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著作権法に詳しい方お願いします(メディア変換に関して)
個人や図書館ではなく、会社・団体の場合です。 所有する映画ビデオテープ(市販のものを購入)を、DVDにメディア変換して使用する場合、あらためて著作権者の許可を受ける必要があるでしょうか。 またそれは、元のビデオテープをメディア変換と同時に廃棄した場合でも、廃棄せずに持ち続けた場合でも同じでしょうか。 私自身は、元のテープを廃棄するしないに関わらず、無許可でメディア変換はできない(していい根拠となる条文が見あたらない)のではないかと考えているのですが、解釈にいまひとつ自信がありません。詳しい方のご意見を伺いたくお願いします。
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詳細が分からないので断定的なことはいえませんが、映画を複製する場合、著作権者の許諾を得る必要があります。適法に購入した元のメディアを保管し続ける場合でも、同じです。また、VHSからDVDでも、VHSからVHSでも同じです。 基本的に、著作権者に無断で複製してよいのは、著作権法30条1項に該当する場合だけです。いわゆる「私的使用のための複製」です。 ここに、私的使用とは、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲において使用すること」をいいます。そして、会社や法人の業務のために使用する場合は、たとえ現実に使用する人数が少なくても、目的が私的ではないのでこれに当たらない、と解されています(通説)。 判例では、他人が設計した歌劇場の舞台装置の設計図を入手し、自社保管資料として複製した後、無断で第三者に開示した、という事例において、「企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、その目的が個人的な使用にあるとはいえ」ない、として著作権侵害を認めた例があります。 そして、著作権法は、基本的に、「コピー元のメディアを誰が所有しているか」は問わないのを原則としています。つまり、「複製した行為」それ自体が違法か、適法か、という話だということです。 したがって、冒頭のとおり、適法に購入したビデオテープからであっても、またそれを今後も保管し続けるとしても、「会社や法人が、その業務のために複製すること」自体が著作権の侵害であると評価されることとなります。 もっとも、学説においては、時代の変化とともにメディアも変わらざるを得ないのであり、現実に権利者の利益を害しているとはいえないのだから(すでに権利者は正当な利益を得ている、ということ)、行為の表面的な部分だけをとらえて一律に違法とすることは疑問、という説も有力です。 また、上記の判例は、悪質な複製行為に関する事例であって、純粋に資料の維持・保管を目的とした場合にまで、そっくりそのまま妥当するのかは、検討の余地があります。
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- Yorkminster
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>> 元のソフトを廃棄すれば手元に1本しか残らないから違法とはいえないが、廃棄しないで持ち続けた場合ソフト1本の代価しか払わずにソフトを2本持つことになるので違法である、という解釈も、ひょっとすると、存在するのではないか // なるほど。面白い考え方ですね。逆の話は、つまり自己所有物でなければ複製してはいけない、レンタルCDのコピーは違法だ、という話は、(誤解に基づいて)する人が多いようですが、このような考え方は発想にありませんでした。 ただ、やはり、結論においては変わりません。 著作権法は、基本的に、「コピー元」が何であるかを問わない姿勢をとっています。つまり、たとえば海賊版だと知っていても、それを見たり聴いたりする(使用する)ことは違法ではなく、私的に複製することも違法ではない、ということです。 もっとも、海賊版が流通に乗ると大変なことになるので、転売目的がある場合などは所持すること自体を違法としています(113条)。 また、「著作権」とは、「権利の束」と評されることもありますが、複製する権利、上映する権利、口述する権利、翻案する権利、放送する権利、譲渡する権利、など、利用態様ごとに細分化された権利の総称を「著作権」と呼んでいます。 そして、「私的使用のための複製」とは、このうちの複製権に対する制限規定(権利の範囲外とする規定)なのです。 したがって、「今行われているコピーが適法かどうか」と、「コピーした後でどうしたか」というのとは、話の次元が異なります。 そこで、「コピーする行為」が適法に行われたとして、その後の話を考えることにします。 まず、「コピー元となったオリジナルを譲渡した場合」は、著作権の範囲外なので、適法です。つまり、専門用語では「消尽(または用尽)」といって、「適法な第一譲渡によって権利は使い果たされて、その後には及ばない」ということが、法律上、明文で認められています(著作権法26条の2第2項:分かりにくい条文です)。 また、条文上は映画を除くとされていますが、ここにいう「映画」は劇場用フィルムに限られる、とする最高裁判例があります。したがって、映画のVHSやDVD、映画の一種であるゲームソフトの中古売買も適法です。 ここで、この「消尽」は、譲渡権についてだけ、しかもオリジナルにだけ適用されることに注意が必要です。つまり、他の権利、複製権や上映権には、消尽がありません。したがって、中古ビデオを買ってきても、勝手に上映会を開いて良いということにはならないわけです。また、新たに作られた複製物(購入者がコピーしたもの)については、権利者が権利を行使する機会が与えられていないので、譲渡権が生じていることになります。 他方、「コピーを譲渡した場合」を考えると、こちらは(多くの場合)違法です。つまり、49条で、いったん適法に複製されたものでも、目的外に用いた場合は、その時点で違法複製をしたものとみなされます。そして、新たに作られた複製物には譲渡権が及んでいるので、譲渡権侵害にもなるというわけです。 ただし、ご質問の件にぴったりと当てはまる場合があります。コンピュータプログラムの場合で、1つは著作権法47条の2により、もう1つは契約により、そのような義務が課されることがあります。 すなわち、自分のコンピュータにインストールした後に、購入したCD-ROMを他人に譲渡した場合には、インストール済みのプログラムを消去しなければならないこととされています。また、一般的なソフトウェア使用許諾契約書にも、同様の文言が規定されています。
お礼
ありがとうございます。 「消尽」ということばは初めて聞きました。 勉強になりました。 著作権の問題はいろいろなケースがあり、ネットなどで事例を検索してもなかなか自分が知りたいケースとぴったり同じものが見つからず、毎回苦労しています。
無許可の 複製利用は違法です。
お礼
簡潔な回答ありがとうございます。
お礼
回答ありがとうございます。 ご紹介いただいた学説のとおり、メディア変換しないと過去に購入したソフトを使用したくてもできない(再生機器が手に入りにくい)現実があるので、仮に罪に問われたとしても刑罰は軽いような気がします。 とはいえ、厳密に解釈すれば違法ということですね。
補足
「廃棄した場合でも」とお聞きしたのは、元のソフトを廃棄すれば手元に1本しか残らないから違法とはいえないが、廃棄しないで持ち続けた場合ソフト1本の代価しか払わずにソフトを2本持つことになるので違法である、という解釈も、ひょっとすると、存在するのではないかと考えたからです。あくまで、ひょっとすると、ですが。