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功利主義って・・・

最近大学の講義で功利主義について勉強しているのですが 功利主義って生活にどんな感じに関わってくるんでしょうか? また経済学と功利主義って何か関係あるのでしょうか?

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回答No.1

功利主義の最大の論者は英国のベンサムです。 彼はイギリスが産業革命を成し遂げ、世界初の工業国になった頃の人です。イギリスは他のヨーロッパ列強国に比べて圧倒的に豊になっていましたからその物質的富を最大多数である国民に享受させることがみんなの最大幸福になると考えていました。 現代先進国におけるような、工業化による環境汚染とか労働問題とかいったことがほとんど考えられていなかった時代の話です。 一方、経済学は18世紀末頃から急速に発展しましたが、その中心は労働価値説でした。富の究極の源泉が労働だという話です。ですから労働者に富を分配することがどれだけ大切であるかという観点でマルクス経済学が発展していくことになります。ただしベンサムが物質的富を最大化することが幸福に直結するとしていたのに止まる一方、マルクス経済学は労働者主権による革命まで主張していましたが。  一方、主流派経済学(古典派経済学)は経済的価値は労働という供給側の論理と消費者が何を欲しているかという需要側の論理が均衡するところで価格と生産量が決まる、という均衡理論に発展していきました。その過程で、消費者の幸福の度合いは、物質的富の合算などは意味がなく、消費者それぞれの満足度(効用)は比較することも合計することもできないという考え方になっていきます。個人間で満足度や幸福の感じ方が違うのは当たり前のように思いますが、当時は物質的富の合計や満足度の合計に意味があると思われていたのです。したがって、古典的な功利主義は19世紀前半には意味を持っていたかもしれませんが、経済・経済学の発展した今となっては牧歌的な時代の産物といえると思います。ただし、現代でも物質的富が増えることが多くの人にとって近似的に幸福であることと大して変わらない、というのも事実ですが。そのために「目的に合わせて如何に実際的に生きるにはどうしたらよいのか?」という観点で哲学を発展させると米国のプラグマティズム(実践哲学)が生まれてくるわけです。

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