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作家「塩野七生」の遺伝子の劣化について
- 「ヨーロッパにもいる野牛のバッファローが年々生息数が減少している、その原因は遺伝子の劣化ではないか言うものである。アメリカのバッファローと違ってヨーロッパのそれは、手厚く保護されており、冬場の餌が不足する時は人間が餌の差し入れもしている。狼の群れという天敵もいない。長年にわたり、あまりにも恵まれた生活をしている内に自然の条件に適応しきれない劣性遺伝が続いて、今ではどんなに保護しても数は毎年減り続けている。」
- 問題は、「劣性遺伝」←再確認してないですが、恐らくこのタームだったと思いますという術語の使い方が、遺伝の能力的に劣るという字義的な意味にみえて仕方ないんですが…
- 「長年にわたり」という文面を信じるほど熱意がないので、ソースを調べるほど熱意がないので「長年にわたり」という文面を信じます
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孫引きでは文章の微妙なニュアンスが異なっている可能性もあり、本当はそれに対する批判は適切ではないのですが、元文章を読むことができないので、あくまでも質問者さんがリンクされたブログの文章に対する批判、指摘ということで書かせて頂きます。 まあ、他の回答者の指摘にもあるとおり、生物学(特に遺伝学や進化論)的には典型的な間違いです。 劣性遺伝という言葉の使い方が決定的に間違っています。 もし本当に塩野氏がこういう表現をしたのであれば、単に素人だからという問題では済まないと私は思います。仮にも物書きなら、言葉の意味くらい調べてから書いてくれ、というところですね。 なお、「手厚く保護されることによって適応度が遺伝的に変化する」ことはあり得ることですが、プロセスがまったく異なります。 「バス路線が開通したので歩くことを面倒に思うようになった」というのは、「遺伝子の適応能力の変化」では決してありません。これは単なる行動の変化です。この段階では遺伝子には如何なる変化も起きていません。 この状態が継続してその人の脚力が落ちたとします。この段階でも遺伝子に変化はありません。 これが長い世代継続して、何百世代何千世代もの間、「あまり歩かない」という状態が定着すると、「弱体化した脚力」が定着しますが、この次点ですら遺伝子には変化がありません。弱体化した脚力が定着した状態で初めて「脚力が弱体化する遺伝的変化」が選択圧を受けないようになり、その遺伝子がヒトの間に広がる可能性が出てくるわけです。 これが最初の歩かなくなったヒトが既に遺伝的変化を遂げている、と勘違いするのは、これも典型的な素人さんがする間違いです。「獲得形質は遺伝しない」というのは生物学の基本中の基本ですから。 生物学的には遺伝的な変化は何であれ「進化」と呼びますから、この例のように適応度が減少する方向の変化もまた「進化」です。 ただ、件のバッファローがヒトに保護されるようになって、せいぜい数百年でしょう。1万年前の人類に「野生動物を保護する」などという価値観が存在するわけもないですし。 この程度の年月で、本当に群あるいは種として個体数の現象に繋がるような変異があり得るともとても思えません。 単に自然条件の方が変化して、バッファローが現在の環境に適応的でなくなった、と考えるのが最も適切だと思います。そのような例なら「人類が改変した環境」も考慮に入れるなら、現在絶滅危惧種に分類されている生物種のほとんどが該当するでしょう。 というわけで、この質問者さんの引用した文章は、単なる間違いではなく「徹底的に間違っている」ということです。 私がこの引用文章で引っかかるのは、「では人間はどうなる?」という疑問が生じるからで・・・ 「人間に保護されている」という点では、人間自身がその最たるものでしょう。ですからこの文章からは、「人間は人間に保護されているから遺伝的に劣化している」というロジックが容易に産み出せてしまいます。つまり優生思想に直結するわけです。 引用元のブログも、この文章から二世政治家の話に考察を飛躍させていますが、このロジックが人間そのものにもズバリ該当してしまうということに気づいていれば、こんなお気楽な論理展開はできなかったと思いますけどね。 生物学、特に進化論は政治や社会学と結びつけられて"きな臭い"思想に利用されてきた歴史に事欠きません。なので中途半端な理解でいい加減なことを書き殴る物書きには嫌悪感を覚えます。歴史家ならなおさらそういうことには慎重であって欲しかった、と思います。 まあ塩野氏の元の文章を読んでいないので、どこまで「いい加減」な文章だったのかは判らないのですが。
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- cipher_roy
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塩野先生はあくまで歴史家であって生物学者じゃありませんから・・・。 そこまで考えて『劣性遺伝』という表現をしてはいないと思います。 ただ、怠けた生活習慣に傾いていくのは遺伝子の適応能力の変化とは 関係ない単なる『行動選択肢の減少』でも充分起こる現象です。 例えば人間でも、近所にバス路線が開設されたので駅まで徒歩で 行かずにバスに乗るようになり、歩くのを面倒だと思うようになった、 というレベルのことはいくらでもあります。このスパンは一か月 程度でも充分現れる傾向ですから、年単位なら充分『長年』という スパンで見られると思います。 『市井の人』が生物学の専門家でなければ、『劣性遺伝』がどういう ものかをきちんと把握せず、『まぁ、巨匠の塩野先生が使ってるんだ から合ってるでしょ』という程度のノリでそのまま拝借してきた のでしょう。 私から見たら、『生物学には素人なようだな』でおしまいです。 いちいち重箱の隅まで粗探ししようとは思いません。
お礼
はい、そうですね ただ誤解されないような表現には気をつけていただきたいと… ウィキペディアにも間違いが多々ありますが、 こういうのを「証拠」として提示されると負の連鎖が続き どれが本物かわからなくなります ですので、専門家が守備範囲のことについて目を光らすのは大事なのではないでしょうか さて、先ほど再確認のために立ち読みしに行ったら、劣性遺伝を字義的な意味で使用していた感がありました よろしかったら、ご自身でご確認ください 市井の人の転載文の論理展開は元の原稿と同じではないので、 調べずにさわいだのは申し訳ないと思っています
- BookerL
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「劣性遺伝子が増えたので、適応力が弱くなった」というような使い方は、明らかに間違いですね。 遺伝子の「優性・劣性」は、それによって発現される形質の優劣とは無関係で、交雑したときに現れる形質が「優性」です。 極端なたとえ話をすると、天才とバカとの交雑で必ずバカが生まれるとすると、バカを作る遺伝子が「優性」で、天才を作る遺伝子が「劣性」です。(もちろん、天才・バカが一つの遺伝子で決まるわけではないので、あくまでたとえ話です) ところが、「優性遺伝子」という語感から「優れた性質を表す遺伝子」と誤解する人がいます。特に遺伝をしっかり勉強していない人に多いように思います。 遺伝の優性・劣性のかわりに「顕性・潜性」(形質として現れる性質・形質としては現れない潜んだ性質)という用語を使う、という立場もあるようで、これなら誤解を生みにくいでしょう。わたしは個人的にはこの用語がいいのではないかと思っていますが、定着は難しそうです。
お礼
はい、自分も受験勉強でひまだった時に生物の教科書を読んで遊んでいました。苦笑 それで今回の文を読み違和感を感じ… いちおう、The CELLくらいは家にあります 塩野さんと市井の人とは論理展開は異なりますが、 劣性遺伝という語の使い方は、元の原稿の文章において そのまま字義的な意味だという印象をうけました ありがとうございます
- ga111
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劣性遺伝の用語の使い方は典型的な間違いです。 ウキペディア>例えばABO式血液型では、A型とB型の遺伝子が優性、O型の遺伝子は劣性である。表現型(一般的に言う血液型)のO型は両方の親からO型の遺伝子を受け継がなければ発現しない(A-OではA型が発現し、B-OならB型が、O-Oの場合のみO型が発現する)。 ここで、O-O型、A-O型、A-A型、などなどの組み合わせがありますが、Oの型を持つ人が劣っているという意味ではまったくないのです。Oの型を持つ人が劣っているということをだいたい聞いたことがありませんよね。A-OではA型が表現型として表に出てきて(優性)Oが表に出てこない(劣性)という意味でしかないのです。 日本のトキが手厚い保護を受けたにもかかわらず絶滅したように、ある集団の数が減りすぎると、種の維持保存に必要な生殖能力を持つ個体がすでに不足してしまっており、後戻りできなくなるのかもしれません。
お礼
はい、転載文と元の文章の用語の使い方は典型的な間違いだと思いました 自分も、能力的に劣ってはいない、という意味だというふうに記憶していましたので。苦笑 ありがとうございます☆
- 安房 与太郎(@bilda)
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理系文学 vs 文系理学 Yahoo! Japan「みんなの感想 > 感想投稿」では“劣性遺伝”に対し、 「不適切な言葉」と反応しています。 テレビ局には、とくに視聴者からのクレームは無かったようですね。 ── たかじんは、優性遺伝と劣性遺伝が理解できていない。 視力が悪いことが遺伝すると“劣性”だと思いこんでいる。それなら、 視力が良ければ“優性”になる。 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1318156103 どうして米ができるのか、ついに理解できなかった文豪・夏目漱石に 対して、後輩の理学者・寺田寅彦は、数々の随筆で知られています。 どっちが偉いかといえば漱石、どっちが正しいかなら寅彦でしょうね。 ── 寅彦はいわゆる「理系」でありながら文学など文系の事象に造詣 が深く、科学と文学を調和させた随筆(略)を通じて文系と理系の融合 を試みているという観点からの再評価も高まっている。──(Wikipedia) 以下は「Q.大学における文学研究」に対する私見(ANo.3)です。 http://oshiete1.goo.ne.jp/qa4149869.html 理系文学待望論 ~ さらば、余りに文系的な文学談義 ~
お礼
大学における文学研究 を面白く読ませていただきました ファーブル《昆虫記》を興味深く読まれたとのことですが、 もしかしたら、今年亡くなった著名な物理学者の戸塚さんの 植物の基本は「いい加減さ」 http://kenbunden.net/totsuka/index.html をご一読ください “女子大生亡国論”も懐かしいですね まだ産まれてない時代ですが、 「女学校と女学生」という新書で昔読みました 東工大関係なら江藤淳、吉本隆明の文が好きですよ 今は理系の研究者も多いので感性で書く文は批判の対象になりますね そっと感性というふうに暗示していただければ嬉しいと思います 感性で書いて
お礼
回答ありがとうございます☆ 塩野さんの文章と論理展開は異なりますね ちょっとお昼にまた立ち読みしてきました 記憶で書くので申し訳ないですが… >あまりにも恵まれた生活をしている内に自然の条件に適応しきれない劣性遺伝が続いて ではなく、 遺伝子が変性したことが原因と考えられているが、保護政策を取っているにも関わらず毎年頭数が減少していくのである という展開でした また、「劣性遺伝」という書き方が、塩野の文に一箇所本文にありますが、それは字義的な意味で使っていると思います 興味があれば、ご確認ください ついでに、二世政治家の話の文章は、塩野によるものです ほかはJagar39さんに説明していただいたもので全て納得します 私は物理屋をやってますが、なんとなく違和感を覚えました 解説ありがとうございます!!