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ドルの力とは?ドルの流出との関係について知りたい
- 1960年代のブレトン・ウッズ体制下では、アメリカ企業の海外進出とベトナム戦争の軍事費により、アメリカのドルが海外に流出しました。これにより「ドルの力」が失われていきました。では、具体的に「ドルの力」とは何でしょうか?それは単に貨幣価値として理解されることではありません。
- ドルの流出と「ドルの力」の関係についてマクロ的に説明すると、以下のような要素が関与しています。まず、ドルの流出はアメリカの国内マネーサプライを増やすため、インフレの懸念が高まります。また、ドルの流出はアメリカの経常収支の悪化を招き、国際収支の均衡を崩します。さらに、ドル建ての国際貿易の担保としての役割が低下し、アメリカの影響力が減少します。
- ドルの力には単に貨幣価値だけでなく、国際的な信頼という要素も含まれます。ドルは世界の主要な通貨として使用されており、世界経済に大きな影響力を持っています。そのため、ドルの力が低下すると、世界経済に対する不安が高まります。ドルの流出はドルの力の低下と相関関係があり、経済的な安定性にも影響を与えます。
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これは貨幣という狭い範囲で考えるのではなく、経済力全般で考えれば分るかと思います。 0.まずそもそもアメリカ経済は停滞期を迎えていた。 高度成長期が終了しつつあったわけです。 そしてアメリカは企業の寡占や厳しい規制や強力な労組などによって経済の活力を失いつつありました。 アメリカが立ち直るのはそれから30年近く後のことになります。 1.ただでさえ厳しくなってきたアメリカ経済なのにその経済力を戦争に費やした。 アメリカ全体で100モノが作れるとしてそのうち20を戦争に費やしたとします。 そうすると、残り80でアメリカ国民は生きていかなければいけなくなります。 また国の優秀な人材や企業もあまり役に立たない戦車や爆弾を作ることに集中します。その結果長期的な経済の活力も失われます。 2.0と1の結果 物資が不足するので金利もしくは物価が上がります。 2-1.何故金利が上がるのか 答え物資が不足するので消費するだけで使い切ってしまうから。 投資を行うには消費を抑えてもらい、投資する分を確保する必要があるのだが、そのために金利を高くして消費を抑制してもらう必要がある。 2-2.何故物価が上がるのか 金利が上がるのを回避するために中央銀行が金融緩和を行うと、大量の紙幣が発行されます。モノの量が増えてないのに紙幣の量が大量に増えるのでインフレになります。 2-3.もう少し、詳しく説明 どのような経路でインフレかするのかもう少し説明します。 物の量が不足している時に金利が高いということは、 消費者に対しては『今はお金使わないで貯金しておいたほうが徳だよ』と伝えているわけです。 同じく企業に対しては『今投資するのは高いよ』と伝えているわけです。 その結果、消費者の消費と企業の投資が抑制されるのでモノ不足は緩和されるわけです。 反対に、物の量が不足している時に金利が低いということは、 消費者に対しては『今は貯金しててもいいことないよ』と伝えているわけです。 同じく企業に対しては『今投資すると安いよ』と伝えているわけです。 その結果、消費者の消費と企業の投資が活発化するのでモノ不足が進行します。 その結果インフレが起こるわけです。 インフレは経済の不確実性を高めますので、経済活動を停滞させます。その結果さらにインフレは進みます。 3.その結果として経常赤字が発生 当時の世界経済は固定相場制によって成立していました。 1ドル=360円だったわけです。 固定相場の下でのアメリカにインフレが発生した結果、アメリカは大量の経常赤字を生むことになりました。 アメリカの自動車企業の自動車価格が10000ドルだったとします。 日本の自動車企業の自動車価格+輸出費用が350万円≒9720ドルだったとします。 このとき日本車のほうが280ドル安いので日本車を欲しがる人はいるでしょう。 したがって、輸出が成立します。 ここでアメリカ国内でインフレガ発生したとしてアメリカの自動車価格が12000ドルに上昇したとします。 しかし、日本国内はインフレとは無関係ですから、日本の自動車企業の自動車価格+輸出費用が350万円≒9720ドルです。 このとき日本車のほうが2280ドル安くなるので日本車を欲しがる人は激増するでしょう。 輸出では反対のことが起こるので輸出は減少します。 この結果、アメリカは輸出が減り輸入が増えるので経常赤字になります。 4.経常赤字の結果ドルの力が低下 普通貿易では輸入の代金は輸出の代金で賄うわけですが、経常赤字が発生すると輸入の代金を輸出の代金だけでは賄えなくなります。 ではその代金はどこから来るかといえば、アメリカ国内で輪転機を回して作られたドル紙幣です。 そのドル紙幣を受け取った日本の輸出企業はドルを円に変えるために日銀にいきます。反対に輸入企業は円を輸入に必要なドルに変えるために日銀にいきます。 本来は、輸入企業が輸入に必要なドルと輸出企業が受け取ったドルが等しい水準になることが望ましいのです。 しかしアメリカは経常赤字ですから、輸入企業が輸入に必要なドルより輸出企業が受け取ったドルのほうが多いわけです。 その差額分使い道のないドルが余るわけです。使い道のない紙幣なんて持っていても仕方ないですよね?皆ドルを欲しがらなくなります。 これがドルの力の低下です。 このようにアメリカのドルの力が低下してく中でオイルショックなどが起こり固定相場制は崩壊しました。
お礼
「ドルの力」という用語ひとつから こんなにも学べるとは思ってもみませんでした。 何故金利あるいは物価があがるのかといった説明も本当にありがとうございます。 その記述がなければ、またわけがわからず話の迷子になっていました。 ドルの力の低下とは何なのか非常によくわかりました。 ありがとうございます。