正確には、「遺言書」による遺言者の財産の承継を「遺贈」と言います。遺贈は指定された受遺者固有の権利ですから、遺贈開始前に受遺者が死亡した場合、自動的には受遺者の子が主張することはできません。「遺言書」で受遺者死亡の場合の扱いについても定めてあれば、その定めが尊重されます(法定遺留分を除いて)。
新たに受遺者の氏名を書き換えた新しい遺言書があれば、日付けが前の遺言書は失効しますので、新たにpyoshiさんを受遺者とする遺言書が作成されれば、それによることになります。
「遺贈」については、下記の民法の定めがあります。
「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」(民法第994条第1項)
したがって、#2~#4の方がいわれる通り、受遺者(相続人)の死亡によって、遺言書の効力は無くなります。民法は家父長制・封建制ではなく、個人の平等に基本原理がありますから、相続権について「姓」の問題は全く無関係です。
また、被相続人(祖母)の看護・生活に特別の寄与があった場合には、「寄与分」として、相続分の上積みを要求することができます。共同相続人の協議でまとまれば良いのですが、そうでなければ家庭裁判所に請求して認めてもらうことになります。
「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他
の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続
開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相
続財産とみなし、第900条から第902条までの規定(法定相続割合)によつて算定した相続分に寄与分を
加えた額をもつてその者の相続分とする。」(第904条の2第1項)
「前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する
寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、
寄与分を定める。」(第904条の2第2項)
以下は、法定相続割合です(お爺様の生死が不明でしたので、一応、2パターンを示します)。
( )表記は相続権がない者。×は既に他界している(と思われる)者
┌──────────────────────┬──────────────────────┐
| (祖父)×==祖母 | 1/2祖父==祖母 |
| ┌────┴─────┐ | ┌────┴─────┐ |
| 1/2| |1/2 | 1/4| |1/4 |
|(父)==母× (叔母)==×叔父 |(父)==母× (叔母)==×叔父 |
| ┌─┴─┐ | | ┌─┴─┐ | |
| 1/4|1/4| |均分相続| 1/8|1/8| |均分相続|
| 弟 本人 〈代襲相続〉甥/姪 | 弟 本人 〈代襲相続〉甥/姪 |
└──────────────────────┴──────────────────────┘
共同相続人の協議で相続割合を決めるときは、法定相続割合にする必要はなく、当事者の合意で如何様にでも決められます。
なお、「遺留分放棄」については、
「相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。」
(第1043条)
ものです。
これに協力してもらえるようなら、早めに手続をしてもらった方が安心でしょう。但し、遺留分の放棄は、放棄した人の相続人となる人には効力がないと思いますので、もし、相続の開始前に放棄者が死亡した場合は、放棄者の子が更に代襲相続権を持つことになります。
お礼
早々にお返事有難うございます。母の兄弟は既に不在です。でも母の弟(死亡)のお嫁さんとその子は祖母の鈴木姓を名乗ったままでいます。でももう外へ出てしまい、母とその子(私と弟)が祖母の面倒を見ているため、 母が全額相続するという遺言書を祖母が作成したという訳です。 母がなくなった時点で遺言書の効力がなくなる、とのこと ですが、姓は違っても母の子である私達が 権利があると思っていて大丈夫なのでしょうか。