では難しいと思います。ちなみに私の場合は修士修了後の15年で貯めた手持ち資金約1000万円、信用金庫等からの融資1500万円で開局しました。 それと上記した通り利益率は20%と言う低利益率しかない商売なんです。仮に月間総売上500万円で平均処方箋1枚あたり1万円で25日営業とすれば、毎日20枚の処方箋を対処する事になります。この1日20枚の処方箋ですけど、仮にkoko830さん一人薬剤師でこなすとしたら、処方箋内容にもよりますけど1日中調剤しっぱなしと言う事になります。月間売り上げ500万円ですと利益100万円です。全て窓口負担率3割の処方箋だっと仮定しても、開局当初は現金入金30万円しかない事になります。仮にこの条件で薬剤師さんを雇った場合、この30万円ではkoko830さんと従業員の方の給料すら払えない事になり、電気・水道代等の経費が出せない事になります。以上の事を考えると、開局当初は従業員は雇え無い可能性が高いでしょう。実際は処方箋1枚当たりの平均客単価は内科中心の薬局で7~8千円位でしょうから、20枚以上の枚数を毎日こなさないとならない事になります。とすれば一人薬剤師で開局する事を考えると、調剤薬局の仕事は肉体労働と考えると良いでしょう。 薬局(特に調剤薬局)の場合は他の商売と違う大きな点が有るのはご存知でしょうか???本屋さん・おもちゃ屋さん・洋服屋さん等のほぼ全ての商売は、店内に在庫している商品でお客様にアタックして商売をする訳です。もし在庫商品が不人気な商品でお客様に見向きもされなかった場合は、再度勉強して売れる商品を仕入れれば良い訳です。ところが調剤薬局の場合は、売り手側が売りたい売りたくないと言う事とは無関係に、処方箋と言う名の元に医師が指定した商品しかお客様は購入しません。つまり処方箋と言う名の元に医師が指定した商品(薬)が在庫しているかどうかがカギになります。この点が他の商売との一番の違いです。もし在庫してない薬が記載された処方箋を患者さんが持ってこられた場合でも、薬事法を正しく遵守すれば薬局側から断る事が出来ません。ですから取り寄せで明日になる事を伝えないとならなくなります。こう言う状態では、多くの場合患者さん側から断られて他の薬局へと流れてしまいます。つまり時間だけ掛って売上0円です。と言う事が多分にあるのが調剤薬局ですから、在庫商品が一番難しい点です。 以上が簡単な薬局の概要です。私の説明を読んでどう感じましたか??それでも薬局を開局したいと感じましたか???経済的等色々大変な点の多い薬局ですけど、真面目に商売していれば患者さん側から「治ったよ」と言う嬉しい言葉を頂ける事もある楽しい商売です。ですから経済的な事を含めて色々厳しい点のある薬局ですけど、開局するのも良いかと思います。ただし上記した通り、手持ち資金がたっぷりないと開局即倒産になってしまいかねない薬局ですから、最低必要な知識を得るのに頑張って5年で得る事が出来ても開局資金を貯めるのに5年では不可能でしょうね。と言う事を考えると最低でも大学卒業後10年位の期間は開局までにかかってしまうと思います。 最後に実際の開局について説明します。薬事法には薬局の面積として「調剤室2坪・調剤室以外(調剤待ちの待合所やOTCを陳列する部分)が4坪」と言うのが最低薬局面積として記載があります。ただし保健所の指導で最近は患者さん用のトイレを設置しなさいと言う事を言われてきます。ですから法律上は6坪あれば薬局を開局出来る事にはなっていますけど、事実上はもう少し広い店舗じゃないと開局は難しいです。そう言う店舗に薬事法に記載がある調剤室とそれ以外を仕切るガラス面の面積や調剤台等の調剤器具等諸々の物を揃える事が出来れば、保健所に申請すれば「薬局開設許可」を受ける事が出来て一応開局は出来ますます。この段階では薬局として商売をする事が出来ますけど、保険調剤はまだ無理です。この段階ではOTCの販売と自費の処方箋(保険対象外の処方箋)のみの調剤が出来ます。(もちろん医療雑貨や健康食品等の販売は可能です。)法律上は「保険調剤は「保険薬剤師」が「保険薬局」で行う行為」と言う規定がありますので、保険調剤を行うためにはkoko830さんが「保険薬剤師」の登録をする事と開局した薬局を「保険薬局」の登録する必要があります。この「保険薬剤師」の登録・「保険薬局」の登録は、社会保険事務所で行っています。以上が調剤薬局の開局までの簡単な説明です。詳しい事は保健所で教えて頂けますし行けば詳しく纏まったパンフレットを頂けると思います。またはお住まいの地域の保健所のHPを見れば「薬局に関する手続き等」と言う記載がある場合もあるかと思います。一度見られたらと思います。 後薬局では「苛性ソーダ」等を販売している薬局も多く有るのですが、この場合は「毒物劇物一般販売業」の許可が必要になります。この営業許可は、保健所に申請する事になります。 以上長文になりましたが、何かの参考になれば幸いです。
お礼
色々、詳しく書いて頂き、ありがとうございました。やっぱり色々な問題がありますね。現場の方の声を聞けて、参考になりました。将来について、よく考えたいと思います。